コロナウイルスにより世界経済が大打撃を受けています。とりわけ飲食業・観光業は瀕死の状態で、日本政府は少しでも助けになればと「Go to トラベル」キャンペーンを実施中です。
ただ、感染者が多い東京都は除外されています。そして感染者数の増加が鈍ったということで、来月から東京都もキャンペーン対象にしてはとの意見があります。そこで9月11日午前、国交相が「Go to トラベル」キャンペーンへの東京都追加を分科会に諮ると発表されました。でも、その内容についての記事ではありません。そのテレビ音声を聞いて、私、混乱しちゃったのです。
赤羽一嘉国土交通大臣:
「東京都を目的とする旅行、東京都に居住する方の旅行を10月1日から『GoToトラベル』事業の対象とすることを本日の分科会にお諮りさせていただくことを今、決めさせていただいた」
「東京都を目的とする旅行、東京都に居住する方の旅行を10月1日から『GoToトラベル』事業の対象とすることを本日の分科会にお諮りさせていただくことを今、決めさせていただいた」
30年近く前、日本語を学ぶ外国人を手伝っていました。「~させていただく」というのは、自分が何かをするのに相手(または第三者)の許可が必要で、その結果自分が恩恵を被る場合に使うんだよと伝えました。例えば、
あなたのパソコンを使わせていただいて助かりました。
この意味は「あなたの許可を得てあなた所有のパソコンを使用した結果、レポートが完成できました。感謝しています」ということですね。これは基本的な使い方で日常生活ではもっと複雑に「~させていただく」を使っていますが、どれも言外に感謝の気持ちが込められています。その一例は「本日の披露宴の司会を務めさせていただきます」。これは諸先輩方やもっとふさわしい人を差し置いて、この私に大役を許可して下さってありがとうございますという気持ちです。
そこでもう一度、赤羽大臣の言葉を見てみます。
・分科会にお諮りさせていただく
諮るのは自分たちがなすべき仕事なのに、誰の許可が必要?
あっさり「お諮りする」じゃダメ?
もしや分科会メンバーが外部専門家だから、謙譲の気持ちを込めて使っているのかしらん?
・決めさせていただいた
自分たちが決定権を持っているのに、誰の許可が必要?
あっさり「決定いたしました」じゃダメ?
もしや東京追加の責任は分科会だよって気持ちなのかしらん。
それとも、大臣には私が気づかない深い意図があるのかなぁ?
そう言えば、以前男性芸能人が結婚会見でやたら「~させていただく」を連発してました。
男性芸能人:「長い間お付き合いさせていただいていますが、初めてお会いさせていただいた時にお声をかけさせていただき、メアドの交換をさせていただきました。その後プロポーズさせていただき、こうやって結婚させていただき、この会見を開かせていただきました」
う~ん、明らかにやりすぎ。私はなんだかお尻がむずむずしました。
そして日本語のお手伝いから30年後の最近、留学生の日本語スピーチ発表会を鑑賞しました。もう上手な人ばかりで感動!そしてやはりどの人も「~させていただく」の連発。以前はこんなことなかったのにどこかで変化したのね。
言葉は生き物、いつかこれがスタンダードな表現方法になるのかもしれませんね。
つまらないことを長々と書かせていただきました。
アビー:「もー、おねちゃんたらメンドくさい人だなぁ。分かればいいじゃん。大臣は国民の目を意識してへりくだって話したんじゃないのぉ~?知らんけど」
その年月の経過に驚いております。
でも確かに言ってることわかる~
そしてアビちゃんの「知らんけど」も受けた~
30年前がこんな感覚なら、30年後もすぐ来るでしょうな。