シュート数はセレッソが18本と圧倒したように見えますが、前半と後半立ち上がりまではセレッソ、後半10分以降はガンバがゲームを支配しました。
2022シーズンJ1リーグ開幕戦、セレッソはアウェイで横浜FMと対戦し、2-2で引き分けました。
【公式】横浜FMvsC大阪の試合結果・データ(明治安田生命J1リーグ:2022年2月19日):Jリーグ.jp
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試合は近年の両チームの対戦のように横浜FMがボールを保持し、セレッソがブロックを作って対抗しつつ、速い攻撃を狙う形で進みました。 この狙いは試合後の小菊監督のコメント「相手のボール保持の時間が長く続くことは、ゲーム前からのプランの中でもありました。そこから全員でハードワークして、チームの規律を守りながら、良いボールの奪い方からカウンターを狙うことも、チームとしてデザインしていました。その回数が幾度と見られたことは今日の大きな収穫です。もう1つは、リスタートがキーになると思っていた中で、スタッフ、選手がいろいろな準備をして、たくさんのデザインの中で2ゴール取れたことも収穫でした。」にも出ていました。 オフサイドで得点となりませんでしたが、丸橋選手のアーリークロスから加藤選手が合わせてゴールを揺らしたシーンは狙い通りだったと思います。そして前半40分に得たCKから進藤選手がうまく頭であわせて先制しました。CKを取ったプレーは乾選手がドリブルで横浜FMの選手を3枚はがしたプレーから得たものでした。
後半横浜FMがボールを保持して猛攻をしかけますが、セレッソはブロックを作ってうまく守っていました。PKを与えたシーンもありましたが、キム・ジンヒョン選手がPKをストップしてくれたので事なきを得ました。
しかし、69分に乾選手とブルーノ・メンデス選手に代えて為田選手と中原選手を投入し、右サイドMFの清武選手をFWに変更した場面でセレッソの守備が乱れました。後半押されていたため交代したのか、選手のコンディションを考えての交代なのかわかりませんが、先に動いたことにより同点ゴールを許すことになりました。小菊監督が為田選手に何を指示したのか不明ですが、為田選手は守備ブロックを作って、良いボールの奪い方からカウンターを狙う戦術とは真逆の守備、つまりFWと同じラインまでプレスに行ってしまいました。プレスをあっさり交わされて、アンデルソンロペスにボールが渡り、ドリブルでセレッソの守備がひきつけられると、フリーになっていた仲川選手にパスが渡りあっさりと同点を許すことになりました。
78分には西尾選手のクリアミスからアンデルソンロペス選手がシュートし、シュートがセレッソの選手にあったってコースが変わり、逆転されました。
これで試合は終わったかに思いましたが、80分に北野選手と山中選手、83分には鈴木選手を投入して攻撃に転じました。特に北野選手はユース所属とは思えないほど堂々とプレーしていました。
終了間際のCKから清武選手がニアでヘッドで合わせて同点として2-2のドロー、勝ち点1を獲得することができました。
この試合の良かったところとして、ブルーノ・メンデス選手は2019-2020シーズンにセレッソで見せてくれた速くて強さを兼ね備えたプレーで頑張っていました。新加入の選手との連携もまずまず、出遅れていた原川選手と奥埜選手の動きは全く問題なく安心できました。
心配なのは清武選手の使い方です。この試合、左サイドは乾選手と丸橋選手の連携ができていたのですが、右サイドの清武選手と松田選手の連携がイマイチでした。昨シーズン坂元選手がサイドに張ったら松田選手が中に、坂元選手の外からオーバーラップするなど右サイドのレーンは多様な連携ができていました。しかし、清武選手は中に入るプレーが得意ですので、松田選手が進むレーンは大外のみとなりました。
左サイドも乾選手が中のレーンを使うシーンが多いため、相手からすると絞りやすいように感じました。69分に清武選手がFWに入るとボール回しがスムーズになりましたので、清武選手はFWのほうがいいのかもしれません。しかし、この場合はFWのポジションが一つになりますので、試合に出場できないFWの選手の出場機会が少なくなります。
まだリーグ戦は始まったばかりです。リスタートばかりでなく、横浜FMのように流れの中でもデザインされた攻撃ができるのか(監督が準備しているのか)気になるところです。
ご参考までに、サッカージャーナリストの小澤一郎さんがセレッソの2トップ脇の守備の甘さ(解決できなかったベンチの問題)、乾選手の守備の良さの解説をされていましたので紹介します。
https://mobile.twitter.com/ichiroozawa/status/1494958174734254085?cxt=HHwWioDQ8cGilL8pAAAA
瀬古選手はアンダーの代表歴もあり、昨シーズンはセレッソのDFの要として活躍したため、夏に海外移籍するのではないかと思っていましたがこのタイミングに少し驚きました。
◆2022シーズンのスタッフ・選手一覧
◆セレッソの選手の移籍まとめ
セレッソの選手の移籍はinよりもoutが多いですが、期限付き移籍中の選手がそのまま他チームに移籍をした事例もあるため戦力ダウンという感じではありません。
日本代表クラスの選手の補強はありませんが、梶野統括部長のコメントの通り、<今シーズンの補強、編成については、各ポジションに、同じレベルの選手を揃えました。どの選手が試合に出てもレベルの変わらない、同じ戦いができるチームにと思って編成しました。新加入してもらった選手については、J1で実績のある山中選手、鈴木選手を始め、J2で活躍し、セレッソに入り、セレッソでまた成長することによって、そこからより成長していける選手を揃えました。セレッソのスタイルに合う選手を補強しました。さらに、得点力を上げるために、日本のビザを所持し、セレッソでも実績のあるブルーノ メンデスを加えました。今年は各選手がそれぞれのポジションでポジション争いをすることによって、勝者のメンタルを養い、常にアジアを狙うクラブとして、より勝ちにこだわり、3位以内、タイトルを狙います>クラブの予算規模やコロナ禍という所与の要件のなかいい選手補強ができたと思います。
1.GK:キム・ジンヒョン、ダン・バン・ラム、清水、真木
2.DF
(1)右サイドバック:松田、毎熊
(2)右CB:西尾、進藤、山下
(3)左CB:瀬古、鳥海
(4)左サイドバック:丸橋、山中、舩木
3.MF
(1)セントラルMF:原川、喜田、鈴木、奥埜、岡澤
(2)サイド:清武、為田、乾、パトリッキ、新井、中原
4.FW:上門、アダムタガート、ブルーノメンデス、中島、加藤、山田
コロナ禍が収束する見通が立たないこと、日本国外で代表の試合があった場合は日本入国後14日間の待機が求められること、昨年11月30日より外国人の新規入国が停止していることからそれなりの選手層が必要です。また、怪我人が多く出た場合に備えて、U18の選手もトップチームで起用することもあり得ますので、梶野統括部長の発言には説得力があります。
今シーズンの目標については、「3位以内」となりました。2020シーズンは「優勝を狙う」、2021シーズンは「3位以内がノルマ」との発言がありました。しかし、Jリーグでは資金力ではメガクラブ規模の神戸とFC東京、資金力と戦力が整っている川崎、横浜FM、鹿島、名古屋、G大阪がありますので、「優勝」「3位以内がノルマ」は現実的な目標設定ではありませんでした。アジアの大会に出場するためには3位以内または天皇杯優勝(条件によっては4位も出場可能)が必要ですので、今シーズンは現実的な目標を立てたと思います。簡単ではありませんが、目標達成のためには小菊監督の手腕が重要です。
小菊監督は今シーズンの具体的な数値として、〈今日、ミーティングで選手たちと共有したことは、今年の具体的な数字です。『勝点60、得点は55,失点は34。この数字を全員でクリアすることができれば、目標のACLに向かって行ける、そして優勝争いができる』というミーティングをしました」〉と述べました。J1リーグは34試合なので、失点は1試合あたり1点までということはよく分かりましたが、「得点55」の根拠がよく分かりませんでした。「毎試合2得点を目指し、失点は1失点までに抑える」のであれば、「得点68、失点34」となります。この点については記者会見で質問をした記者に突っ込んでいただき小菊監督の真意を確認してほしかったので少し残念です。
今シーズンもコロナ禍でキャンプや練習が予定どおりこなせない、試合メンバーが思うように揃わないなど、予期せぬことが多いと思いますが、少しでもいいシーズンとなることを願っています。
2021シーズンを振り返りたいと思います。なお、僕はサッカー経験者ではなく、テレビやスタジアムでサッカーを観戦するのが好きなだけの一ファンです。
1.2021シーズンの成績
○J1リーグ:12位(13勝9分16敗)
○YBCルヴァンカップ:準優勝
○天皇杯:準決勝敗退
○ACL:ラウンド16敗退
セレッソの予算規模、戦力を冷静に考えればリーグ戦はボトムハーフとなり残念でしたが、カップ戦はまずまずの成績だったと思います。
それにも関わらず、2021シーズンの結果にすっきりせず、もやもやとしています。
YBCルヴァンカップ決勝での敗戦、J1リーグ最終節と天皇杯準決勝で何もできずに敗戦したことも一因だと思います。
2.監督選びの迷走
2020年秋にロティーナ監督との契約更新をしないと発表した時点から、今までずっと迷走していた感があります。
まずロティーナ監督の後任として就任したのがクルピ監督でした。森島社長や梶野部長から「攻撃的なサッカー」「ワクワクするサッカー」という曖昧な言葉が繰り返されました。最近スポーツニッポンに森島社長のインタビューが掲載されていました。
https://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2021/12/08/kiji/20211208s00002179063000c.html
<「ワクワク感」を取り戻すため、クラブは再びレヴィー・クルピ監督を招聘(しょうへい)し、攻撃的なサッカーへの原点回帰を決意した。だが、良くも悪くも選手たちに自由を与えるのがクルピ監督。昨季までは「攻略法」という参考書を与えられていた生徒たちが、途端に自分たちに任されたらどうなるのか――。監督主導型から選手主導型となり、誰しもが少なからず抱いていた不安は的中。結果的に途中解任に至った。
8月から指揮を執った小菊昭雄監督のもとでは6勝7敗という戦績を残した。J2降格という最悪の事態は免れたとはいえ、アジアを目指すクラブだけに、満足することはできない。サポーターや応援してくれる子どもの悔しさを晴らすためにも、勝ち上がっている天皇杯、そして来季以降の巻き返しに期待したい。(サッカー担当・西海 康平)>
何を言っているのかわかりませんでした。クルピ監督は以前なら名監督だったと思います。しかし、今まで感覚的だったサッカーの戦術が論理的になり、文字化までされた現代サッカーではクルピ監督は時代遅れでした。成績不振でJ2降格の危機になったのにも関わらず、監督選びの失敗の責任を誰も取らず、選手の責任に転換したコメントはひどいなと思います。
これに対し、ブラジルのフットボールは選手の個人能力に頼る傾向にあり、戦術の重要さが十分に理解されていなかった。このため、CBFがライセンス制度を整備するのが遅れた。とても残念で悔しい状況だが、今後、自分たちが巻き返していかなければならない」〉
4.外国人選手
2021シーズンは外国人選手が、FWタガート選手、DFチアゴ選手、ダンクレー選手、GKキムジンヒョン選手、ダンバンラム選手でした。このうちダンクレー選手はDFの怪我人続出やチアゴ選手が日本政府による新規入国停止措置により来日できなかったことによる期間限定の緊急補強でしたので、元々準備していた外国人選手はFW1名、DF1名、GK2名でした。
2019シーズンはFWメンデス選手、MFソウザ選手、デサバト選手、DFヨニッチ選手、GKキムジンヒョン選手と5人全員が助っ人と言える活躍をした選手でした。それに比べて2021シーズンは外国人選手の人数も質も足りませんでした。タガート選手は怪我が多くてまだ評価はできませんが、チアゴ選手は高くて強いですが足が遅いという欠点が解ってからは使いにくい選手という評価になりベンチ外が続きました。一部スポーツ新聞によるとタガート選手とチアゴ選手は移籍金を払ってくれるクラブへの売却を考えているようです。結局1年間フルに出場できた外国人選手はキムジンヒョン選手のみでした。
外国人選手の構成については、コロナ禍でセレッソの経営が苦しかったこともあるでしょうが、外国人選手を的確に補強した福岡に比べるとフロントの能力の差が出たと思います。
5.日本人選手
2021シーズンのセレッソはどのようにして得点を奪うのか全く見えて来ませんでした.唯一チャンスとなりそうなのはサイドからのクロス。それを武器にするのであれば、徳島の垣田選手、ガンバのパトリック選手のように高くて強いFWを揃えるべきでした。しかしセレッソにはそのようなFWがおらずクロスはことごとく相手DFに跳ね返されました.
またクルピ監督の時は選手を固定していたのでベテランの起用が多く、若い選手を育てることもありませんでした。例外として西尾選手は多くの試合に起用されましたが、これは怪我人が多かったので起用せざるを得なかったということでしょう。
日本人選手の能力や実績は上位のクラブに比べて劣っているのにも関わらず、シーズン中の補強はスペインから復帰した乾貴士選手を除くと、JFLから新井選手が期限付き移籍加入しただけでした。様々な事情があると思いますが、鳥栖のレギュラーだった松岡選手をシーズン中に引き抜いた清水の補強に比べると地味だったいえます(乾貴士選手はスペイン1部からオファーがあればセレッソには加入していませんでしたので計算外の補強とします)。
6.モヤモヤ感の要因
コロナ禍の影響、長居球技場(ヨドコウ桜スタジアム)の改修工事と寄付金が想定よりも集まらなかった影響で経営は苦しかったと思います。また大阪府の緊急事態宣言の期間が長かったこともあり他のクラブと比べても無観客試合が多かったこともあるでしょう。そのような状況にも関わらず、森島社長と梶野部長はセレッソは3位以内がノルマと語るなど、現実と対外的に公表した目標があっていないことが、ファン、サポーターがセレッソにモヤモヤ感を抱く最大の原因だと思います。セレッソの選手構成、来シーズンのシーズンシートの価格、シーズンシートやサクラソシオの特典の低さには、経営が苦しいことがはっきりと出ています。そのような状況にも関わらず、クルピ監督以外誰も責任を取らない、経営状態から鑑みた適切な目標設定をしないなど、セレッソのフロントは誠実さを欠いています。
7.最後に