不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

DNA dei veri veneziani

2009-11-24 14:35:49 | アート・文化

水の都ヴェネツィアは昨今の地球温暖化の影響で、
将来的には水没の可能性ありともいわれていますが、
その前にもっと深刻な問題も抱えています。

小さな島が密集し橋や運河で繋がれている独特なつくりは
観光客にとっては異国情緒たっぷりではありますが、
暮らしてみるといろいろ不便もあるようですし
何より観光客向けの料金設定で、
生活費も年々値上がりを続けているとか。
そんな理由もあり、
40年前からヴェネツィア本島の住民数は徐々に減少を続け
40年間で半数になってしまいました。

1966年 ヴェネツィア本島住民数121,309人 
     メストレなど周辺も含む住民数365,758人
1976年 ヴェネツィア本島住民数102,269人 
     メストレなど周辺も含む住民数362,494人
1986年 ヴェネツィア本島住民数84,355人 
     メストレなど周辺も含む住民数331,454人
1996年 ヴェネツィア本島住民数69,906人 
     メストレなど周辺も含む住民数269,459人
2006年 ヴェネツィア本島住民数62,027人 
     メストレなど周辺も含む住民数269,261人
2009年 ヴェネツィア本島住民数59,992人 
     メストレなど周辺も含む住民数271,004人

そんなヴェネツィアで先日
「ヴェネツィアの葬式」なるイベントが行われました。
賛否両論のイベントとなりましたが、
ヴェネツィアの現状を再認識しようというもので
そのイベントの中では
新しいヴェネツィアの住人急募のための署名運動のほかに
生粋のヴェネツィア人のDNA採取が行われました。

実際にはこのDNA採取は
ヴェネツィアの存続を問題としたものではなく
National Geographic Societyと
マサチューセッツ工科大学の主導で
ヨーロッパ民族の形成を研究するための
資料として利用されるものです。
研究者は12月半ばまでヴェネツィアに滞在し、
総計で5000のヴェネツィア人の
唾液サンプル採取を続けています。
科学的に有効なサンプル資料としては
300検体が必要ということで
採取したDNAの中から選抜されることになるようですが
DNA採取の対象となるのは男性のみで年齢は問わず、
ただし両親、祖父母がヴェネツィア人であることが第一条件。
この条件が「生粋のヴェネツィア人探し」と
根底で繋がっているのかもしれません。

研究自体は全世界で100,000検体のDNA採取が予定されており
採取した遺伝子を研究・分析することによって
中欧・西欧の民族の起源を明らかにするというものです。
イタリアではヴェネツィアを中心に
ヴェネトの遺伝子が採取されるのみですが
昔から言われているヴェネツィアのヨーロッパ起源説の正否が
この研究によって明らかにされるのではないかといわれています。