5/5 劇団だるまど~る公演 第4起き
『楽屋-流れ去るものはやがてなつかしき-』
遅くなりましたが感想です。
4月、演劇人の花見でチラシをもらい。
あ、この戯曲知ってると思ったのが始まり。
知ってるといっても、
昔、深夜のTVで観たくらい。
ふと観始めたのが面白くて、結局最後まで。
そんな記憶がよみがえり、
生の舞台で観たいなと思った。
めったに県外の公演へ行くことはないのだけど
家の方もOKだったので、一人でGO!
会場は、以前から行きたかった
<シアターねこ>
元幼稚園を改装して作られた小劇場。
GW真っ最中、心配していた
コインパーキングはたくさんあり、
シアターねこより北側には安い所もあった♪
安心して観劇できる(笑)。
近くには松山城。ロープウェー通りから
その先の大街道も、たくさん店があり
飲食、土産、観光などで賑わっていた。
ちょうど昼に到着、近くで腹ごしらえして
いざ観劇。
…………………
舞台奥、壁だと思っていたのは布地のようで
女優らしき人のシルエットが浮かび上がる。
右と左とでやり取りしている様子が面白い。
舞台は楽屋。登場人物は女優ということで
チェーホフの『かもめ』など
有名な戯曲のセリフが飛び出す。
『楽屋』は、わりと知られた作品なので
ネタバレは……いいかな?
二人の女優は幽霊で、
それぞれ顔に大きな傷があったり
首に包帯を巻き血が滲んでいる。
そして二人は
亡くなった時代が違う。
なので、同じ戯曲のセリフを言っても
時代によって言い回しも違ってくる。
昔のセリフには耳慣れない言葉も多い。
その違いも面白かった。
あまり役に恵まれなかったらしい二人だが、
それまでこなした数からすると
さすが女優と思えるキャリア。
厳しい世界で生きてきたのだろうなと
思わせるものはある。
“ 女優は残酷な仕事 ” というセリフ。
頑張ったとしても報われるとは限らない。
そんな彼女たちを見て感じるもの。
昔と今とでは 少し違った。
昔、TVで観た時、
女優という仕事は一般の人と違う
大変さがあるなと、少し離れたところから
見ていたように思う。
それが夢を追う人が背負うもの、
現実と離れたところで生きる代償のような。
で、今。
別に自分は女優を目指してる訳でも
まったくないのだけど、なぜか
ちょっと近い気持ちになった。
報われないという部分だろうか。
決してそうではないと思うし、
長い目で見れば何かしらの意味もある
などと、頭では考えられる。
しかし、その時に感じる
切羽詰まったものは
どうしようもなく存在する。
目を背けてはいけないと思ったり、
受け止めて見方を変えたりもした。
けれど、存在することは どうしても
無かったことにはできない。
彼女たちの怨念のような(笑)もの。
それこそ 声なき声。
成仏するのが正解で、それが
望ましい姿だとしても、
あんな風に あの場所で ずっと
溜まっていてもいいじゃないと思った。
ちょっと小気味良い。
妙にウキウキする。
結局、
瓶で殴られた若い女優さんは
霊になっちゃったのね。
(瓶でバーーンはビックリした。
忘れてたので思わず声が出た・笑)
ようこそ幽霊の仲間入り♪
永遠に傷を抱えて居続ける存在だ。
すっきりさっぱりはしないけど、
嫌な感じでもない。
私もあなたも色々あって、
誉められた状態でもないけれど、
それでも今居るところで
楽しくやっていこう~~。
そう語りかけられているような
気持ちになった。
生で観たからかもしれないし、
昔と今では心の状態が
変わっているからかもしれない。
成仏はできなくても
心救われるような感覚、いいな。
演劇だからか、この戯曲だからか、
何なのかよく分からないけれど
こういうのは、あっていい。
あってほしい。
きっと、そういうものを
必要としている人は私だけではないと
特に近年、思うことが増えたから。
傷が癒えれば一番いい。けれど
癒えない傷も結構あって
それを抱えている人は
現実にもたくさんいるはず。
そういう意味でこの楽屋は
私たちの居る世界と
そう遠くないような気がするのだ。