不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Nelle vigne la musica di Mozart

2010-10-26 18:15:11 | アート・文化

日本でも家畜や農作物の成長を促進するために
様々な工夫がされていますが、
イタリアでも色々試されています。
さすがに牛にビール飲ませたり
ニワトリにワインを飲ませたりしているところはないようですが、
そのうちそういう試みをするところが
イタリアでもでてくるかもしれません。

ぶどうの収穫を前に
トスカーナの小さなワイン製造業者の試みの紹介。
世界遺産にも指定されているVal d'Orcia(オルチャ渓谷)で
Brunello di Montalcino(ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ)を作る
Giancalro Cigozzi(ジャンカルロ・チゴッツィ)氏の農園では
ぶどう畑でモーツァルトの楽曲を流してぶどうの成長促進。

神経生物学のエキスパートである
フィレンツェ大学の教授の科学的サポートと
世界的に有名なBose社の技術サポートにより
2008年からぶどう畑にBose社のスピーカーを設置して
ぶどうに音楽を聞かせて
成長具合を計るというテストを続けています。

3年目になるこのテストの結果、
良質の音楽を聞かせた場合
苗木の段階では枝葉の成長が35-40%伸び、
果実に関しては200-300%増しという結果。

最初はバロック音楽から始め、
様々な楽曲を3日間聞かせて
まったく音楽を聞かせていない苗木との成長差を計った結果、
最も効果的なのは
モーツァルトの楽曲だということにたどり着いたようです。
特にFlauto magico(魔笛)が効果的だそうです。
全体的に大きなスピードやボリュームの変化がない楽曲のほうが
成長促進に向いているようです。

このテストは現時点では
成長促進までしか結果がでていませんが
成長促進しただけでなく、
そうして育ったぶどうから作られるワインの味が良くなる
と立証できるとまた面白いことになるかもしれません。
生物多様性が話題になる昨今、
トスカーナの小さな製造者の試みが
どこまで評価されるか楽しみです。