かつてスポーツでこのようなことがあったのかといえば、2002年のワールドサッカー日韓共催大会の興奮があった。この時は日韓両チームとも大健闘で、決勝まで勝ち進んだし日本はベスト16に入った記憶がある。日韓直接対決はその大会ではなかったように記憶している。今回の大会は野球の本場の米国をはじめ、カナダ、キューバ、ベネズエラ、メキシコ、プエルトリコ、オランダ、イタリア、オーストラリア、韓国、中国、台湾が参加した。3年前の2006年、日本は誤審に苦しみながらも王貞治監督の元で大会を制覇した。今回の大会は巨人の原辰則を監督とし、先の北京五輪のチームをいったん解体して、精鋭を選び直して望んだ。北京五輪は韓国に負けたことが大きく響き、日本は惨敗に終わったので、WBC ではその雪辱が期待されてきたが、それにしても国際競技における日韓の対抗意識はすさまじい。今回のWBCでは、東京、サンチャゴ、ロスト3つの場所で合計5度の対決があり、日本が3勝、韓国が2勝という結果になった。本日の決勝戦は、大変な緊張の中で戦われた。日本は東京の予選で中国、台湾を下し、米国ではキューバ、韓国、アメリカにも勝ち決勝に進んだ。決勝では敗者復活から勝ち上がった韓国がこの大会5度目の相手となった。そのためだろうか日韓お互いの国の世論やマスコミが「負けるな」とあおり続けた。闘う選手たちは、燃えただろうし、力み返る選手も居たであろう。そんな中で、戦況は常に緊迫し、一進一退の攻防戦が続いた。延長10回、イチロー選手の決勝タイムリーでけりがつき日本チーム、侍日本は5-3で快勝した。本日のマスコミはこれをトップニュースにかかげ、これでもかこれでもかとばかりに日本が優勝した瞬間のシーンを放映し続けた。明るいニュースが全くなかった最近の日本にとってこのニュースは久しぶりに気持を明るくさせてくれた。スポーツ観戦は、観客はどちらかを応援する。それにしても日本人が韓国を応援することはまずないだろうし、その逆もまずないだろう。だから、観戦者は全員応援団のように興奮する。実際、この試合は目を離せなかった。仕事も手に付かないほどテレビに釘付けになった。途中で外出したために結果を聞き逃したが、夕方帰宅するまで「どちらが勝ったのか」と重苦しい思いを持ち続けた。帰宅後テレビをつけて勝ったことを知ったが、久しぶりに野球を堪能した3月となった。ライバルの韓国の選手諸君の奮闘はまことにあっぱれであった。これからは、日韓戦が伝統の一戦として球史を彩っていくことだろう。楽しみは増えたことに感謝したい気持ちだ。
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