不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

La Bella di Tiziano

2010-01-26 13:00:05 | アート・文化

10年がかりでラファエロの「ひわの聖母」の修復を手がけた
修復士パトリツィア・リイタノ(Patrizia Riitano)は現在
ティツィアーノ作の通称La Bellaと呼ばれている
「青い服の婦人の肖像画」の修復に取り組んでいます。

La_bella

昨年6月にパラティーナ美術館から
修復工房に運ばれた作品は
すでに表面を覆っていた黄褐色のニスをすべて取り除かれ
女性の頬の赤みや肌の白さ、
首から下がる長いゴールドの首飾りや
深い藍色のドレスの間から見える白いレースなどが
本来の美しさを取り戻したといわれています。

89×75,5センチの作品は
1536年にティツィアーノが完成したもので
ナポレオンの時代にニスをかけられたことを除いては
1900年代の修復ブームにも
修復をかけられずにきた稀な作品だそうです。
もともとは
ウルビーノ公フランチェスコ・マリア・デッラ・ロヴェーレ
(Duca di Urbino Francesco Maria della Rovere)の所有で
ヴィットリア・デッラ・ロヴェーレの礼拝堂
と呼ばれる部屋に飾られていたことが
古文書研究によって確認されています。
後にこのデッラ・ロヴェーレ家との婚姻関係が成立し
メディチ家(コジモ3世)がヴィットリアを
フィレンツェに迎えたことにより
1694年にメディチ家のコレクションに加えられています。
しかし、ナポレオンの略奪によってフランスに持ち去られ
1799年にはパリのルーブル美術館の所有となっています。
1814年のウィーン会議によりパリからフィレンツェに返還され
それ以降パラティーナ美術館所蔵となっています。

詳細があまりわかっていない作品のひとつですが、
女性はティツィアーノのお気に入りの
ヴェネツィアのモデルであろうと推測されています。
確かに、ウフィツィ美術館に所蔵され、
昨年は日本でも展示された
ティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」に
描かれる女性を含め、
彼の描いた多くの女性像に酷似しています。
ちなみにこの作品には描かれていませんが
ティツィアーノの描く犬もどれも酷似しているので
犬も女性も同じお気に入りモデルを使っている可能性は
十分に考えられます。

2010年の末までには修復が完了する予定で
修復が完了した暁には「ひわの聖母」と同等の扱いで
特別展が開かれることになりそうです。

こうやって見ると
めちゃくちゃ豪華なドレス身につけてますね。
重そうですけど。