不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

La Colonna di San Zanobi

2007-12-18 07:06:06 | アート・文化

フィレンツェの初代司祭としてよく知られ
フィレンツェや近郊出身の芸術家の作品にも
よく描かれるサン・ザノービ(San Zanobi)。
フィレンツェにキリスト教を普及し、
市民から慕われ崇拝された聖人。

4世紀の半ばにフィレンツェに生まれ
394年にミラノの司祭サンタンブロージョ(Sant'Ambrogio)が
フィレンツェを訪れたときに謁見し
彼と共にローマ教皇の元を訪れています。
フィレンツェに戻り司祭となりフィレンツェ市民を啓蒙し
417年に司祭の座を退いています。
確実な文献は少ないため
正確な生没年がわかっていませんが
417年以降429年までにこの世を去り
彼自身が設立し、当時はフィレンツェの城壁外にありながら
大司教座の役割を果たしていた
サン・ロレンツォ教会に埋葬されます。
しかしその後に司教座が現在のドゥオーモの前身である
サンタ・レパラータ教会(Santa Reparata)に移ると、
サン・ザノービの聖体もそちらへ移送されることになります。
この移送の儀式が執り行われたのが429年1月26日。

サン・ロレンツォ教会から城壁の門を入ると
当時は洗礼堂の周辺には木々が生えていたようで、
その間を縫ってしめやかに棺を担いだ行列が進んでいく際に
たまたま棺の端が一本の木に触れ、
真冬だというのに、
その木は奇跡的に新芽を吹き花を咲かせたと言われています。
もちろんその木は「祝福された木」として崇められ
人々は挙って枝を持ち帰ったといわれます。
またこの奇跡の木を使って彫り出された十字架磔刑は
現在もサン・ガッロ通り(Via San Gallo)にある
サン・ジョヴァンニーノ・デイ・カヴァリエーリ教会
(Chiesa di San Giovannino dei Cavalieri)に祀られています。

Colonna_san_zanobi_03
この奇跡を記念して建てられたのが「サン・ザノービの柱」。
オリジナルは430年に建てられましたが、
1333年の洪水で破壊され
現在洗礼堂の北の扉の脇に立っている円柱は
1384年に再建されたものです。
Colonna_san_zanobi_01
乳白色の御影石の円柱の天辺に十字架をいただき、
円柱の中央辺りに鉄細工の木の模様がつけられています。
毎年1月26日にはこの円柱に花が添えられ、
今でもこの奇跡は語り継がれています。
Colonna_san_zanobi_02

サン・ザノービの聖体は
ロレンツォ・ギベルティ(Lorenzo Ghiberti)の手による
金細工の聖壷に収められてドゥオーモに眠っており、
毎年5月25日に特別ミサが執り行われます。