不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Oltre la Sindrome di Stendhal

2008-07-15 19:27:55 | アート・文化

フランスの作家スタンダールが
1817年にイタリアを旅した際に訪れたフィレンツェで
自身が襲われた一種のパニック症状を記し
やがて著作の中でも書き残していることから
作家の名前をとるようになった、
フィレンツェなどの美術観光都市で
繊細な観光客を対象に起こりやすい
眩暈、呼吸困難、吐き気、失神などの症状をまとめて
「スタンダール症候群」と呼びます。

スタンダール自身は
サンタ・クローチェ教会の
フレスコ画を鑑賞していたときに眩暈に襲われ、
ふらつきながら広場にでてベンチに腰掛けたようです。
著名人の巨大な墓碑彫刻、
大きな画面に綿密に描き込まれるフレスコ画など
確かにサンタ・クローチェ教会は独特の雰囲気と空気を持っていて
ある意味圧迫感があるのかもしれません。

フィレンツェの美術館や教会の閉ざされた空間に
あまりにも多くのそして大きな美術品が収蔵されていることが
原因とも言われていますが、
詳細の原因は解明されていません。
フィレンツェという街自体が秘めている、どこか耽美な閉塞感が
訪れる人々の精神に作用しているのかもしれません。

イタリア人でこうした症状を訴える人は少なく、
西ヨーロッパ諸国の人々、そして日本人にも
こうした不調を訴える人が多いのだそうです。
イタリア人は小さいころから見慣れているからなのでしょうか。
傾向としては文化教養の高い
一人暮らしの人に顕著に表れるようです。
人によって症状は様々ですが、軽度の場合もあれば、
数日の入院を余儀なくされるような状態になることもあるとか。

フィレンツェの街中にあるSanta Maria Nuova病院の精神科で
こうした症状を訴えて運ばれてくる患者を診察してきた女医が
Graziella Magherini(グラツィエッラ・マゲリーニ)で
1989年に「スタンダール症候群」を執筆し、
そのなかで症候群の中でも
特に顕著なケースについて取り上げています。
彼女は既に75歳を超え、現場を退いていますが、
フィレンツェの美術品が
旅行者の精神に及ぼす影響についての研究を続け
2004年から2005年にかけて
「ダヴィデ像」を鑑賞した旅行者対象に調査。
ダヴィデ像の与える精神的な影響についての研究結果を
一冊の著作にまとめています。

「Mi sono innamorato di una statua」
彫刻に恋した私と題された著作の中で
ダヴィデ像と鑑賞者のリレーションについて記しています。
観る人によって魅惑、驚嘆、動揺、自己喪失、
放心、競争心の芽生えなど様々な感情が起きていて、
精神的にも影響を与えているのだそうです。

そのいずれもが最終的には自己の内部への問いかけとなり、
そうした自己の見直しなどの啓発が
美術品のもつ一つの力なのかもしれません。

ダヴィデ像にももちろんそうした力があり、
単純に芸術品として傑作であるという事実だけでなく
観る者の捨てきれない過去や
心の片隅に残された思いなどにまで
自身の目を向けさせるように精神の深い部分で作用し
時にそれが不快感となって表れたり、
肉体的な不調として認識されたりします。

スタンダール症候群とはそういうものが絡み合って
起こる症状なのかもしれません。


Essere turbata

2008-07-15 07:38:00 | 日記・エッセイ・コラム

私は自分でも責任感は強いと思うし、
正義感も人一倍強いと思っている。

思っているだけじゃなくて、実際そうなんだけど。

だからこそ、その部分を批判されたり
否定されるとすごく動揺する。

それが特に与えられた仕事だった場合
責任持たずに従事するわけがない。

でもなかにはそれを理解せずに
自分の不快感だけを前面に露わにして
攻撃してくる人がいたりする。

なんで最近の日本人には
突拍子もない言いがかりや
相手のことを思わない
暴言を吐く人が増えているんだろう。

昨日私はかなり動揺して落ち込んで
ずいぶん傷つきました。
でも一晩ビリーとチッチーノを抱いて悩み続けて
自分は間違ってないと自信をもって言えるし。

朝日はいつものように明るくまぶしくて
清々しくてよかったな。