晴れ上がった空のように・・

日常の出来事や読んだ本の紹介

ほかならぬ人へ

2010年02月05日 | 
ほかならぬ人へ  白石一文著

第142回直木賞受賞作品です。祥伝社さん、創立40周年の記念すべき作品が直木賞だなんて、快挙ですね。おめでとう~!

白石さんの作品、初めて読みました。
物語は・・

27歳の宇津木明生は、財閥の家系に生まれた大学教授を父に持ち、学究の道に進んだ二人の兄を持つ、人もうらやむエリート家系出身である。明生は周囲の反対を押し切って、キャバクラで働く美人のなずなと結婚した。そのなずなが突然、過去に付き合ってた真一のことが気になって夜も眠れないと、明生に打ち明ける。そして、家を出てしまう。失意の明生は自暴自棄に陥る。スポーツ用品メーカーに勤める明生の上司で6歳年上の女性、東海さんが相談にのるが・・

大人の恋愛小説は久々のような気がします。
明生のようなおぼっちゃま君、結構好きですね~お人よしでどこか天然っぽくて。
でも、明生は、兄に比べて、容姿も頭のできも劣る自分を「生まれそこない」と思って引け目を感じていて、それでいて、自分の家族のことも冷静に客観的によくみているんですね~

明生は本当になずなのことを愛していたんだろうか・・なずなだって、真一のことが忘れられなくて、というかずっと好きで結局、彼のもとへと走ってしまう。

大人の恋というものは本当にままならないものです。
一番好きな人とは一緒にいられない・・

女課長の東海さん。とてもいいです。
33歳で気風がよく、果断さ、積極性、営業のテクニックといい、明生には見習うべきことばかり。仕事のおもしろみを教えてくれたのも彼女です。しかし、キズが一つ。彼女いわく「ブス」「ブサイク」だということです。
どのくらいのブスか・・?という表現がおもしろいけど、女性差別につながりかねないので遠慮します。

しかし、明生にとっては信頼できる上司であり、親密になって、大切な存在と変わっていきます。微妙な心の変化がうまく描かれています。
明生をいつも元気つけてくれる東海さんも実は、数奇な人生経験をもっていて、運命のいたずらのように過酷な試練が彼女を待ち構えています。

最後は悲しい結末で、涙で活字が揺れました。

もう一つの物語、
「かけがえのない人へ」 こちらはぜんぜん全く理解できなかった。幸せな結婚を控えた女が不倫関係の男とよりを戻して、エロスの深みにはまってしまう・・

どう考えてみても不道徳で淫乱で、イヤですね。
ほかならぬ人へ、とは正反対のようなきがしてなりません。

さてさて
いつの世も男と女、何が起こるか分からない。
恋人でも、友人でも、「ほかならぬ人」を見つけられたら幸せですね。

ベストの相手が見つかったときは、この人に間違いないって明らかな証拠があるんだ。
だからさ、人間の人生は、死ぬ最後の一日でもいいから、そういうベストを見つけられたら成功なんだよ。言ってみれば宝探しとおんなじなんだ。 (本文より)

ほかならぬあなたに・・読んでもらいたいです