11/17(土)
劇団マグダレーナ第73回公演
『瀉血Ⅱ (しゃけつ2)』
場所 : スタジオマグダ
昭和25年の仲丸家が舞台。
娘がハンセン病になった家族の話。
治らない病気…だけでなく、周囲の
強い差別や偏見が家族をも抹殺する。
その恐怖から、味方であるはずの
家族が弱い者を切り捨てようとする。
やりきれない気持ちになった。
大島の療養所へ入れるのは
患者にとって悪いことなのかどうなのか、
観ているうちに分からなくなった。
隔離は論外だけど
療養所なら治る薬があると聞けば
それにすがりたくもなる。
しかしそうなると
患者が出たことが知れ渡り、
その家が村八分になるという。
その為、本人がどんなに苦しんでも
閉じ込めておこうとする家の者もいた。
では、療養所は良い場所なのか。
仲丸家に出入りする瀉血師の話では
薬があるというのは患者を隔離するための嘘で
結局、治らないまま、他の患者の
世話をさせられるということだった。
何が本当か分からない。
そんな中で人の話に振り回され
恐怖に捕らわれ
自分たちの保身の為に
他を切り捨てようとしてしまう。
形は違うが、そのような構図は
今の世の中にもある。
勿論、病気を克服できるかどうかは
いつの時代でも難しい問題だ。
すべての人が救われるとも限らない。
しかし、心の問題はどうだろう。
どんな苦しい状況にあっても
お互い心を通わせ、力を合わせられたら
同じ苦しみであっても、また違ったものに
なるのではないだろうか。
まずは知ることから。
恐れの種を取り除くことは大切だろう。
そしてこれは、恐ろしい、
かわいそうな昔の話ではなく、
どれだけ自分に近く感じられるかということも
大事なのだろうと思った。