『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

翻訳   朴ワンソの「裸木」25

2013-06-28 15:27:13 | 翻訳

 

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翻訳   朴ワンソの「裸木」25<o:p></o:p>

 

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 翌日もまたその翌日もオクヒドさんの席は空いていた。彼がいない一日は持て余すほど長く感じられ、彼の独特の愚かではないが善良な視線と、ふと目と目が出会った苦しい喜びを、どうしても取り戻すことができないまま、遠い所へ消えてしまったという絶望にさいなまれる間に、夕方になってしまった。<o:p></o:p>

 

 泰秀とは朝ちょっと目と目が合っただけだ。<o:p></o:p>

 

「オク先生のお宅、調べた?」<o:p></o:p>

 

 私の質問に曖昧に頷いただけで別におしゃべりをしなくてほっとした。<o:p></o:p>

 

 今日に限って絵を取りに来る米軍兵士がことごとく大小の言いがかりをつけようと入って来た。私は少し愛嬌を振りまけばそのまま押し付けられるものまで、言い返すのが面倒でことごとく描き直してあげると言って容赦なく絵描きに戻した。<o:p></o:p>

 

「あ、ミス李。今日はどういうことだい? 師走の繁忙期に雑煮の材料も用意できずに、それで遊び女を描いたナイロンの風呂敷で、うちの家族が並んで首を吊る様子を見るのが気持ちいいかい?」<o:p></o:p>

 

 思いがけなく突き返されるものの中には、銭さんのものが一番多く、仕事口の危ない彼が突き返されたスカーフを自分の首にかけて、げぇっと締めるふりまでしながら是非を訴えるや、他の絵描き達も落ち着かなくなった。<o:p></o:p>

 

 私はそんな声を耳元で聞き流してショーウインドーに吊ってある灰色の幕の片隅を持ち上げた。<o:p></o:p>

 

 外では雪が降っていた。降りしきる雪は時々ガラスに強く当ったりしたけれど、ガラスに当てた私の頬にはつかなかった。<o:p></o:p>

 

 薄くてもガラスの窓が間にあるので、私はしばらくガラスに頬を当てたまま、雪のかけらが頬につくことを、そして雪が降るときのシャクナゲの花のような嬉しさが、もう一度私に訪れることをいらいらしながら望んだ。<o:p></o:p>

 

「ミス李、お客様が来ました」<o:p></o:p>

 

 陳さんが私を呼んだ。<o:p></o:p>

 

 私は再びテーブルへ行って写真を受け取り、目の色、毛髪の色、服の色、そんなことを尋ねて、取りに来る日取を記入しながら、こういうことがつまらなく気が狂いそうだから私を助けてくれという絶叫を、奥歯の間でかろうじて押しつぶした。<o:p></o:p>

 

 絵描きたちはやや低く言った。<o:p></o:p>

 

「ミス李、今幕の後ろで泣いたんじゃない?」<o:p></o:p>

 

「泣くよ。まだ幼い人をあんなに激しく追いつめたから…ちぇっ、ちぇっ」<o:p></o:p>

 

「こんちきしょう、自分は関係ないようだ」<o:p></o:p>

 

 時折彼らはどういうわけかこのように善良になる。今日はまるっきり我慢できなかったからだ。<o:p></o:p>

 

 魅力的な雪原の中の少し離れた所に泰秀が体をすくめて私を待っていた。私は一気に彼の元に駆け寄った。<o:p></o:p>

 

 片方の肩に担いだ郵便配達の鞄のように野暮ったく大きい鞄の中で空っぽの弁当箱が騒がしくがちゃがちゃと音を立てていた。<o:p></o:p>

 

 私は駆け寄った泰秀の腕にしっかりぶら下がった。彼は少しよろよろしながら憂鬱そうに笑った。私は彼の腕にぶら下がったまま、軽く雪の上で滑ってわけもなくくすくす笑った。

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