晴れ上がった空のように・・

日常の出来事や読んだ本の紹介

二十八光年の希望

2007年01月29日 | 
ロマンチックなタイトルに改題されて、文庫化されたこの本は、
辻 仁成の「今この瞬間 愛しているということ」2003年に刊行されました。

辻 仁成、といえば詩人、ミュージシャン、映画監督、と幅広い分野で活躍している芥川作家です。「冷静と情熱のあいだ」で私も彼の本を読むようになりました。
ちなみに、奥様は女優の中山美穂さん。・・(その前は南果歩さん)
今はフランスを拠点に活躍されています。この小説は
フランス料理界を舞台にした、悲しい恋の物語です。・・いえ、壮絶な愛の軌跡といったほうがぴったりです。スケールが大きくて、単純な恋愛小説にとどまりません。

フランスは芸術の都とよく称されますね
美術館、建築物、音楽、街全体はすっぽり文化遺産で覆いつくされているらしいです。(行ったことがないもんで、うまく言えませんが)
料理の王様、と言われる「フランス料理」こちらも歴史は古く、料理の発祥となったくらいですから・・フランス料理も「芸術」のひとつ、です。

さて・・本題にはいります!?
三ツ星レストランのシェフを目指して、フランスで修行、レストランで働く、女の子「ハナ」とそのレストランの総料理長の「ジェローム」との愛のお話・・

単身、若い女の子が、日本の料理学校だけにとどまらず、フランスまでいって、修行するんですから、ハナは強い心を持った女性です。日本人女性という差別もあったでしょうに、レストランの特別な環境の中で、一人、明るく元気でまるで太陽のような存在で、周囲の人たちを明るくする、ハナ。孤独な将軍、とされるシェフ、ジェロームの心に火がともるのも無理はないです。

三ツ星レストランとは・・フランスでは権威ある、フランス料理の情報誌「ミシュラン」が一年間、厳正なる調査をして審査、与えられる、星です。

フランス全土のレストランの数は十五万軒、一つ星レストランの数は四百、二つ星レストランの数は七十、そして三つ星は僅かに二十数件です。そのうちパリにある三つ星は十件にも満たないのです。いかに三つ星を採るのが軌跡にちかいくらい困難なことがわかります

すごいですね~知らない世界とはいえ、三ツ星レストランってそんなに権威のある
ことだったんですね

同じ目標に向かって、二人の幸せな暮らしは長く続きません。ハナが「seds」という難病にかかってしまうのです。この病気は絶望病ともいわれ、人間のもつすべての感覚、感情が失われてゆき、最後にはロボットのような無感動な人間になってしまう、恐ろしい病気です。未だ原因は不明です。

味覚が初期段階で一番に失われるのです。ハナには致命的でした

献身的なジェーロームの看病、介護がはじまります。
感動的です。フランスの男性はかくもやさしくなれるのでしょうか・・?

筆舌に耐え難いような、闘病生活は読んでいてもつらくなるくらいです。かわいそうすぎます。
「これ以上、彼に迷惑をかけられない・・」と黙って一人で帰国するのですが、
悲しいくらいに切ない、再会。二人で強く生きていこう!結婚しよう!との約束もむなしく、ハナは海の中の白い波と光に飲み込まれて帰らぬ人となります。

翌年、ジェロームは見事、三ツ星を獲得。しかし、すぐにレストランを辞め、海辺に近い故郷に帰ります。そこで小さなレストラン『Hana』を出店します。
「ハナはずっと、私と一緒です。ずっとここにいます・・」

最後のページの解説には、この小説のモデルとなった実在のシェフがいる、との記述がありました。ちょっと驚きでした。

しかし、さすがグルメな著者ならではの作品。登場する、料理評論家は彼自身に違いないです。

・・・・読後の感無量に浸りきっていた日曜の午後。
「ご飯まだ~?」
の息子の声に、やっとフランスの地から我に返りました~





愛の流刑地

2007年01月24日 | 映画
今日は休みが取れたので、朝からさっさと家事を済ませ、久しぶりに映画を見に行きました。

渡辺淳一原作の「愛の流刑地

去年、日経新聞連載のこの作品、本の売れ行きもまずまずでしたね
俳優人も豪華とあっては、やはり「見なくっちゃ!」とばかしに、いそいそとシネコンにでかけました

まずは・・寺島しのぶの美しさに目を見張りました~

いきなり最初から、豊川えつしとのベッドシーンで、悩ましいうめき声・・
すらりと伸びた肢体、白い肌、におい立つような色香に女の私でさえ、生唾ゴクリの妖艶さでした~

ストーリーはお得意の不倫劇でしたが・・
原作を読んでいないので、深いところまではチョッと理解できませんでしたね
いくら、仕事一筋で家庭をも顧みない亭主を持つ妻としても、三人の幼い子供をもつ母でもある彼女が、おぼれた「恋」とはどんなものでしょう・?

死をもいとわない、愛とは・?何?
「死んでもいいくらい幸せ」・・のせりふはお互いの性愛を楽しむための「幻覚」
としか思えません・・

結局,生き場を失った彼女は「死」を選択。彼は選ばれた「殺人者」となったわけです。
裁判が進む中、検事役の長谷川京子ちゃんですが、ミスキャストですね!
こんなに若くてきれいなかわいい人が検事役には、似合わないです

ほろりときたシーンは、証言者となった、実の母、富司純子の悲しみの演技ですかね~
なんせ、映画のなかだけではなく本当の母娘なんですから、それはピッタリ!

エンディングの音楽が 平井賢 で、ロマンチックに仕上がってました

大好きなケヴィンの映画「守護神」がもうすぐやってきます

今から待ちどうしいです

ウソが9割 健康TV

2007年01月22日 | 
昨日の新聞に大きく報じられていましたね。
フジ系の「あるある大事典」で「納豆を一日2パック食べるとダイエット効果がある」の番組は、捏造であった!
番組放送の翌日からスーパーの納豆売り場からすっかり納豆が消えてしまい、なんとも異常な光景を横目でながめていましたが・・やはり~の感はあたりました

こちらの「ウソが9割 健康TV」
先週から注文が増えて、出版社の在庫も僅少でなかなか入ってこなくなりました。

内容は、近年増えた、健康TV。それもバラエティー番組で面白おかしく取り上げて、視聴率を上げているものもありますね。

それらの情報にすぐ飛びつき、惑わされ振り回されている視聴者への警告本、といったところです。

・・・血液さらさらは出血ドバドバ!~お茶のカテキン(がん予防)は農薬!
ビタミンCも取りすぎると害になる~

などなど、TVからの情報で得た知識を覆す内容がたくさんで、読んでいても苦笑の面白さでした

氾濫する情報の中で、正しくて有益なもの、自分にとって必要なものをいかにして判断、選択すればいいのでしょう・・?
難しい時代ですね




華麗なる一族

2007年01月16日 | 
先日の日曜日から始まったドラマ
華麗なる一族
なんと、27・7%という高視聴率だったそうです。
年末から、ずいぶんとTVで宣伝していましたものね。今一番乗りに乗ってる、キムタクを中心に豪華キャストとを排し、海外ロケまでして昭和40年代を再現・・テレビ局の意気込みもすごいです。

もちろん、私も拝見しました!
原作をしのぐ、面白さになるかもしれません。

案の定、本日、新潮文庫のこちらの原作(上、中、下)のうち、上巻が早くも売り切れてしまいました。大変・・早速、追加注文を出しましたよ

それにしてもメディアの影響は大きいです。
30年も前の作品が今になってまたも脚光をあびるとは、誰が想像したでしょう?

山崎豊子さん・・私が生まれたころにはすでに芥川賞作家として活躍されていたようです。大阪生まれ、新聞社勤務、ジャーナリスト出身とあって、そのするどい洞察力でたくさんの社会派小説を世に送り出しています。

白い巨塔、女系家族、沈まぬ太陽、大地の子・・などなど、
映画やドラマになった作品も数多いです。

日曜の夜はTVの前から離れられなくなりそうです

さて・・もうひとつ。
今月の新刊を一冊ご紹介したいのですが・・
小池真理子 「水底の光」(文藝春秋)

短編集となっています。残念ながら当店には配本がなかったです~




二十一世紀に生きる君たちへ

2007年01月12日 | 
今、すべての日本人に語りかける心のメッセージ!

司馬遼太郎さんが亡くなって早、10年が過ぎました。
命日の2月12日の「菜の花忌」、今年もさまざまな行事が行われることでしょう。

さて、こちらの「二十一世紀に生きる君たちへ」は1989年に小学校五、六年生の国語の教科書のために書かれたものです。「洪庵のたいまつ」も、収録されています。後にも先にも司馬遼太郎氏が子供たちのために書かれた作品はこの二編のみです。

今また、この本が、子供たちのみならず、多くの人の心を打つメッセージとして、脚光をあびています。

子供たち向けに書かれた文章ゆえ、無駄がなく簡潔でわかりやすいです。
だからでしょうか・・とてもシンプルに心に響き、感動を覚えます。

・・もし「未来」という町角で私が君たちをよびとめることができたら・・「田中君、ちょっとうかがいますが、あなたが今歩いている二十一世紀とはどんな世の中でしょう?」
そのような質問をして、君たちに教えてもらいたいのだが、残念にもその未来の町角には、私はもういない。・・二十一世紀のことなどとても予測できない。ただ、私にいえることがある。それは歴史から学んだ人間の生き方の基本的なことどもである。

最初のくだりです。そして、私たち人間は「自然への畏敬の念」を忘れてはならないこと、自然への素直な態度こそ二十一世紀への君たちへの期待でもあること。

君たちはいつの時代でもそうであったように、自己を確立せねばならない・・「自己に厳しく、相手にはやさしく」 という自己を。
「人」という文字をみるように(ななめの画がたがいに支え合っている)
人間は助け合って生きるのである。けっして孤立で生きられない。
それは、「いたわり」「他人の痛みを感じること」「やさしさ」この三つの言葉は一つの根っこからでているが本能ではない。だから私たちは「訓練」をして身につけなければならないのである。
・・・(略)
以上のことはいつの時代になっても、人間として生きていくうえで、欠かすことができない心構えというものである。

君たち。君たちはつねに晴れあがった空のように、たかだかとした心を持たねばならない。



私の本棚を飾る大切な一冊となりました。子供たちへのプレゼントにお勧めしたいです。
もちろん、大切な人にも・・










A Happy New Year !

2007年01月04日 | 日記
2007年の幕開けです
私のつたないblogも3年目を迎えました。手探りで気ままに始めた自分勝手なひとりごとですが、多くの方?の目に留まったようで、嬉しくも恥ずかしくもあり、また、日々の励みになったことは言うまでもありません。ありがとうございました

今年の干支のいのししに因んで、「猪突猛進!」・・といきたいところですが、変わらずにマイペースで頑張りたいと思います

あわただしい、年末年始の行事がひと段落しました。
今日は朝から快晴。春の日差しも感じられ、こころもおだやかで気持ちいいです

話はさかのぼりますが・・
大晦日の「紅白歌合戦」ご覧になった方もおおいでしょうね
私もいつも恒例の年末行事のようにして、楽しく見ています
最近の「紅白」は(昔からかな?)ショーアップされて、その年の話題になった出来事を取り上げたりして、なかなか面白いですね。売れない演歌歌手の度派手な衣装?(いや・・マジックショーかな?)や大御所と呼ばれる歌い手の出場は、いまいちでつまんないけれど

そんな中、最近私が応援している、「コブクロ」
今年は2回目で、「風」を情感豊かにとても素敵に歌い上げてくれました

才能ある若いアーティストが紅白を飾る・・すばらしかったです