詩歌探究社 蓮 (SHIIKATANKYUSYA HASU)

詩歌探究社「蓮」は短歌を中心とした文学を探究してゆきます。

寿司屋

2018-10-16 16:10:53 | 千駄記


好きなだけ食べてゆきなよ好きなだけ喋ってゆきなよ黙っているから


寿司を食べるというと贅沢な感じ。

二間の長屋に家族五人で暮らしていたころ
ごくごくたまに
目出度いときに
出前の寿司がちゃぶ台に上がった記憶が
染みついているからか。

昔ながらの寿司屋は緊張するし
わさびを巻いてもらおうかな
なんてツーぶったセリフを聞くのも恥ずかしい。
ゆえに暖簾をくぐって
オススメをテキトーに握ってちょうだい
なんて言ったこともなく。

そんな敷居を取っ払ったのが回転寿司。
ひとりで気軽につまんで帰る。
いまや回転寿司は家族の団欒に使われる。
持ち帰る寿司屋さんもたくさんできた。

どんなに賑わっていても
どんなに威勢がよくても
寿司屋は寒くてさみしい。
最後の晩餐に寿司は良くない。

小沢昭一は「味覚とは郷愁」と言ったが
なるほどと思う。


石川幸雄 1964年東京生まれ
詩歌探究社「蓮」代表、個人誌「晴詠」発行人
十月会会員、板橋歌話会役員、現代歌人協会会員
日本短歌総研上席研究員
歌集に『解体心書』、『百年猶予』ほか。
研究書に田島邦彦研究「一輪車」
入門書に『誰にも聞けない短歌の技法Q&A』がある

板橋歌話会10月例会

2018-10-16 12:09:40 | 短歌情報


夕焼空焦げきはまれる下にして氷らんとする湖のしづけさ(『切火』)  島木赤彦

昨日は板橋歌話会の例会がありました。

発表は結社「炸」代表の松坂弘氏による
<島木赤彦『切火』を読む>で、司会は奥村晃作氏。

赤彦の人生を振り返り、代表作及び
『切火』から抄出された作品の朗読
及び丁寧な解説に聞き入りました。

釈迢空はこの歌集『切火』を大いに評価したといいます。
「文語短歌から口語短歌への移行のきっかけ」
であったとも言われたそうです。
ここでいう口語短歌は現代の歌壇のそれと
異なるものであるのは言うまでもありません。

参加者は20名を切って残念でしたが今後も
歌話会のご案内をしてゆきますので
お時間のある方はぜひともお集まりください。

私の好きな赤彦の一首

隣室に書よむ子らの声きけば心に沁みて生きたかりけり


石川幸雄 1964年東京生まれ
詩歌探究社「蓮」代表、個人誌「晴詠」発行人
十月会会員、板橋歌話会役員、現代歌人協会会員
日本短歌総研上席研究員
歌集に『解体心書』、『百年猶予』ほか。
研究書に田島邦彦研究「一輪車」
入門書に『誰にも聞けない短歌の技法Q&A』がある