晴れ上がった空のように・・

日常の出来事や読んだ本の紹介

モンローが死んだ日

2015年07月22日 | 
モンローが死んだ日  小池真理子 著

500ページにも及ぶ長編、新刊です!
思いのほか早く読めて嬉しかったです。

読書メーターのほかの人のリポートには、辛口の書評もありましたが、
私の感想は、真理子さんをひいき目にしていることを除いてもやはり、秀作に分類したいです(*^^)v

だらだらと序章から長くて退屈・・とか、くどい・・とか?・・
そうかなぁ、確かに500ページの長編にしては登場人物は少なかったけれど、その分、
丁寧な心理描写や軽井沢の美しい風景など、さすが、「うまいなぁ~」と思います。

物語は・・

還暦も間もなくという幸村鏡子は、長野県軽井沢の外れにある花折町で小さな文学館の管理人兼案内人
の仕事をしながら独りで暮らしている。
夫を亡くしてから心身のバランスを崩していた鏡子は、町内の精神科クリニック
で高橋智之医師の診療を受けはじめる。やがて鏡子と高橋医師は恋に落ちるが、
高橋は突然姿を消してしまい......。

舞台はまたしても軽井沢~
それも秋から冬のひっそりとした静寂と儚さと寒さ!?がまじり、よけいに鏡子の孤独な環境が伝わる。

鏡子59歳、高橋医師55歳。。
人生後半、老境がさしせまっても、こんなに素敵な恋ができるんだ・・真理子さんマジックです。

謎めいた、アルバイト医師の高橋が忽然と消え、そこから東野圭吾顔負けのサスペンス劇場になるのですが
ワクワクして、ページをめくる手がどんどん加速していきます!

後半に、だんだんと想像していたとうりに話は進み・・一気読みの醍醐味を味わいました^^
終章、明るい感じで結ばれ、私も幸せ~の満足でした。
しかし・・
真理子さん、
手紙の使い方がうまい!とてもよかったです。
物語の社会的なテーマ、現代人における精神疾患については、なかなか興味深かったです。

暑い夏が始まりましたが、
エアコンがきいた部屋で静かに読みふけって、幸せな一冊となりました

億男

2015年07月09日 | 
億男  川村元気 著 
~Million Dollar Man

本屋大賞にノミネート されたという大きな見出しが気になり、読みました。
川村元気?知らない作家?映画監督?

あまり期待しないで読んだのですが、これが面白い!お金と幸せの関係を説いた、人生哲学書!
勉強になりました^^

物語は・・

「お金と幸せの答えを教えてあげよう」
宝くじで3億円を当てた図書館司書の一男。
浮かれる間もなく不安に襲われた一男は「お金と幸せの答え」を求めて
 大富豪となった親友・九十九のもとを15年ぶりに訪ねる。
 だがその直後、九十九が失踪した―――。

 ソクラテス、ドストエフスキー、アダム・スミス、チャップリン、福沢諭吉、
 ジョン・ロックフェラー、ドナルド・トランプ、ビル・ゲイツ……
 数々の偉人たちの言葉をくぐり抜け、  一男の30日間にわたるお金の冒険が始まる。
 人間にとってお金とは何か?「億男」になった一男にとっての幸せとは何か?
  九十九が抱える秘密と「お金と幸せの答え」とは?

とまぁ・・こんな感じ。

まず、最初に気がつくのが、出てくる登場人物の名前がすべて、数字に関連している。
一男の一、親友の九十九(つくも)、妻の万佐子、十和子、百瀬、千住、、、
そして億万長者の「億男」である。
こういう、トリック?いやしゃれた設定は大好きです!読んでいて楽しいもの(*^^)v

痛快コメディでまた映画にでもなりそうな、笑いあり、涙ありのストーリなのだが、
そこには、お金と幸せの関係、人生啓蒙みたいなのがあっていろいろと考えさせられます。

確かにお金持ちイコール幸福ではないですから。お金で買えない大切なものがある。
しかし、お金がなければ生きていけない。そう、きれいごとでは済まないのです。

宝くじが当たって億万長者になった人のその後の悲惨な人生もたくさんあるとか。。。
後半、
持ち逃げされたと思った、お金も戻り、壊れかけた家族の形も愛も取り戻せそうで、ホンワカ心もあったまって
良かったです。

偉人達が残した、格言がたくさん本書にちりばめられていて、キラキラと光っているようで、まさに「金言」☆
チャップリンのセリフ
「人生に必要なもの。それは勇気と想像力と、ほんの少しのお金さ。」
でも、黙阿弥は
「地獄の沙汰も金次第!」・・なるほど~と妙に納得して笑ってしまう。

本書とはまったく関係ないが
私は何故か、ずいぶん昔にみた映画「幸福の条件」を思い出してしまった。