母の遺産
2013年03月27日 | 本
母の遺産 新聞小説 水村美苗著
524ページの長編でしたが、続きを読むのが待ち遠しくなるくらいの骨太の作品でした。
主人公の桂三津紀は50代の女性。子供はなく、大学教授の夫と二人で都内のマンションに住み、パリ
での留学経験のある彼女は大学でフランス語の非常勤講師や翻訳の仕事もしている。
自由に生きている彼女に見えるが、すごい母親がいる。
自由きままに人生を謳歌してきた母親。贅沢で自己中心的でみえっぱりで・・
その数奇な人格は生い立ちから来るらしい・・
祖母の出自にまでさかのぼり「桂家」の歴史が明かされていく。
庶子・・って言葉に少し面食らった。最近ではあまり使わないからである。
そう、妾バラの子供である。祖母も母も。
明治にはそういった境遇の家族関係が珍しくなかった時代なんだ。
差別的で侮蔑なにおいがする。きっと周りからは忌み嫌われさげすまれたことであろう・・
だから、母親はひたすら「芸術と知」にこだわった。持ち前の頭の良さと美貌でいかんなく発揮し
人生を謳歌したように思う。
そんな母親を愛せない娘であった。「老い」と「病」には勝てない。
美津紀は姉からも頼りにされて、母親の介護に振り回される。
「ママ、いつになったら死んでくれるの!」
なんと、ショッキングなせりふでしょう~(@_@;)
後半は・・夫婦関係。長年連れ添った夫に若い女がいる!
偶然、PCの中で見つけた夫と女とのGメールです。
・・
ドキッ!とした殿方・・いませんか?!
ただちにパスワードを変えるべきですよ~(なんて、これは余談です(@_@;))
彼女のショックがどんなに大きく悲しいものであったか・・想像するに余りある。
不幸のドン底。
しかし・本書はそんな安っぽい不倫小説で終わらない。
後半はミステリーな展開でまた、ページをめくる手がもどかしいくらいだった。
「金か愛か!」経済的に自立できていない中年女性の悲しさもよくわかる。
離婚に至っての、財産分与の計算や母親の遺産など、実にリアルで小説であるのを忘れるくらい
感心した~
しかしながら・・
後半舞台となった箱根のリゾートホテル「湖のホテル」
これは「山のホテル」ですね。元岩崎男爵の別邸であった。
久々に私も箱根に行きたくなりました。
三津紀みたいに、たった一人で、長逗留・・
なんて贅沢な時間を持ってみたいなぁ~
もっと簡潔に記事を書きたかったのですが、蛇足ばかりで肝心なことを書けなかったみたい。
とにかく
超大作です。経済的精神的にも自立を目指したい中年女性のバイブルになりそうです!
著者の卓越した言語表現と、描写力にすごい才能をみました。
おすすめです。
524ページの長編でしたが、続きを読むのが待ち遠しくなるくらいの骨太の作品でした。
主人公の桂三津紀は50代の女性。子供はなく、大学教授の夫と二人で都内のマンションに住み、パリ
での留学経験のある彼女は大学でフランス語の非常勤講師や翻訳の仕事もしている。
自由に生きている彼女に見えるが、すごい母親がいる。
自由きままに人生を謳歌してきた母親。贅沢で自己中心的でみえっぱりで・・
その数奇な人格は生い立ちから来るらしい・・
祖母の出自にまでさかのぼり「桂家」の歴史が明かされていく。
庶子・・って言葉に少し面食らった。最近ではあまり使わないからである。
そう、妾バラの子供である。祖母も母も。
明治にはそういった境遇の家族関係が珍しくなかった時代なんだ。
差別的で侮蔑なにおいがする。きっと周りからは忌み嫌われさげすまれたことであろう・・
だから、母親はひたすら「芸術と知」にこだわった。持ち前の頭の良さと美貌でいかんなく発揮し
人生を謳歌したように思う。
そんな母親を愛せない娘であった。「老い」と「病」には勝てない。
美津紀は姉からも頼りにされて、母親の介護に振り回される。
「ママ、いつになったら死んでくれるの!」
なんと、ショッキングなせりふでしょう~(@_@;)
後半は・・夫婦関係。長年連れ添った夫に若い女がいる!
偶然、PCの中で見つけた夫と女とのGメールです。
・・
ドキッ!とした殿方・・いませんか?!
ただちにパスワードを変えるべきですよ~(なんて、これは余談です(@_@;))
彼女のショックがどんなに大きく悲しいものであったか・・想像するに余りある。
不幸のドン底。
しかし・本書はそんな安っぽい不倫小説で終わらない。
後半はミステリーな展開でまた、ページをめくる手がもどかしいくらいだった。
「金か愛か!」経済的に自立できていない中年女性の悲しさもよくわかる。
離婚に至っての、財産分与の計算や母親の遺産など、実にリアルで小説であるのを忘れるくらい
感心した~
しかしながら・・
後半舞台となった箱根のリゾートホテル「湖のホテル」
これは「山のホテル」ですね。元岩崎男爵の別邸であった。
久々に私も箱根に行きたくなりました。
三津紀みたいに、たった一人で、長逗留・・
なんて贅沢な時間を持ってみたいなぁ~
もっと簡潔に記事を書きたかったのですが、蛇足ばかりで肝心なことを書けなかったみたい。
とにかく
超大作です。経済的精神的にも自立を目指したい中年女性のバイブルになりそうです!
著者の卓越した言語表現と、描写力にすごい才能をみました。
おすすめです。