月下樹のおと

樹月けい、オタク母のブログ。アニメ・漫画。お絵かき展示等。義母の介護終わり、義父のご飯お手伝い中。

3/2 安立清史 氏 講演会 「ことば」の呪文からどう脱出するか?

2025-03-06 17:22:31 | 感想★アート演劇 映画ドラマ アニメ等

丸亀市
文化芸術推進サポーター養成講座

安立清史 氏 講演会

「ことば」の呪文から
 どう脱出するか?
 ~映画からのヒント~

日時:2025.3.2(日)
   13:30-16:00
 
場所:丸亀市生涯学習センター
   5階視聴覚室

講師:安立 清史氏
    ( 九州大学名誉教授 )

コーディネーター:井上 優氏
  ( NPO法人iさいと代表理事 )

━━━━━━━ 

安立さんは数年前にも
丸亀での講演をされていた。
私も過去2回、拝聴したことがある。

なじみのある映画から、
グローバル時代の問題や
働くことの意味など
社会学の観点で語られていた。

今回は
ことばの呪文という切り口で
どういうお話が聴けるか
楽しみに参加した。

……………………

〜あいさつより〜

先日、終了した講座

みんなのまなびと文化を
みんなで考えてみよう!
~遊びと学びはシームレス!?~

この全3回に続き
実践編のような、
より具体化した内容。

情報化が進み
良くも悪くも影響を受けている今、
ことばを大切にしたいという
思いから考えられた講座とのこと。

━━━━━━

■今日のメニュー

1.「ことば」の社会学
2.ケーススタディ
 (カワイイ、認知症、SNS)
3.ワークショップ
 *時間の都合でなし

……………

〜はじめに〜

何が正解か分からない時代、
「問い」の方が「答え」より
大切なのではないか。
時代の変化で答えも変わる。

私たちは、
それと気付かないうちに
呪文をかけられている。
そういうものであると
知っておくことが大切だ。


■コトバの社会学
 言葉は「社会学」である
 言葉は「呪文」である
 言葉は「もうひとつのこの世」をつくる

*言葉 人間をとらえる力がある
 無意識のうちにかかる催眠術のよう

 例) アメリカの履歴書 
  年齢 性別 人種 写真 なし
  自分の努力では変えられないもの
  先入観をもって見られる→不平等

  日本は当たり前のようにある
.
.  
■コトバの暴風雨
 SNSという台風が
 世界中で吹き荒れている
 しかし、人間と社会は
 もともと そうできている。
 この暴風雨にどう対処するか。
 それもコトバでしかない。

 ・カワイイ
 ・年齢 高齢化 人口
  *単なるデータとしてでなく、
   別のものが見えてくる。
   隠された意図がある。
  *不安をあおる言葉もある。


■新約聖書「ヨハネによる福音書」
 はじめに「ことば」ありき。
 「ことば」は神とともにあった。
 「ことば」は神であった。

 歴史はコトバでできている
 宗教もコトバでできている
 法律や制度もコトバでできている
 政治はコトバで人を動かす
    *
 心理や心も コトバで表現される
 データや数値めコトバの一種だ 
 ガイドブックの言葉は
 私たちの行動を導く

 *正解はひとつじゃない
   それが分かると気も楽になる
 *解読の仕方はひとつではない
   意識的にやるのが社会学
.
.
■社会学は
 「社会からのコトバを解読すること」
 ・記号はコトバである
 ・データや数値もコトバである
 ・映像もコトバの一種である
 ・人間社会はコトバで出来ている

 もうひとつの言葉、
 もうひとつの社会、
 を見つけること
.
.
■コトバの社会学(1)
「予言の成就」
 みんながそう思うと、そうなっていく
 ( ワークショップの課題 )
 少子社会、地域消滅、限界集落
 人口減少社会、失われた30年、
 財政危機
.
.
■コトバの社会学(2)
 コトバは呪文である
 例) カワイイ 認知症 
   高齢化 SNS
.
.
■コトバの呪文・呪縛力の実例
 「カワイイ」

 四方田犬彦 著『「かわいい」論』
 *受け入れられない現実に
  フィルターをかける
 例) キモカワイイ
   正義の戦い 自己防衛
.
.  
■認知症?
 村瀬孝生 他 著
『認知症をつくっているのは誰なのか
 「よりあい」に学ぶ
  認知症を病気にしない暮らし』

 *将来の不安が生み出されている現在
 *医療、薬学 
  業界は利益を生み出している
.
.
■超高齢者会? (グラフより)
 ・なぜ年齢にこだわるのか?
 ・本当の課題は見つかるのか?
 ・一般論、データ
  →本当の入口は見つからない

 ・村瀬さんの言葉
  「目の前のたった一人から
   課題を考える」
.
.
■SNSとAIの時代?
 安立 氏 著
『ボランティアと有償ボランティア』
 ・ボランティア
  英語ではちょっと違う
  日本語では 奉仕活動 慈善活動
  しかしそれでは 人が集まらない
  日本語化された「ボランティア」

〜休憩〜

「千と千尋の神隠し」 映画より
 ・色々なメタファーがある
 ・20世紀から21世紀への引っ越し
 ・恐るべき異界に連れてこられた
 ・父、母、千尋の関係性
 ・カオナシ 言葉、顔 ない
       名前のない 匿名性

■「労働以下の労働」へ落とされる
 ブラックバイト、ブラック企業
 奴隷労働の世界!?
.
.
■「名前」を奪われる、
 「コトバ」を奪われる

 ・千尋→千 せん 1000(番号のよう)
 ・父母や名前も奪われて
  どう取り戻し 元の世界に戻るか
.
.
■自分のコトバを回復する戦い
 ・16匹の豚→この中に両親がいる
  当てたら元に戻してくれる
  チャンスは1回 
  最大限のプレッシャーかけられる
.
.
■この中に「答え」はない!
 ・両親はこの中にいない (千尋の答え)
  ( 自分のコトバを発見した )
 ・答えがない
 ・入試問題ではありえない
. 
.
■大当たり!( 喜ぶみんなの姿 )
 ・一対一の撃ち合いの場において
   撃たないようなもの
 ・戦わない人に
加勢することできるか?
 ・戦わない選択
  →正しいかどうかは分からないが
  周りが応援してくれることは大事
 ・連帯の必要性
   皆が賛成してくれるかどうか
   理解してくれる人がいる
   実感を持てたとき→成長できる
 ・悪を打ち倒すだけが正解か?
   正義が悪に打ち勝つ
   というものではないだろう
 ・これまでにない闘い方

………………

■講演の感想より

●安立先生の授業
 ・朝ドラ「あまちゃん」テーマ
  自分が生まれたところは
地元なのか?
  社会学的考察
 ・地元 呪文のひとつ
 ・地元 心が決める
 ・問いをつくることが大切

●地元と地域
 ・地域、社会
  一般的なことば
  表面的 漠然としている
 ・地元
  心がこもった存在
  問題点 ぐっとつかめる
  自分の生き方、選択、決断

●地元 心の距離感
 ・どの程度の距離?
 ・自分が動いた中での距離?
.
.
●家族 というコトバ
 ・昔は→親族
     ネットワークがあった
     個人の役割も
おのずと決まる
   ↓伝統社会 壊れてくると…
   ↓
 ・近代は→家族
     小さい単位
     それだけでは存在できない
     国家に頼る
     脆弱だが変化しやすい単位

 ・家族 色々な問題
  例) 家族介護
   ・親しい関係だからこそ
    受け入れがたいことあり
   ・家族の関係を継続させる為に
    介護の社会化も必要
.
.
●子育て
 ・子育ては誰がするもの?
  (親だけでなく周りの人も)
 ・子育ては育ち合い
.
.
●考えの立て方の実践
 ひとつの視点として社会学で考える
 周りの色々なものに目をとめて
.
.
●これから
 ・市民とは? 誰でもない?
  一人ひとりのことを見てみよう
  対話 続けてきた

 ・市民→一人ひとりの集合体では?
 ・個々に目を向けるような取り組み
  丸亀市の規模ならできそう
 ・楽しく学ぶ時間を共有する
 ・今後に向けて

…………………

■感想

●受講前に知りたかったこと
 学びたかったこと

社会学とは?
どんな切り口になるのだろう。
言葉についての考え方
なぜ言葉が大事なのか。
.
.
●印象に残っていること

・問いの方が答えよりずっと大切
・答えはひとつではない
・みんながそう思うと、
 そうなっていく
・コトバの呪縛力
・目の前のたった一人から
 課題を考える
 (一般論やデータではなく)
・この中に「答え」はない
・戦わない人に賛成できるか
・連帯の必要性
・理解してくれる人がいる
 という実感が成長につながる


●モヤモヤしていること

「カワイイ」
個人的には悪い印象はない。

・日本では幅広く使われていて、
 欧米では元々幼いものに 
 使われていた言葉だと。
 カワイイは幼く、
 美しいは成熟した状態。
・今使われているカワイイは、
 成長や成熟を拒む気持ちから
 なのだろうか?
 人それぞれ違うとは思う。
 ただ、カワイイは許容範囲が
 広いような気もしている。

・バブル前後の時代、
 ファッション雑誌で
 取り上げられていたのは
 カワイイではなかった記憶あり。
 見た目的には都会のイケてる女風。
 ステレオタイプな感じが強かった。
 右へならえの風潮もあった。

・今もいわゆる流行はあるけれど、
 許容範囲は広くなったように思う。
 似合っていたり
 本人が気に入っていれば
 いい、というような。

・それでも周りの価値観に
 とらわれている部分はあると思う。
・パーソナルカラーや
 骨格診断などにとらわれる
 傾向もありそうだが。

・正義の戦争、のように
 受け入れられない現実に
 フィルターをかける…
 という話は納得できた。
.
.
●この講座を通して
 自分自身がやってみたいこと
 誰かと一緒に取り組んでみたいことなど

・言葉の持つ意味について
 立ち止まって考えてみたい。
 プラスマイナスの2面性を
 知っておくことで、
 飲み込まれないようにしたい。

・日常の困りごと、
 やってみたいこと等
 それぞれにありそうだと思った。
 そんな思いを聞いたり話したり、
 一緒に取り組んでみたい。
.
.
●「みんな」や「まなび」や「文化」
  について 自分の考えや思い

・「まなび」は
 日々を生きるために必要なもの。
 単なるスキルに留まらず、
 よりよく楽しく心地よく
 生きるために必要な道しるべとなる。
.
・一人きりでは難しい。
 身近な人との対話を通して
 自分だけでは見つけられなかった
 道も開ける。
 そこに関わる「みんな」が、
 いつしか繋がる輪になれたらいい。
.
・そんな輪がいくつも重なって
 大きな網のようになれば
 そこに根付く「文化」になる。
 それはきっと破れにくく、
 迷える人をすくい上げてくれる
 柔らかい布のようになるのでは
 ないかと思っている。
 

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