不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

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2012-02-15 18:08:11 | Tweet Log



Il Putto con Delfino di Andrea Verrocchio

2012-02-15 14:46:36 | アート・文化

シニョリア広場(Piazza Signoria)から
レプリカのダヴィデ像の脇を抜けて
ヴェッキオ宮殿(Palazzo Vecchio)に入ると、
グロテスク模様と白と黄金の漆喰で飾られた中庭に出ます。
Cortile di Michelozzo(ミケロッツォの中庭)と呼ばれる
その空間は1453年にミケロッツォによって設計されたものです。
1565年メディチ家のフランチェスコ1世
(Francesco I de’ Medici)と
オーストリア・ハプスブルグ家のジョヴァンナ
(Giovanna d'Austria)の婚姻を機会に
ジョルジョ・ヴァザーリ(Giorgio Vasari)によって
マニエリスム風の手が加えられて現在のように飾られました。

また、もともとこの空間の中央には
井戸があったらしいのですが、
Bartolomeo Ammannati
(バルトロメオ・アンマンナーティ)の協力を得て
ヴァザーリのデザインを元に
Francesco Ferrucci(フランチェスコ・フェッルッチ)と
Raffaello di Domenico di Polo
(ラッファエッロ・ディ・ドメニコ・ディ・ポロ)が
製作した噴水が置かれることになりました。

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この噴水の天辺に乗せられているのが
Andrea Verrocchio(アンドレア・ヴェッロッキオ)の
Putto(プット)です。
メディチ家に愛された彫刻家の一人であったヴェロッキオは
サン・ロレンツォ教会内にある
老コジモ(Cosimo il Vecchio)や
その息子たちの墓碑も手がけています。
一時代を築いた彼の工房では
若きレオナルド・ダ・ヴィンチが学んだことはよく知られています。
ラファエロの師匠であるペルジーノも
ヴェロッキオのもとで学んでいます。

ヴェロッキオはいくつものプット像を制作していますが、
その中でも最も古い作品だといわれ、
オルサンミケーレ教会(Chiesa Di Orsanmichele)の
Incredulita' di San Tommaso(サン・トンマーゾの不信)の
ブロンズ群とスタイルが似ていること、
またロレンツォ・イル・マニフィコ(Lorenzo il Magnifico)の
依頼であることなどから、
1480年代終わりから1490年代初めの作品だといわれています。

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もともとはカレッジ(Careggi)にある
メディチ家の別荘に置かれていたものですが
1557年にこの中庭に移され、
1959年にオリジナルはヴェッキオ宮殿の2階に保存され、
現在中庭にあるものは
ブルーノ・ベアルツィ(Bruno Bearzi)による複製品となっています。

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プットが抱くイルカの鼻から水を出し
ここ2週間ほどの寒さで凍りついていますが
もちろん現役の噴水としても使われています。
この水、実はボボリ庭園の裏の丘から水を引く
古い上水道システムをいまだに利用しているのだそうです。

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いくら複製とはいえ、
この寒さでもけなげにいるかを抱いている姿が
ちょっとかわいそうな感じもします。