インターホンの音で起こされた河村亮は、寝ぼけ眼で玄関に立っていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/7f/bb90c2064d70ef033000d23ecd0514a7.jpg)
そこにはテンション高めの赤山蓮が、沢山の参考書を手にニコニコと笑っている。
「じゃーん!検定試験の過去問集〜!やっぱ亮さんには俺しかいないっしょ?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/3e/06c762f9f7c5b310321c0e6c9a6806dd.jpg)
亮は蓮からそれらを受け取り、仏頂面でパラパラと捲り始める。
「ピアノも大事だけど、勉強もしっかりやんなきゃね!
その過去問集、問題と解説が超良いんだ。こんな良いモンあげるんだから、この恩は忘れないでよ?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/63/ccc2228199254db6573b713eeee03de5.jpg)
亮が参考書を見ている間にも、蓮はお喋りを続けながら河村宅の探索を始めた。
ダメージが買ったヤツじゃねーか‥バレバレだっつの
「ジュースねーの?ジュース!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/64/4bedccfc4d59c501861be98bc76164f0.jpg)
参考書の重さを両手に感じながら、亮は複雑な気持ちを持て余した。
こうして自分を気に掛けてくれる彼女の真心が、亮の覚悟に揺らぎを掛ける‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/62/9ed62657140dfd4b99055ed0d4faf5a4.jpg)
「水と酒ばっかじゃん」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/b3/046d3e75145386316e5951e85ab2ac5d.jpg)
冷蔵庫を開けた蓮は、そう言って残念そうに口を尖らせた。
黙っている亮の周りを、蓮はキョロキョロしながら忙しなく動き回る。
「つーかこの家、亮さんのモン何もねーのな!女物ばっか!亮さんの姉ちゃんは今日居ないの?
つーか顔どうしたん?二日酔い?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/fd/5cf9590c99c5f91d4ee76a8079807eac.jpg)
蓮からそう言われ、亮は気怠そうに髪を掻き上げた。
「あー‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/52/8993e8ef52b6d74540be38e22abd82f9.jpg)
翌日になってもまだ酒が残っているのは、昨日の飲みの席のせいなのだ。
自分を追いかけて上京して来た元社長・吉川と元同僚の顔が、亮の脳裏に蘇る‥。
「コンクールの準備はどうなんだ?ちゃんとやってんのか?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/10/2bfb0b204253b706d31b874edfe73b44.jpg)
「そのコンクールっていつなんだ?
終わったらすぐに俺等とドロンだからな?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/7c/e20f4292fc14930aed8dd09402012fb3.jpg)
会う度にそうダメ押しして来る吉川から目を逸らし、亮は曖昧に頷いた。
「はぁ‥分かってますって」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/a4/d30d1c0822158ad5eeb1998f3981058b.jpg)
元同僚が吉川に皿を差し出す。
「召し上がって下さい」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/6e/b07fea721da6f069942ea614f96d364d.jpg)
すると吉川はガハハと笑いながら、元同僚の肩をバンバンと叩き始めた。
「お、そうだ!最近こいつこの近くで土方の仕事やってんだよ。知ってんだろ?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/aa/4eb9c8801d782fe0edd19ec4d7c1100e.jpg)
「あー‥そうなんすか」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/f9/5a04703166ffa3db9e4cc8a090f5f63a.jpg)
興味なさそうに相槌を打つ亮に、吉川は見かねて言葉を掛ける。
「おいおい〜こいつにもっと興味持ってやれよ。
こいつがどんだけお前のこと好きだと思ってんだ。俺に殴られてもお前の行方漏らさなかったんだぜ?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/80/97cd4575b27f8a08ea899503db355ee2.jpg)
吉川は元同僚の男に対しては一層高圧的だ。
「お前もせっせと稼がにゃ〜な?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/bd/03a0eac5bc309175be8f1e4b3632c1de.jpg)
「お前らおつむが足りねーのか、金銭感覚ってモンがねぇんだよなぁ。
毎日毎日利息は増え続けんのに懲りずにまた金借りてよぉ。なぁ?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/2a/f624e1fdbf4f7f72efb22b76711e4121.jpg)
吉川は何度も男の頭を殴り、罵倒し、見下すが、男はただ下を向いてそれに耐えるだけだった。
「お前なぁ、俺は本来金貸しなんてしねーってのに、お前には特別に貸してやってんだぜ?」
「いや俺は借りたくて借りてるわけじゃ‥社長が半強制的に‥」
「おらおら、乾杯ー!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/d0/16427049d994eb4f14944cd749d0c252.jpg)
「早くしろ!」「はい‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/fd/e683e8b6f1ad88967ab71538ef4f5a30.jpg)
「わはは!良い気分だぜー」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/b5/788b9889c539f7f9c74765ee765e453e.jpg)
やられっぱなしの元同僚を見ていると、亮の胸中が苛立ちに煙った。
それを誤魔化すように酒を何杯も飲み干したが、遂にその靄が晴れることはなかった‥。
「亮さん、見て見て」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/a8/d5d74af2de455a49c8767e88282acc84.jpg)
考え込む亮に向かって、蓮は軽い調子で自身の携帯に表示されたアプリを見せる。
「このアプリさぁ、作るだけでもかなりオイシーから!これマジだよ!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/d8/e2e6d58676ce638136aecf2e3d390d31.jpg)
亮はそんな蓮がウザったくなって足を向けた。蓮は口を尖らせて抵抗する。
「くっそ!お前もう帰れ!そんで仕事しろ!何がアプリだ!」
「なんでだよぉ〜!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/d4/ccf028854aed8edddeeff9ef201ceaa6.jpg)
しかし蓮は引き下がらない。寧ろ目を輝かせながら、弾むような口調で話を続けて来た。
「これ怪しい話じゃねーよ?
ある程度根拠があるオイシー話なんだよ!今が打って出るその時なわけ!」「‥‥‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/9c/95bbfa89545f72d0aa1609c8933dc335.jpg)
「俺、本気だよ亮さん!いずれ会社作ったら良いポストあげるからさ!入ってよ!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/05/56c7859a2aca30f25dda046e0743db98.jpg)
まるで根拠の無い、絵空事ような未来の話。
亮はため息を一つ吐いて、現実的な問題を口にする。
「おい、そんでも会社作んのに金が要るだろ?」
「そりゃそうさー!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/8b/b3130c1a901edbed888e5b1c0e796abd.jpg)
しかし蓮は亮のその言葉を耳にした途端、待ってましたとばかりに食い付いて来た。
「だから先立って金がどうしても要るわけなんだけどさぁ、
したら、ここに良さげな職見つけたのよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/3d/2b4dadc11d803a380927044e5ad6980a.jpg)
携帯の画面には、「ヤングマン産業営業職募集」と書いてあるサイトが表示されている。
「若手ベンチャーのための資金を支援する会社なんだって。
営業の教育受けたらすぐ現場入れるみたい。俺の性格からして営業向いてると思うんだよねー」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/95/e6ae6037a33a3836cdf70cfc6979cf12.jpg)
「三ヶ月インターンすれば、実績によっては支店長になれんだって!
ま、俺は短期間で事業資金だけ稼いですぐ辞めるけど!」
「ハァ?!んな上手ぇ話があるわけねーだろ!詐欺だろそれ!ったくコイツは‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/15/f114dc7d2b628fa1cb878ea79e6198d2.jpg)
そう声を荒げる亮に向かって、蓮は不思議そうに首を傾げた。
「いやいや、実際行ってみて怪しげだったらドロンすりゃいい話じゃん。何が問題なの?
つーか面接受かんなきゃどうせ入れねーし。変なとこじゃねーって!」「ほぉ‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/68/00e9c445cc7049547d8367e301f3fcd6.jpg)
「最近はTOEICだなんだじゃなくて、人そのものを見るのがトレンドだからね。
なおさらこの流れに乗らなくちゃぁ!」「ほぉぉ‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/82/e1737aea31ccd65ba84ed02ee0bbdbb9.jpg)
だんだんと亮の理解の範疇を越えて行く蓮の話。
一旦冷静に戻るべく、亮は彼の家族の話を持ち出した。
「おい、お前このこと親とか姉ちゃんに話したのか?」
「俺の就職だぜ?なんで姉ちゃんが出てくんのよ?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/af/1275f4ab48fb70e140e02cef52ffb0d7.jpg)
蓮は苛ついた口調で素っ気なくそう返すと、再び亮に向かって勧誘を始める。
「いいから、亮さんも一緒に入ろうぜ。中卒以上ならオッケーみたいだから。
亮さん今無職だから真っ昼間からゴロゴロしてんだろ?何してんのかも謎だしさぁ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/0b/52c96566b1d1956c590fa6d702c54a5e.jpg)
「早く申し込んでよ!つーか俺が代わりにやったろか?」
「はぁぁ‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/19/1a2300fc16fa6d8ee61a4d5bb6a23119.jpg)
甘言を誘う蓮の前で、亮はただただ呆れて口を開けていた。
風向きが、変な方向へと変わって行く‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<甘言>でした。
い‥嫌な予感しかしないよ、蓮‥![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face2_lose_s.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face2_lose_s.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face2_lose_s.gif)
本当考えが短絡的というかなんというか‥。暗雲立ち込めてまいりましたね‥。
そして今回の見どころは冬も近いというのに自宅では黒タンク&裸足の亮さんですね。眼福!!ww
次回は<はぐれ者達の会話>です。
☆ご注意☆
コメント欄は、><←これを使った顔文字は文章が途中で切れ、
半角記号、ハングルなどは化けてしまうので、極力使われないようお願いします!
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そこにはテンション高めの赤山蓮が、沢山の参考書を手にニコニコと笑っている。
「じゃーん!検定試験の過去問集〜!やっぱ亮さんには俺しかいないっしょ?」
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亮は蓮からそれらを受け取り、仏頂面でパラパラと捲り始める。
「ピアノも大事だけど、勉強もしっかりやんなきゃね!
その過去問集、問題と解説が超良いんだ。こんな良いモンあげるんだから、この恩は忘れないでよ?」
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亮が参考書を見ている間にも、蓮はお喋りを続けながら河村宅の探索を始めた。
ダメージが買ったヤツじゃねーか‥バレバレだっつの
「ジュースねーの?ジュース!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/64/4bedccfc4d59c501861be98bc76164f0.jpg)
参考書の重さを両手に感じながら、亮は複雑な気持ちを持て余した。
こうして自分を気に掛けてくれる彼女の真心が、亮の覚悟に揺らぎを掛ける‥。
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「水と酒ばっかじゃん」
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冷蔵庫を開けた蓮は、そう言って残念そうに口を尖らせた。
黙っている亮の周りを、蓮はキョロキョロしながら忙しなく動き回る。
「つーかこの家、亮さんのモン何もねーのな!女物ばっか!亮さんの姉ちゃんは今日居ないの?
つーか顔どうしたん?二日酔い?」
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蓮からそう言われ、亮は気怠そうに髪を掻き上げた。
「あー‥」
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翌日になってもまだ酒が残っているのは、昨日の飲みの席のせいなのだ。
自分を追いかけて上京して来た元社長・吉川と元同僚の顔が、亮の脳裏に蘇る‥。
「コンクールの準備はどうなんだ?ちゃんとやってんのか?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/10/2bfb0b204253b706d31b874edfe73b44.jpg)
「そのコンクールっていつなんだ?
終わったらすぐに俺等とドロンだからな?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/7c/e20f4292fc14930aed8dd09402012fb3.jpg)
会う度にそうダメ押しして来る吉川から目を逸らし、亮は曖昧に頷いた。
「はぁ‥分かってますって」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/a4/d30d1c0822158ad5eeb1998f3981058b.jpg)
元同僚が吉川に皿を差し出す。
「召し上がって下さい」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/6e/b07fea721da6f069942ea614f96d364d.jpg)
すると吉川はガハハと笑いながら、元同僚の肩をバンバンと叩き始めた。
「お、そうだ!最近こいつこの近くで土方の仕事やってんだよ。知ってんだろ?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/aa/4eb9c8801d782fe0edd19ec4d7c1100e.jpg)
「あー‥そうなんすか」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/f9/5a04703166ffa3db9e4cc8a090f5f63a.jpg)
興味なさそうに相槌を打つ亮に、吉川は見かねて言葉を掛ける。
「おいおい〜こいつにもっと興味持ってやれよ。
こいつがどんだけお前のこと好きだと思ってんだ。俺に殴られてもお前の行方漏らさなかったんだぜ?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/80/97cd4575b27f8a08ea899503db355ee2.jpg)
吉川は元同僚の男に対しては一層高圧的だ。
「お前もせっせと稼がにゃ〜な?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/bd/03a0eac5bc309175be8f1e4b3632c1de.jpg)
「お前らおつむが足りねーのか、金銭感覚ってモンがねぇんだよなぁ。
毎日毎日利息は増え続けんのに懲りずにまた金借りてよぉ。なぁ?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/2a/f624e1fdbf4f7f72efb22b76711e4121.jpg)
吉川は何度も男の頭を殴り、罵倒し、見下すが、男はただ下を向いてそれに耐えるだけだった。
「お前なぁ、俺は本来金貸しなんてしねーってのに、お前には特別に貸してやってんだぜ?」
「いや俺は借りたくて借りてるわけじゃ‥社長が半強制的に‥」
「おらおら、乾杯ー!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/d0/16427049d994eb4f14944cd749d0c252.jpg)
「早くしろ!」「はい‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/fd/e683e8b6f1ad88967ab71538ef4f5a30.jpg)
「わはは!良い気分だぜー」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/b5/788b9889c539f7f9c74765ee765e453e.jpg)
やられっぱなしの元同僚を見ていると、亮の胸中が苛立ちに煙った。
それを誤魔化すように酒を何杯も飲み干したが、遂にその靄が晴れることはなかった‥。
「亮さん、見て見て」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/a8/d5d74af2de455a49c8767e88282acc84.jpg)
考え込む亮に向かって、蓮は軽い調子で自身の携帯に表示されたアプリを見せる。
「このアプリさぁ、作るだけでもかなりオイシーから!これマジだよ!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/d8/e2e6d58676ce638136aecf2e3d390d31.jpg)
亮はそんな蓮がウザったくなって足を向けた。蓮は口を尖らせて抵抗する。
「くっそ!お前もう帰れ!そんで仕事しろ!何がアプリだ!」
「なんでだよぉ〜!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/d4/ccf028854aed8edddeeff9ef201ceaa6.jpg)
しかし蓮は引き下がらない。寧ろ目を輝かせながら、弾むような口調で話を続けて来た。
「これ怪しい話じゃねーよ?
ある程度根拠があるオイシー話なんだよ!今が打って出るその時なわけ!」「‥‥‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/9c/95bbfa89545f72d0aa1609c8933dc335.jpg)
「俺、本気だよ亮さん!いずれ会社作ったら良いポストあげるからさ!入ってよ!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/05/56c7859a2aca30f25dda046e0743db98.jpg)
まるで根拠の無い、絵空事ような未来の話。
亮はため息を一つ吐いて、現実的な問題を口にする。
「おい、そんでも会社作んのに金が要るだろ?」
「そりゃそうさー!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/8b/b3130c1a901edbed888e5b1c0e796abd.jpg)
しかし蓮は亮のその言葉を耳にした途端、待ってましたとばかりに食い付いて来た。
「だから先立って金がどうしても要るわけなんだけどさぁ、
したら、ここに良さげな職見つけたのよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/3d/2b4dadc11d803a380927044e5ad6980a.jpg)
携帯の画面には、「ヤングマン産業営業職募集」と書いてあるサイトが表示されている。
「若手ベンチャーのための資金を支援する会社なんだって。
営業の教育受けたらすぐ現場入れるみたい。俺の性格からして営業向いてると思うんだよねー」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/95/e6ae6037a33a3836cdf70cfc6979cf12.jpg)
「三ヶ月インターンすれば、実績によっては支店長になれんだって!
ま、俺は短期間で事業資金だけ稼いですぐ辞めるけど!」
「ハァ?!んな上手ぇ話があるわけねーだろ!詐欺だろそれ!ったくコイツは‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/15/f114dc7d2b628fa1cb878ea79e6198d2.jpg)
そう声を荒げる亮に向かって、蓮は不思議そうに首を傾げた。
「いやいや、実際行ってみて怪しげだったらドロンすりゃいい話じゃん。何が問題なの?
つーか面接受かんなきゃどうせ入れねーし。変なとこじゃねーって!」「ほぉ‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/68/00e9c445cc7049547d8367e301f3fcd6.jpg)
「最近はTOEICだなんだじゃなくて、人そのものを見るのがトレンドだからね。
なおさらこの流れに乗らなくちゃぁ!」「ほぉぉ‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/82/e1737aea31ccd65ba84ed02ee0bbdbb9.jpg)
だんだんと亮の理解の範疇を越えて行く蓮の話。
一旦冷静に戻るべく、亮は彼の家族の話を持ち出した。
「おい、お前このこと親とか姉ちゃんに話したのか?」
「俺の就職だぜ?なんで姉ちゃんが出てくんのよ?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/af/1275f4ab48fb70e140e02cef52ffb0d7.jpg)
蓮は苛ついた口調で素っ気なくそう返すと、再び亮に向かって勧誘を始める。
「いいから、亮さんも一緒に入ろうぜ。中卒以上ならオッケーみたいだから。
亮さん今無職だから真っ昼間からゴロゴロしてんだろ?何してんのかも謎だしさぁ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/0b/52c96566b1d1956c590fa6d702c54a5e.jpg)
「早く申し込んでよ!つーか俺が代わりにやったろか?」
「はぁぁ‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/19/1a2300fc16fa6d8ee61a4d5bb6a23119.jpg)
甘言を誘う蓮の前で、亮はただただ呆れて口を開けていた。
風向きが、変な方向へと変わって行く‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<甘言>でした。
い‥嫌な予感しかしないよ、蓮‥
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face2_lose_s.gif)
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本当考えが短絡的というかなんというか‥。暗雲立ち込めてまいりましたね‥。
そして今回の見どころは冬も近いというのに自宅では黒タンク&裸足の亮さんですね。眼福!!ww
次回は<はぐれ者達の会話>です。
☆ご注意☆
コメント欄は、><←これを使った顔文字は文章が途中で切れ、
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