不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Protomartire Santo Stefano

2007-12-25 10:36:02 | アート・文化

イタリアでは12月26日は
「聖ステファノ(Santo Stefano)」の日で祝日です。
イタリアでは365日すべての日に聖人が当てられていて
特に重要な守護聖人の日は
それぞれを守護聖人とする街は祝日となります。
聖ステファノの日をイタリア全土で祝福するのは
法律で定められた国民の祝日であるからで
実は宗教祝日ではありません。

365日の聖人の並べ方にもカトリック教会の規則があり
イエス・キリストが生まれた12月25日に
続く日に当てられている聖人たちは
いずれもカトリック教会の中で
重要に扱われている聖人ということになります。
26日が聖ステファノ、27日は福音書記者ヨハネ、
28日は幼児虐殺で犠牲になった子供たち。
昔はローマの守護聖人である聖ペテロも
この後に続いていましたが
現在は6月29日に移されています。

聖ステファノがなぜクリスマスの翌日におかれ
ここまで重要な扱いなのかというと
彼がキリスト教会で最初の殉教者であるからです。
つまり誰よりも先に自分の命を
キリスト信仰のために捧げた人であり
その行為がすべてのキリスト教徒の
模範であるとされているからです。

聖ステファノは1世紀にパレスティナ周辺に実在した人物で
出生はおそらくギリシャあたりで、
ユダヤ教信者であったといわれています。
キリスト使者たちがギリシャ周辺に布教活動を行うに当たり、
ギリシャのコミュニティへの布教活動を行う助祭として任命。
日常的な食材を主に未亡人に配布する係りとして活動し
熱心にキリストの教えを説いて歩いたといわれます。
教養のある人物で論も立ち、
会議や集会でも長く演説をして神の教えを説いています。

当時ユダヤ教信者の中では「聖霊」信仰が強く、
救世主の出現を信じる人が少なく
聖ステファノが
「空が開け、天空に神の栄光の姿が見える」というのを聞くと
ユダヤ教祭司たちは街の外に連れ出して投石罰を加えます。
これによって聖ステファノは命を落とし、
キリスト教最初の殉教者となります。
このため聖人を認識するシンボルとして
石が描かれることが多くなっています。

フィレンツェのホーン博物館(Museo Horne)に所蔵される
ジョット(Giotto)の「聖ステファノ」でも
聖人の頭にたんこぶのようなものが見られますが
これがシンボルの石です。
Santo_stefano_giotto

この投石罰にあっているとき、
まだ改宗前のSaulo(改宗後の聖パオロ:San Paolo)が
その場に居合わせたとされています。
Lapidazione_giulio_romano
ジェノヴァのサン・ステファノ教会(Chiesa di Santo Stefano)にある
ジュリオ・ロマーノ(Giulio Romano)の
「聖ステファノの殉教(Lapidazione di Santo Stefano)」では
父なる神とキリストが天空に現れ、
その下で投石を受ける聖ステファノが描かれています。
聖人の脇で跪く若者が後の聖パオロで、
彼の足元には石を投げる人々のマントが敷かれています。