フィレンツェをはじめとするイタリアの通りには
どんなに小さな裏路地でも、立派に名前がついている。
このおかげで、通り名入りの地図と住所さえあれば
初心者でも目的地を探すのが容易なのです。
12年も暮らすと
フィレンツェの80％の道の名前は記憶しているので
たいがいは通りの名前で
どの辺りか見当がつくほどになりました。
で、この通りの名前には
各都市の名前だったり、
その通りの近くにある記念すべきものだったり
国家的記念日だったり、そういう名前がつけられています。
最も多いのは有名人の名前ではないかと思います。
その人物はその街にゆかりのある人だったり、
イタリアを代表する歴史的な人物だったり。
フィレンツェには
ルネッサンスを代表する画家たちの名前を冠した通りが多いかも。
最近ではジャーナリストや
イラクとの戦争で現地で命を落とした人などの名を
冠した通りもイタリア各地で見られるようになりました。
そんなこともあって、今フィレンツェでは
フィレンツェにゆかりがあり、
その精力的な活動は世界的にも認められている
ある人物の名前を通りにつけてもらおうという
嘆願署名運動が繰り広げられています。
私も一時期お近づきになる機会があり
個人的に非常に尊敬している人なので
この話を聞き、機会に恵まれたので
早速署名に参加させてもらいました。
その人とはこのブログでも紹介したことがある人。
「Fosco Maraini（フォスコ・マライーニ）」
（1912年11月15日－2004年6月8日）
彫刻家Antonio Marainiと作家Yoi Crosseの間に生まれる。
英語とイタリア語のバイリンガルで
1934年にはアメリゴ・ベスプッチ船に英語教師として乗り込み
北アフリカやアナトリア周辺を訪れる。
1935年にシチリアの女流画家Topaziaと結婚し
1936年にはDacia（イタリア現代女流作家）誕生。
1939年にYuki、1941年にToni誕生。
Daciaはフィエゾレ生まれ、Yuki、Toniの二人は日本生まれ。
フィレンツェ大学で自然科学・人類学を専攻し
彼の幼い頃からの好奇心の的であった
東方世界への夢を膨らませ
1937年には東洋学者Giuseppe Tucciに従事し
1937年と1948にチベット遠征に参加。
このときの経験から影響を受け
その後の人生は東洋文化と民族学に打ち込み
チベット関連の数々の著書を残す。
第二次世界大戦の前に日本へ移住。
北海道から京都、東京と転移。
1943年9月8日東京にて当時ナチズム政権下のドイツと
天皇国家の日本だけが承認していた
ムッソリーニ率いるファシズム国家Repubblica di Salòへの
所属を拒否したため罰せられ
家族全員名古屋の強制収容所に収監される。
この収容期間中に実に日本的な行為を完遂。
強制収容所の司令官の目の前で自ら左手小指を手斧で切断。
これにより、完全な自由を手に入れることはできなかったものの
小さな畑と子ヤギを与えられ自給自足にて生き延びる。
戦争が終わり、イタリアに戻った後は
再びチベット、イエルサレム、日本、韓国を訪れて
精力的に研究を続ける一方、写真家としても活動。
またフィレンツェ大学では教鞭をとり日本語と日本文学を教授。
とりわけアイヌ民族学に詳しい。
離婚後1970年に日本女性と再婚。
晩年はフィレンツェに腰を落ち着けて
数多くの写真や著書の整理などに費やす。
2004年6月に没。
日本との非常につながりの深い人で
とりわけアイヌ研究に関しては
我々も参考にしたい資料を数多く残しています。
また写真や書物を通して
日本とイタリアの文化交流にも非常に貢献した人であり
そうした活動と業績を後世に伝えるためにも
是非、フィレンツェの彼の自宅近くに
彼にちなんだ通りが生まれてほしいと私も個人的に願っています。
オンラインで署名活動を行っているので
賛同される方はぜひ署名に参加してください。
http://www.PetitionOnline.com/KGB123/
上記ページより
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