今の歌声は

ohtaと申します。M!初演の中川晃教さんに感動してこのブログをはじめました。ゆるゆると更新中。よろしくお願いします。

帰るべき場所へ

2018-10-01 22:23:58 | 中川晃教
ミュージカル ジャージーボーイズ
4つの季節(ストーリー)をそれぞれメンバーが語り継いでゆく。
最後の冬はフランキー・ヴァリ、アッキーです。
秋~冬そして最後、ロックの殿堂の場面まで、アッキーはほとんど出ずっぱりです。

トミーの借金問題があってニックはグループを去り、ボブとフランキーは借金返済のために活動を続けます。

トミーはフランキーを道端から拾ってくれた。ニックはフランキーに歌を教えてくれた。この二人がいたから今の自分がいる。
このかけがえのない二人を欠いてフランキーはどれほど悲しかったことか…
とにかくトミーの借金を返す、ということだけがモチベーションだったのかなあと。

「Don't worry 'Bout Me」「Bye Bye Baby」
あたりは曲が楽しげなので余計に悲壮感が漂ってる気がします。
特に「Bye Bye Baby」 はフランキーの家族関係があって切ないです。

そしてボブはフランキーにソロでやることを提案します。
フランキー・ヴァリ「と」フォーシーズンズ にするんだと。
フランキーは最初は躊躇するが結局そのようになる。

そして「C'mon Marianne」が大ヒット。
しかし、用意したもう一つの曲「Can't Take My Eyes Off You (君の瞳に恋してる)」はポップにしてはハードだし、ロックにしてはソフトだ、ということでどこも出してはくれない。
「C'mon Marianne」はいい、だけどこれはちょっと…とだれも取り上げてくれないのです。今までにないスタイルの曲だからみんな二の足踏むんですね。
売れ筋じゃないと手をつけない、という業界の徹底した姿勢がよく判る。


でもボブはこの曲はフランキーにとって必要なんだ、と諦めない。
プロデューサーのボブ・クルーの進めで関係者に直接働きかけることによって、ようやく日の目をみて爆発的にヒットするわけです。

この辺の苦労があるので、フランキーが歌う「君の瞳に恋してる」の場面はすごく感動的。
ミラーボールが回る中、念願のホーンセクションをバックに歌うフランキーの姿に胸が熱くなります。(涙)

その後の「Workin' My Way Back To You」も大成功。
これも軽快な曲で凄くいい曲です。
ただ、メンバーは元のメンバーは誰もいない。フランキー以外。そのあたりが胸にとげがちくっと刺さったような気がするんです。切ない。

フランキーは言う。
曲もいい、気分もいい。でも、母に言われた。何事にも終りがある。悪いこともそうだし、良いことにも…
娘の死を知ってから歌う「Fallen Angel」は胸が締め付けられるような痛みがあります。

そして時は過ぎて…
フォーシーズンズはロックの殿堂入りをします。

それまでのいろいろな成功、挫折、争い…
今は離れ離れに過ごしている4人
そんな彼らが4人一緒に「Rag Dool」で登場するところはもう胸が一杯です。


トミーは言います。
アカデミーやエミーは金で買える。だけどこれは金で買えない。何故ならこれは一般大衆が選んだからだと。

ビートルズのような社会的ムーブメントにはならなかったけれど、底辺で働く若者達に支えられた彼ら。

成功も失敗も、女のことも家族のことも、いい事も悪いことも赤裸々なまでに語る彼らの姿を観ていると、ただの成功物語ではない人間味というか、人生の真実味が感じられて胸を打たれます。

曲の素晴らしさもあって、言葉にはならない感動が溢れてくる。涙も…

この作品が単なる普通の「カタログミュージカル」とは一線を画す感じがあるのは、そんな赤裸々な彼らの生き様に裏打ちされたリアリティがあるからだと思います。
光もあるけど影の部分も描かれている。
だから観る人の心に響くんだと思います。


























音楽を追いかけて 2

2018-10-01 20:00:51 | 中川晃教


ミュージカル ジャージーボーイズ
フォーシーズンズの物語ということで4つの季節を4人がそれぞれ語る、という形で進んでいくミュージカル。

秋はニック・マッシです。
彼はベース担当でハーモニーの天才。
フランキーに音楽を教えた人。
そして、何か問題があるとまずグループのことを第一に考える人。
自分の気持ちは置いておいて。

第一幕はトミーの多額の借金が問題として出てきたところで終わるんですが、第二幕はそれをジップ・デカルロというボスと話し合うところから始まります。

この時に歌われる「Beggin'」が凄く好き!
ちょっと黒人っぽいフィーリングでフォートップスのような感じがします。

一幕でフランキーとボブがデモテープを送ったフォローで売り込みにいろんなプロデューサーを回った時、音だけ聴いて彼らを黒人グループと思い込んでいたプロデューサーが白人と知ってビックリするわけですが、言った言葉は「黒人になってまた来て」

売れ筋じゃないと契約してもらえないんですね。

そんなことがあってちょっと黒人ぽい音作りになっているのかな、と思わせる…が、実際の曲のリリース順とミュージカル上の曲順は違っているので、「Beggin'」は実際にはニックが辞めてからの曲なので、これは私の単なる妄想でしかありません。

Beggin'に限らず他の曲も実際のリリース順とは違うわけですが、ストーリーの内容とマッチしているところがこのミュージカルの凄いところだな思います。

ちょっと脱線しました。

デカルロとの話し合いの時、ニックはそれまで我慢して抑えていた自分の鬱憤をみんなの前で発散するんですね。
ニック、そんなにトミーのことで我慢してたなんて…
誰もがニックに同情し、トミーはなんてヤツなんだ!って思う場面ですよね。
私もそう思う。そして、こんなに売れているグループなのに、ホテルの部屋が2人部屋だということにビックリもする。シングルじゃないんだと。

ってそこですか(笑)

今と時代が違うのかもしれないが、ステージも一緒、ホテルの部屋も一緒じゃ息抜けないでしょ、どうしてシングルにしてくれって言わないの、と思いました。
ツアーにはマネージャーがいると思うんだけど、そういう話は全然出てこないので良くわからないが、もしかしてその辺も全部トミーの仕切りだったのかなあ。

まあ、自分の主張はせず従っちゃうのがニックという人なのかもしれないですね。

そしてニックは時折呟く。「俺もバンド作ろうかな」と。
その裏にはいろいろ我慢してる気持ちがあったんだなって判ります。

そしてフランキーとボブのパートナーシップを目の当たりにしたこともあり、ニックはグループから去って行きます。

トミーも借金の解決のためグループから離れざるを得なくなるのでグループは二人になってしまう。
でも、トミーの借金をグループで肩代わりすることに決めたので、フランキーとボブは二人でツアーを続けるんですね。代わりの二人を見つけて。

「Stay」「Let's Hang On」
この辺りは切ないです。とっても。
スタンドマイクが4本…でもいるのは2人…
曲が軽快なだけに寂しさが増します。

またちょっと脱線ですが、メンバーの経済的問題を解決するために、一度解散したグループを再結成してツアーをするとか、よく聞く話です。
フォーシーズンズの場合は解散はしていないけれど、2人しか残っていないので実質分解状態ですよね。
残ったメンバーが必死の思いをしてまでメンバーの借金のかたをつけようとする…
その気持ちを思うと切ないです。
何もそこまでしなくてもって思う気もするけれど、下積みから一緒にやってきたメンバー同士の絆はちっとやそっとのことでは切れないっていうことなんだなと思います。

あと、ツアーの厳しさも思いました。
よくロックグループの解散理由なんかで、ツアーが原因、という話を聞くことがあるからです。
長期間、家族とも離れメンバーとステージ(仕事)も一緒、移動も一緒、そんな中ではどんなに仲良しでも気に障ることが出てくるのはしかたがないのでしょう。

ボブはツアーでは普段と違う法則が働くという。
ツアー用の家族(妻)があるとか…
もう、なんなの~って感じですよね。
でも、それが現実なのが辛い。

ヒット曲が続いて、グループで問題があってもそれは成功の裏に隠れてしまっていた訳だけれど、それがどうしようもなく現れてくるのが、秋の季節。


ああ、冬になかなか行けない…