晴れ上がった空のように・・

日常の出来事や読んだ本の紹介

生きいそぎ

2009年04月19日 | 
生きいそぎ

志水辰夫 著 集英社

以前、客注で受けたので、なんとなく頭に残っていました。
たまたま、図書館で珍しく書籍版を見つけたので、借りてしまいました。
今では文庫しかでていません。

定年を迎えたり、家族を失ったり、人生の「秋」を感じるような短編集でした。
当時の(10年くらい前かな)時代背景もあり、まだのんびりした人生観がうかがわれます。男性社会の名残り?が強い印象です。

あまり、楽しいお話はなかった・・仕事一筋に生きてきた男性の悲哀はよくわかるが、やはり・・
ちょっと、価値観が違う。


どれも、最後は「読者の想像におまかせ・・」のような終わり方で、私には少し不満が残りました。・・あるいは、私の読解力不足なのかもしれません。

いずれにしても、叙情豊かな心象風景、の文章は読みやすかったです


桜散る・・

2009年04月12日 | 日記
先週はいいお天気がつづいて、あちこちお花見が盛んでしたね

生憎、仕事やら雑用に追われ、桜の時期をのがしましたが、今朝やっと、近くの城址公園へタロをつれてのんびり歩いてきました。

人もまばらで祭りの後のように静かで、散った花びらがじゅうたんのようになって、それはそれで風情がありましたよ。

真っ赤な花桃がきれいで、思わず記念写真をパチリ。
初めてのお花見にタロはそわそわして落ち着かない様子でした。


月への梯子

2009年04月12日 | 
月への梯子
樋口有介 著  文春文庫

とても不思議な物語でした。
彼の作品は初めて読みますが、著者紹介のところを読むと、ミステリーがお得意のようです。

主人公の「ボクさん」は40歳。母親が残してくれた小さなアパート「幸福荘」を管理する大家さんです。知能は小学校3,4年生で、時々自分がすることを忘れてしまうこともあるが、母親の教えを守りながら6人の善良な住人たちと、楽しく暮らしていた。ところがある日、住人のスナック勤務の蓉子が刃物でさされ部屋で殺されてしまう。梯子に上って屋根の修理をしていた「ボクさん」が偶然、窓から発見!梯子から落ちてしまい、頭を打って大怪我をするのです。

ここからが面白い。意識を取り戻し運よく、回復したボクさんは、なぜか、それまでとはちがって、知能が回復し、通常のいえ、それ以上の頭脳明晰な「ボクさん」
になってしまう。
ここまで読むと、ダニエルキースの「アルジャーノンに花束を」みたい~なんて連想してしまいましたが。
残りの住人5人たちが事件後なんと全員行方をくらまし、ボクさん自ら殺人事件の真相にせまろうとします・・

「ボクがみんなに親切にすれば周りの人は皆いいひとになるよ。僕は運がいいよ」
というのがボクさんの人生観だった。
それが一転・・目覚めれば今まで取り巻く世界そのものが虚構、不可解を知ったボクさん。はたしてそれは幸せなことでしょうか?

せつなさがにじみます。

最後のどんでん返しはあっと、驚きました。
まだ読んでいないかたのために、書けないのが残念です。

ファンタジー?ミステリーホラー?SF・・なの??

月への梯子に昇って、ボクさんは幸せになれたのかなぁ・・
ボクさんのために、そうあってほしい。

不思議な物語でした