不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

La storia del Prociutto di Parma

2006-12-15 14:13:13 | うんちく・小ネタ

通訳の仕事でパルマハムの工場見学に行ってきました。
元々ハムに愛情もない私なので
一般的な情報以外は何も知らなかったのですが
色々と勉強になりました。
知らない分野にも触手を伸ばす必要性をつくづく感じました。

なぜパルマのハムがそんなに有名なのか?
そういうところから全くの無知だったわけです。
おいしいということも甘みの強いハムだということも
一般消費者としては知っていたのですが。
私のパルマハムについての知識はそれだけ。

元々ハムなどというのもは保存食ですから
良質のお肉があって
保存のための気候的条件が合えば作れるものです。
と工場の人は言っていました。
つまりパルマ周辺には
そういう条件が昔から整っていたのだということです。

パルマとその一帯という地域は海から80キロ程度で
海からの風が山肌を伝って下りてくる地域。
そういう気候はハムの生産に向いているのだそう。

ハムを作るためには塩も必要です。
古代ローマ時代には近郊の海で生成される塩を
ローマまで運ぶための「塩の道」のひとつが
この一帯を通っていたため良質の塩も手に入ったのも
パルマ辺りでハム作りが盛んになった理由のひとつ。

そして良質の牧草が育つエミリア・ロマーニャでは
豚さんもおいしい草を食べて育つので
元々良質のお肉が近場で入手できるのも重要なポイント。

そうした条件が揃っていたので、
昔からこの周辺で自然発生的に
ハム作りが続けられてきたのだそうです。

年間のイタリア全土でのハム生産量の3分の一がパルマハム。
正真正銘のパルマハムといわれるものは
指定の養豚場出身の豚さんを使い
指定の肉屋さんがさばき、指定の工場で熟成され
指定の加工工場で加工されなくてはならないのです。
そのひとつでも欠いている場合には
たとえパルマ周辺のの指定区域内で生産されても
「パルマ風」と呼ばれる品質の一段落落ちるハムとなります。

今回訪問した工場の中にも
ドイツ産の豚を使った「パルマ風」のハムなどもありました。
購入するときにはチェックが必要です!!

訪問したハム工場の周辺は特に集中的に
パルマハムが生産されているようです。
この辺りではハム工場は
川に沿った斜面に建てられ
川に向かって垂直になる部分の窓は背丈が高い細長い形。
この窓から自然の風を取り込み、
より自然に近い形で
肉を熟成させていくための工夫なのだそうです。

工業化・機械化された今でも
そういうところに昔ながらのやり方を取り入れているからこそ、
おいしいものが出来上がるんだよねぇ。
スローフードの概念ってやっぱりイタリアには
普通に根付いているのですよ。