A大の片隅で、柳瀬健太は声を上げた。
「マジでどーすりゃいいんだ?!全然寝れんかったっつーの!」
健太を悩ませているのは、もっぱら青田淳との件であった。
健太は頭を抱え足を踏み鳴らしながら、苛立ちを持て余す。
くっそーおかしくなりそうだぜ‥!
海外のサイトまで全部見てみたけど、半額だとしても学費レベルの出費じゃねーか!
学費のローンさえまだ返済出来てねぇってのに‥
つーか生活費はどうする?バイトすべきか?
いやいや!そんじゃ就活はどうすんだよ?!
卒業試験は?!結局過去問も手に入らんかったし!
うう‥うううう‥うああああああああ!!!!!!!
考えれば考える程、自分が袋小路へと追い込まれているのが分かる。
それでも何か手を打たなくてはと、健太は必死になって現状を打破する糸口を掴もうと足掻いていた。
考えろ、健太。
A大生・柳瀬健太!考えるんだ‥!
自分はただのボンクラ野郎じゃない、一流大学の学生なのだー‥。
今健太を冷静へと引き戻したのは、自分を立てるそんなプライド‥。
しかし‥。
「くっそぉぉぉ!考えるったって何を考えりゃいいんだよ!!」
「もー知らん!!チョームカつく!!」
「知らん!知らん知らん知らん!!!」
健太は鞄を地面に投げつけ、その巨体をブンブンと揺らしながら地団駄を踏んだ。
A大生であるというプライドの中身は、何も無いただのハリボテに過ぎなかったのだ‥。
ゲホゲホッ‥!あー‥喉カラカラ‥
そう思いながら自販機の方を見ると、
そこに見覚えのある人物の姿があった。
糸井直美である。
久しく見掛けなかった彼女の姿を目にして、
健太は目を点にして動きを止めた。
「!」
自販機の前に立っていた直美は、
こちらに近づいて来る黒木典達の姿を目にしてギョッとした。
「あ‥あ‥」
瞬時に身を隠そうと思ったが、隠れられるような場所はどこにもない。
直美が途方に暮れようとしたその時、急に目の前に壁が出来た。
黒木典は自販機の前に佇む人物に向かって、若干の苦い表情で挨拶を口にする。
「あ、健太先輩。こんにちは」
「おお、チワ」「それじゃ失礼しますー」
典達一行は、健太に近寄ることなくそのまま場を離れて行った。
健太の後ろに佇む、糸井直美には一向に気付かないまま。
無言のまま、二人は顔を見合わせた。
今となっては学科を追われた科代表と、最年長の先輩。
彼らはそれぞれにはぐれ者だった。
「なんか飲み物奢ってくれっか?」
直美を隠してやったお礼とばかりにそう言う健太に、直美は頷いた。
二人は自販機のジュースを手に、ベンチへと腰を下ろす。
黙っている直美に向かって、健太の方から声を掛けた。
「専攻、夜間に移したんだって?」
「はい、まぁ‥」「うわー大変じゃねーか!」
頷く直美に、健太はお得意のオーバーアクションで言葉を続ける。
「ったくどうして女の子達ってのはそうなんだろうなぁ!
本人が違うっつってんだから信じてやれっての!俺はともかく、友達なら味方になってやるべきだろ!なぁ?!」
「薄情だよなぁ!」
「もう良いんです。過ぎた事ですから‥」
直美はそう言って諦めたように下を向いた。
今の直美は為す術もない現実の前に、打ちのめされたような雰囲気だ。
「結局この程度の仲だったってことですよ。
すごく悔しいですけど、防犯カメラも無いのにどうやって犯人を捕まえるって言うのか‥」
やるせない気持ちが溢れ、直美は悲しげな表情を浮かべていた。
そんな中でも、健太の隣でうっすらと微笑みが浮かぶ。
「それでも今もあたしの味方になってくれるのは先輩だけです。雪ちゃん達を止めてくれたのも‥」
「ん?俺はまぁちょっと人よりは心が広い方かもな!ははは!」
褒められた健太は得意気な態度で、
俺ってばよ‥。と髪を触って見せる。ウゼー
直美はそんな健太に向かって、彼の近況を尋ね始めた。
はぐれ者達は、片隅のベンチで会話を重ねる。
「試験勉強は順調ですか?」
「あー期末にしろ卒験にしろ、アイツの過去問にしてもさぁ‥」
「あ、そうだ夜間授業で聞いた情報なんですが‥」「おお!そーなのか!」
「糸井、困ったことがあったら言うんだぞ?」「はい」
ははは!
初冬の空に、健太の笑い声が響き渡った。
まだ自分は完全に終わったわけじゃない、笑い声に潜むのは、そんな一縷の望み‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<はぐれ者達の会話>でした。
アレッ?!時計の弁償額、学費レベルとな!!
調べてみましたら韓国の大学の一年間の学費が60万くらいだそうなので、そのくらいってことですかね‥?!
プラス佐藤先輩へのPC代‥。健太、確かにピンチ!(しかし自業自得‥)
そして直美がすっかりはぐれ者に‥。一応科代表なのに‥。
この二人が徒党を組んでこれから何かしでかすんでしょうか‥。うーん波乱の予感!
4部38話はここまでです。
次回は<不可の烙印>です。
☆ご注意☆
コメント欄は、><←これを使った顔文字は文章が途中で切れ、
半角記号、ハングルなどは化けてしまうので、極力使われないようお願いします!
人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ
引き続きキャラ人気投票も行っています〜!
「マジでどーすりゃいいんだ?!全然寝れんかったっつーの!」
健太を悩ませているのは、もっぱら青田淳との件であった。
健太は頭を抱え足を踏み鳴らしながら、苛立ちを持て余す。
くっそーおかしくなりそうだぜ‥!
海外のサイトまで全部見てみたけど、半額だとしても学費レベルの出費じゃねーか!
学費のローンさえまだ返済出来てねぇってのに‥
つーか生活費はどうする?バイトすべきか?
いやいや!そんじゃ就活はどうすんだよ?!
卒業試験は?!結局過去問も手に入らんかったし!
うう‥うううう‥うああああああああ!!!!!!!
考えれば考える程、自分が袋小路へと追い込まれているのが分かる。
それでも何か手を打たなくてはと、健太は必死になって現状を打破する糸口を掴もうと足掻いていた。
考えろ、健太。
A大生・柳瀬健太!考えるんだ‥!
自分はただのボンクラ野郎じゃない、一流大学の学生なのだー‥。
今健太を冷静へと引き戻したのは、自分を立てるそんなプライド‥。
しかし‥。
「くっそぉぉぉ!考えるったって何を考えりゃいいんだよ!!」
「もー知らん!!チョームカつく!!」
「知らん!知らん知らん知らん!!!」
健太は鞄を地面に投げつけ、その巨体をブンブンと揺らしながら地団駄を踏んだ。
A大生であるというプライドの中身は、何も無いただのハリボテに過ぎなかったのだ‥。
ゲホゲホッ‥!あー‥喉カラカラ‥
そう思いながら自販機の方を見ると、
そこに見覚えのある人物の姿があった。
糸井直美である。
久しく見掛けなかった彼女の姿を目にして、
健太は目を点にして動きを止めた。
「!」
自販機の前に立っていた直美は、
こちらに近づいて来る黒木典達の姿を目にしてギョッとした。
「あ‥あ‥」
瞬時に身を隠そうと思ったが、隠れられるような場所はどこにもない。
直美が途方に暮れようとしたその時、急に目の前に壁が出来た。
黒木典は自販機の前に佇む人物に向かって、若干の苦い表情で挨拶を口にする。
「あ、健太先輩。こんにちは」
「おお、チワ」「それじゃ失礼しますー」
典達一行は、健太に近寄ることなくそのまま場を離れて行った。
健太の後ろに佇む、糸井直美には一向に気付かないまま。
無言のまま、二人は顔を見合わせた。
今となっては学科を追われた科代表と、最年長の先輩。
彼らはそれぞれにはぐれ者だった。
「なんか飲み物奢ってくれっか?」
直美を隠してやったお礼とばかりにそう言う健太に、直美は頷いた。
二人は自販機のジュースを手に、ベンチへと腰を下ろす。
黙っている直美に向かって、健太の方から声を掛けた。
「専攻、夜間に移したんだって?」
「はい、まぁ‥」「うわー大変じゃねーか!」
頷く直美に、健太はお得意のオーバーアクションで言葉を続ける。
「ったくどうして女の子達ってのはそうなんだろうなぁ!
本人が違うっつってんだから信じてやれっての!俺はともかく、友達なら味方になってやるべきだろ!なぁ?!」
「薄情だよなぁ!」
「もう良いんです。過ぎた事ですから‥」
直美はそう言って諦めたように下を向いた。
今の直美は為す術もない現実の前に、打ちのめされたような雰囲気だ。
「結局この程度の仲だったってことですよ。
すごく悔しいですけど、防犯カメラも無いのにどうやって犯人を捕まえるって言うのか‥」
やるせない気持ちが溢れ、直美は悲しげな表情を浮かべていた。
そんな中でも、健太の隣でうっすらと微笑みが浮かぶ。
「それでも今もあたしの味方になってくれるのは先輩だけです。雪ちゃん達を止めてくれたのも‥」
「ん?俺はまぁちょっと人よりは心が広い方かもな!ははは!」
褒められた健太は得意気な態度で、
俺ってばよ‥。と髪を触って見せる。
直美はそんな健太に向かって、彼の近況を尋ね始めた。
はぐれ者達は、片隅のベンチで会話を重ねる。
「試験勉強は順調ですか?」
「あー期末にしろ卒験にしろ、アイツの過去問にしてもさぁ‥」
「あ、そうだ夜間授業で聞いた情報なんですが‥」「おお!そーなのか!」
「糸井、困ったことがあったら言うんだぞ?」「はい」
ははは!
初冬の空に、健太の笑い声が響き渡った。
まだ自分は完全に終わったわけじゃない、笑い声に潜むのは、そんな一縷の望み‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<はぐれ者達の会話>でした。
アレッ?!時計の弁償額、学費レベルとな!!
調べてみましたら韓国の大学の一年間の学費が60万くらいだそうなので、そのくらいってことですかね‥?!
プラス佐藤先輩へのPC代‥。健太、確かにピンチ!(しかし自業自得‥)
そして直美がすっかりはぐれ者に‥。一応科代表なのに‥。
この二人が徒党を組んでこれから何かしでかすんでしょうか‥。うーん波乱の予感!
4部38話はここまでです。
次回は<不可の烙印>です。
☆ご注意☆
コメント欄は、><←これを使った顔文字は文章が途中で切れ、
半角記号、ハングルなどは化けてしまうので、極力使われないようお願いします!
人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ
引き続きキャラ人気投票も行っています〜!