
太陽の燃えつきたればひとり寝の部屋を照らせる皓月も消ゆ
かつてぼくはみずからを月に喩えた
太陽の明るさを持つ人物に照らされる
ことによって、実在していると
自覚していたからである
その太陽が燃え尽きたいま
ぼくはみずからの存在を訴える術をもたない
螢のようにほんの幽かであっても
みずから光を放つ存在となれるかどうか
進化によって光れるか否か
ぼく次第だ
石川幸雄 1964年東京生まれ
詩歌探究社「蓮」代表、個人誌「晴詠」発行人
十月会会員、板橋歌話会役員、現代歌人協会会員
日本短歌総研上席研究員
歌集に『解体心書』、『百年猶予』ほか。
研究書に田島邦彦研究「一輪車」
入門書に『誰にも聞けない短歌の技法Q&A』がある