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手の平返し、を思い出してみる・その2。

2021年04月11日 | シリアス
【嬉しくもあり複雑でもあった】

前回(→・手の平返し、を思い出してみる・その1。)の続きです。

受難の中学時代を耐え、中学一緒の子がほとんどいない高校へ進学した私。

いろいろあって、途中から

「ふつうの女子もすなるオシャレといふものを、ふつうになれぬ我もしてみむとてするなり」(『土佐日記』のアレ)

とやってみた。

(私の中の“ふつうの女の子”は“素敵な女の子”って意味です)

すっかり自尊心を傷つけられ、生きる希望も失いつつあったけど、良き人間関係に助けてもらって(悪い人間関係ももちろんあったよ。学校も会社も仕方ないところはあるが…)

「自分の外見、努力すれば良くなったりするのだろうか…」

って。

今はスマホやPCからいくらでも無料で素敵なおしゃれ知識にアクセスできますが、当時はほんっとに大変だった。

お小遣いはたいてノンノとセブンティーンを買って、わからないながら色々頑張りましたよ。

こちらの昔大人気だったブログさんを読むと、ホントにおしゃれする・綺麗になる方法になかなか初心者がたどり着けて大変だったんだなーと思い出される…。
  ↓
※ヲタだって可愛くなりたい(アメブロ)

16年前にスタートしたブログだったんだね…紙本持ってたな~。

ブロガーのカンナさん、どんな形でも元気で幸せであってほしいな…素敵なレディーだと思う。

話を私に戻して。

四苦八苦しつつ努力?してみると、効果はすぐにあらわれた。

とにかく、異性の反応がぜんっぜん違う。

女の子も違うんだけど、男の子はあからさまだった。

中学時代“有害な男らしさ”を一生懸命体現して私に嫌がらせしてきたのはお察しのとおりの系統の男の子たちだったのだが、その系統の人たちが

「かわいいね」

「美人だね」

「彼氏いるの?」

こんな反応をしてくる。

高校入学以降出会った男の子たちは私にあからさまな悪意あるコミュニケーションをしてくることはなかった。

それでも存在しないような感じの対応をされてたんだけど、変わったね。

あいさつなんかされたことなかったのに

「あの…おはよう」

と可愛く声かけられたりしてビックリだった。

それは正直嬉しかった。

私も少しは“ふつうの女の子”になれたようでさ。

はいぃ?(『相棒』の右京さん)となったのは、中学時代おもいっきりいじめ(という名の集団犯罪)してきやがった加害者たちが、そんなことなかったとでもいうように、忘れてしまったかのように

「ええ~っ美人だったんだね!」

「かわいいね!」

「彼氏いるの?

 俺どうかな?!」

…こんな、熱い手の平返し(ネットスラングだよ)をしてきたこと。

あっれはショックだったね…は、はあ??って

峰なゆかさん(『アラサーちゃん』などが代表作の漫画家さん)が中学時代まで“ドブ”というひどいあだ名をつけられ、ジャイ子扱いされていたので、

「セッ○○させてくださいっ!!」

と異性が頼み込んできたのが嬉しくて嬉しくて仕方なかったとかつて語っていて(今はまた受け取り方が違ってるかもしれない)

「だってそれまでジャイ子扱いされてたんだよ。

 これ以上の幸せなんか望めないよ」

とおっしゃっていたけれど、私は“かつての加害者”の手の平返しを嬉しいとは思えなかった。

褒められてるとは受け止めてたけどね。

でも今思い出して考えてみると…。

過去の仕打ちを忘れちゃうのも何もかも、人間同士じゃなく肉として判別されてたんじゃないかと考えてしまいますね。


肉、という表現は『もののけ姫』のオッコトヌシさまが言ってた

「俺の一族の者達を見ろ、年々小さくバカになってる。

 このままじゃ我らは人間の肉として生きるしかない」

みたいなセリフから。

捕食、利用。

格下、奴隷…まあこんな意味が内包されているよね。

『失恋ショコラティエ』のサエコが

「人間扱いじゃないよ、ひどすぎる」

「あたしだって人間だから」

と繰り返し訴えてたのが。

『人形の家』でノラが

「私は妻である前に人間です。

 あなたは私を対等な人間としてみようとしなかった」

と言っていたのが、今ならあの黒くモヤモヤした気持ちとつながる。

しかし当時は人権教育などマジで存在しない時代。

テレビが圧倒的な発信力(洗脳力ともいえる)をもち、人権意識のない権力者の都合のいい“こうあれ”が一般市民に染み渡っていた時代…。

まだこの世の残酷さを知らない幼い女の子が

「○○フェミのひとって男性に優しくされたことないの?

 愛される喜びを知らないの?

 モテないからそんな大人になったんでしょ」

と無邪気に言ってしまうのを見たことが数回ありますが、それが本当の恋や愛なのか、あるいは幼さにつけこみ恋心や体を搾取されただけなのか…それがわかるのはやっぱり大人になってからなんじゃないかと思うよ。

年齢じゃなくてね。

そうやって、キム・ジヨンの物語につながっていくんだけど。

※『82年生まれ、キム・ジヨン 』(アマゾン)

無邪気な恋心やときめきを抱いてくれた人もたくさんいただろうけど、

「喰えない肉塊が食べられる肉になったから態度を変えた」

だけの人もやっぱりいたんじゃないかなと考えてしまうね。

【権力者のお気に入りになる、ということ】

私は同じ塾にずっと高校時代通っていたのだが、夏季講習や冬期講習だけを受けにくる生徒もいる。

その中に、とある閉鎖社会の大スターがいた。

スクールカーストの頂点に君臨する美しい男の子だったんだけどね。

(この記事の後ろで書いた。→・芋虫は必ず蝶になれるのだ(男も女も!)。

彼は私の顔だかスタイルだか何かが好みだったらしくて

「隣座っていい?」

「こんな綺麗なコと並ぶのドキドキする」(私は美人ではないですよ、もちろん。恋は盲目~)

「付き合ってるヤツはいるの?」

と軽くアプローチされた。

モテる人らしくサラッとしてた。

まー…嬉しかったです。

都合いいけど私にもスクールカーストが、有害な男らしさがバシバシに影響しまくってて

「こんなスターにこんなこと言われちゃうくらい変われたのかな

と心がぽっかぽかした…と記憶してる。

ここから変わったのは、彼(スター)と同じ学校の違う生徒たちの反応なんですよ。

ただの同じ塾にかよう人、だった私が彼らの中で

「所属社会(学校)の権力者のお気に入り」

に変わって、あからさまに気を使ってくれるようになってた。

特に男の子たちがね。

同級生じゃなくて同じ部活の先輩にする態度のような…。

「おそれいります、すみません」

とアセアセ答えてた記憶。

これを、下級市民から上級市民への出世だと解釈してしまったら地獄が始まっただろうな。

(市民を国民、と書き換えるとさらに理解はすすむ。

 人は皆平等なのは理想であり真理でも、社会はそうあれてるか…むずかしい)

名誉男性のひとつのバリエーションというのかな。

ハーレムの女というか…書いてて辛いけど。

スターの好きな人、お気に入りの女の子、恋人(私は付き合ってないですよ)になることでスターの付属品として扱われることは出世じゃない。

だって、権力者の寵愛がなくなったら一瞬でなくなるものだからね…。

スターと付き合わなくて良かった。

幼い私が間違いを起こさなかった保障はどこにもない…。

スターは卒業間際にラブレターをくれて(まだラインがない時代。メールアドレスと電話番号が書いてあった)それに私は返事をしなかったので美しい思い出として終わることができた。

…良かったな。

うん。

【まとめ・社会の歪みは子どもの世界にも染み渡っている】

時代が変われば、

「あれはとんでもないことだったんだ」

と気付くもの。

ジェンダー問題だけじゃなくて、あらゆることがきっとそうなんだろう。

大人になって思い出してみると…子どもの世界って大人が思う以上にずっとずっと大人の世界のコピーにすぎないんだな~と考えてしまうよ。

“有害な男らしさ”を男の子のみならず女の子も体現していたのは、学び取って模倣してるからだよね。

「恋愛関係、夫婦関係は各々が育った家庭の再現にすぎない」

っていうのは有名な心理学の教え。

親がアルコール依存症だったりDV癖があると、自分がそれをパートナーにするかやられるかしやすくなるってやつですね。

子ども社会もこれなんじゃないだろうか…。

人権教育というものがますます大事なんだなと思います。

令和だよ…平成とっくに終わってるよ…。

変われるのか、世界は。

私は…。







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