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イグアナの息子。

2021年01月20日 | シリアス
【父親&息子バージョン】

『ポーの一族』でおなじみの天才漫画家・萩尾 望都さん。

萩尾さんは毒親という言葉が存在しない時代から親子…特に母と娘の確執や悲しみを描く問題提起作をたくさん書いていらっしゃいます。

そのひとつ…というか代表作がこちら。
  ↓
※イグアナの娘(小学館文庫)
(アマゾン)

私ごときが説明するのもはばかられる、名作中の名作でしょう。

興味がある方はぜひ読んでみてください。

さて…。

タイトル…と上に書いたサブタイトルからわかるように、今回は

「イグアナの娘ならぬイグアナの息子、父親と息子バージョン」

のお話です。

とある若きお父さま…いやいや、殿方が話してくれたのだ。

了承を得て、ここに物語仕立てで書かせていただきます。

身バレを避けるためにフェイクは入れますが大切なところはそのまんまです。

【第一子の息子がかわいくない】

(もちろん仮名です)

この物語の主人公は楊輔(ようすけ)さん。

26才の時に結婚し、すぐに妻の暁子(あきこ)さんは妊娠した。

そして男の子が産まれた。

…のだが…。

「産まれた赤ん坊をかわいいって少しも思えなかったんです。

 むしろきもい。

 こんなきもちわるい生き物をどうして妻や義両親はかわいいかわいいと言えるのか、そしてかわいがれるのか意味がわからなかった」


義両親は男の子が産まれたことを大喜びし、毎日どちらかが家にきて実に楽しそうに育児をしてくれ、盛大にお金をかけて節目節目でお祝いしてくれ、息子をかわいがってくれるのだが…。

「きもち悪い生物が、どんどん自分の子どものころに似てくるんです。

 ますます気持ち悪くて嫌悪感がやばくて。

 エイリアンが自分の姿をコピーしてるんじゃないかと思っていました」


つらい(つらい)。

【娘はちゃんと人間の赤ちゃんに見える】

数年あいて、第二子の女の子がご夫妻の間には産まれる。

楊輔さんは妊娠しないように気をつけてたのに…とショックだったらしい。

が、生まれた女の子を見るとー…。

「娘の方は、ちゃんと人間の子どもだって思えたんです。

 全然きもくなくて、むしろかわいくてかわいくて仕方なくて、不思議でした。

 成長して意思疎通できるようになるにつれてますます愛しくなりました」


一方、義両親は女の子である孫にはあまり関心がなく、節目節目のお祝いも男の子の孫と比べて実に簡素なものであったらしい。

それに対して

「娘の方がぜったいかわいいのに…!」

と怒りがわいたほどだという。

つらい(つらい)。

【兄妹間差別しないでと言われても】

妻の暁子さんは

「お兄ちゃんと妹を差別しないで。

 ちゃんと対等にかわいがって」

と何度も楊輔さんをたしなめた。

そのたびに彼は

「…同性の子どもより、異性の子どもの方が仲良くしやすいってやつなんじゃないの?」

とだけ返していたが…。

心の中でははっきりこう思ってた。

だって、息子は得体の知れないエイリアンなんだもん。

怖いし気持ち悪いし無理。

ますます自分に似てくるのも恐ろしい。

娘は、ちゃんとした人間の子どもだ。

だから怖くないし可愛い。

二人を対等に扱えるわけがない。

むしろなんで妻も義両親も息子をかわいいって思えるの?


…と。

つらい(つらい)。

【あれは虐待だったのか?】

そんな日々を過ごすうちに、ネットやテレビで楊輔さんは

「毒親」

という言葉を知る。

それってなんだろう?

と調べると、自分が子どもの頃には当たり前だとかそんなの思い過ごしだとか

「お前(子ども)が悪い!」

と言われていた親や先生が自分達にやってたあらゆることが、

「今では悪いことだと認識されている」

らしいとうっすら学び取る。

「思い出したくもないので詳しくは話せないんですけど、両親にはずいぶんやられました。

 父親は特に。

 かわいがられた記憶はありません。

 母方の祖母だけはお年玉をくれましたけど、それも巻き上げられてました。

 でもそれは自分だけじゃなく、普通の子どもは全然大切にされてない時代だったと思うんです」


彼は信田さよ子さんの本や田房永子さんの漫画も見つけて読むようになる。

言葉にはできない何かが、胸の奥でわきあがろうとしては消えていく感覚があったらしい。

【そして「その日」がやってくる】

そして、ある年(つってもこれから後を読めばバレバレ)、彼の中でビッグバンが起こる運命の日がやってきた。

コロナ禍、リモートワーク、出社日数が激減…。

運動不足になってしまった楊輔さんは家の近くをウォーキングするようになった。

そしてその日一人で歩いていると…。

息子が友達とじゃれあいながら帰ってくる姿を見つけた。

仲良しの友達と無邪気に笑いあって楽しんでいる。

その姿を見ていたら…。

息子が“子どもの頃の自分”とはっきり重なって見えたのだ。

「それで、かわいいな、いい子だなって心から思ったんです。

 かわいい子が元気に生きくれてる、それだけで充分なのに、どうして誰もこの子を大切にしないんだろうって考えたら…。

 自分のことだし、今は自分はやってるかもしれないのに…かわいそうでかわいそうでたまらなくなって、隠れて一人で大泣きしました。

 そしたら、息子のことも娘と同じようにかわいいなって思えるようになったんです。

 “自分に似たエイリアン”じゃなくて、息子です。

 自分とは違う命。

 大切で愛しい命です」


…よかったね~!!!

涙とまんねーよ、書いててもウルウルくるよ。

あ、一緒に聞いていた人たちが

「そのとき息子が友達と笑いあえるメンタルだったのは、彼をそれまで愛してくれた嫁と義両親のおかげだからな」

と言っていたことも書いておきます。

【自己嫌悪と同族嫌悪?】

楊輔さんのお話はすごく考えさせられる話でもあるなと思う。

「子ども時代の自分だってかわいい、そしてひどい目に遭わされてたことを心からかわいそうだと思えたら、ちゃんと息子は息子という独立した命だとわかって愛しくなった」

…という。

イグアナの娘とますます通じるところがあるような。

息子さんのことを嫌っていたようでいて、何か同一化して自己嫌悪していたような…。

あるいは、インナーチャイルド(内なる子ども)が成長していないから息子はライバルになってしまったのか…。

『エヴァンゲリオン』の碇父子のようにね。

でも同一化をやめてちゃんと独立した存在にお互いになり、そしてインナーチャイルドが息子をライバル視しなくなれば…呪いは解けるのかもしれない。

そんな実話でございました。

楊輔さん、家族4人でどうぞお幸せに…










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