鳥まり、参る!

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肩書きだけで自分を採点していると、辛くなると思うよ。

2020年05月11日 | シリアス
【すごく頑張っていて、しっかり実力だってあるじゃないか】

とある大変なお仕事を新卒の時からずーっと勤め上げている立派な若きレディーが、こんなことを言っていた。

「『魔女の宅急便』(ジブリ映画版)を久しぶりに観たら、自分が何者にもなれていないことがカッコ悪くて泣けてきました。

 オソノさんのような若くて可愛いお母さんにもなれてない。

 デザイナーのお姉さんのようにしっかりキャリアを築いてもいない。

 ウルスラ(絵描きのお姉さん)みたいに悟りを拓いて我が道も極められない。

 私は心がキキのまま年だけとって、悲しくてたまりません」

…そんな。

その若さで、そしてそんなに頑張っているのに、自分にそんなひどい言葉をかけたりしないでくれよ~っ

と悲しくなりました、私。

そして、肩書き(身分や扱い)だけに自己評価をかけてしまうって怖いな~って思ったの。

そんな昭和~平成の遺物は影響が薄くなったと思っていたけどそんなことは全然ないのね。

少年痴漢の問題ともリンクするや…

私に言わせれば、仕事をきっちりこなしてきちんと生活をまわしてる彼女は充分すぎるほど立派な大人で、素敵な人。

自分をそんなに下げないで~って思うよ。

【原作には包容力がある気がするの】

ジブリ映画版は今観ても面白いけれど、原作の『魔女の宅急便』に比べるとお金・肩書き礼賛な空気がありますね。

文学も映画も時代の反映、文化を読み解く材料っていうけど本当にそのとおりで。

たとえば、トンボというキャラクター。

原作では考え込んだら全集中!自分の世界をもっている学者タイプとして描かれていて、キキとの恋も時間をかけて実っていきます。

映画版だとイケてる(古語)ヤンキーグループとも仲のいいイケてる(古語)男の子としてだいぶナンパなキャラになっていますよね。

声優さんが山口勝平さんなのであの爽やかな声にだいぶ助けられていますが、この違いはあの時代いかに真面目な学者タイプ・イケてない地味キャラクターに価値がなかったかが伝わってくるような脚色だと思います。

女性キャラクターも同じ。

デザイナーのお姉さんって原作だと確かお針子さんなんですよね。

肩書きや美貌で際立つようなキャラではないけど、真面目に生きてるキャラクターを角野さんはとても魅力的に描いている。

キキのお仕事の報酬も原作ではお金ではなく基本的に

「気持ち」

なにか無理のないお礼なのです。

お針子さんが依頼人だったら、スカートの裾上げとか小さな縫い物をお返しにしてあげるのがお礼。

編み物が得意な人だったら、自分の作品をひとつわけるのがお礼。

お金にならないその人の特技や好きなものが魔法と等価交換になる、っていうのも

「マニーマニーマニー

な価値観の人にはできない設定だと思いますね。

お金じゃないのよ魔法は。

贅沢をしなければ生活ができるくらいのお金をきちんと親が持たせて、魔法とお気持ちを交換しあって1年すごすというのが原作の魔女修行。

うーん、全然違うね!

あと、原作には

「お金!」

「イケてる」

「肩書き!」

な価値観ではぜったい取り上げられないような、

「ちょっと頭が…??」

なキャラクターもナチュラルに存在していて、それをおかしい!とか直せ!と糾弾することのない穏やかで包容力のどっしりる世界なのです。

これもまた、失われた世界観か、時代の先をいく世界観かもしれない。

とにかく原作はおすすめ~。

(映画版は性愛で魔法が失われるんか?

 少女は恋で大人になるって決め付けじゃない?

 ジジの言葉わからくなんかならんし…って原作知ってるとツッコミの嵐なんだけど、まとまらないしやめておきます)

【肩書きはたしかに魅惑的だけど…】

「肩書きじゃないよ」

「お金じゃないよ」

などと綺麗ごとだけを書きたいわけじゃありません。

人間だもの、やっぱり肩書きもお金も魅惑的。

だけど、それだけじゃないでしょう?

オソノさんの魅力って若くて可愛い妻・母親ってことですか?

それだけじゃないはず。

私だったらオソノさんの明るさ、大らかな優しさ、働き者なところ、他者に平等なところ、そんなところがとても魅力的で素晴らしいなと思う。

まるっと全て自分がこうはなれなくても

・明るい→自分からあいさつする

・優しさ→できるときは相手の力になる

・働き者→まずはひとつ、なにか頑張ってみる

・平等→全員に自分からあいさつする

「これくらいならできそう!」

なことをひとつでも実践できたら、それでもう立派な努力なのですよ。

デザイナーのお姉さんなら、上品さ・優しさ・フェミニンさ・年下をかわいがる、とか。

ウルスラだったら…そうだな、好きなものを何かひとつ続けてみるとか。

外見の真似ももちろんいいよ。

髪型や服やアクセサリーね。

オソノさんの赤いピアス、映画だと既婚女性はだいたいつけているけどそういう設定なのかな?

自分も他人も、理想も現実も、肩書きだけで採点しすぎないほうがストレス少ないと私は考えています。

だって上は(下も)果てがないからさ。

自分で折り合いつけてうまく自分をなぐさめないと、ますます苦しくなっちゃいそうです。





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