不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Perche si celebra 26 Dicembre ?

2006-12-28 14:10:24 | うんちく・小ネタ

クリスマス時期にイタリアにいると
「宗教的にクリスマスがとても大事な日だ」
というのは理解できても
「なぜ翌26日がお休みなのかわからない」
ってことはないですか?

実は私にとっては長いこと謎だったのです。
もちろん12月26日が
「Santo Stefano(聖ステファノ)の日」
であることは知っていたし
聖ステファノがその昔、助祭だったことも
布教活動に熱心だったことも
そしてキリスト教初の「殉教聖人」であることも
それなりに知っているけれど
彼が殉教した日が12月26日である証拠はなく
どうしてその日が他の聖人の日と異なり
「国民の祝日」なのかが理解できなかったの。

だってキリストと血縁関係にある洗礼者ヨハネは
フィレンツェの守護聖人で
6月24日はフィレンツェは祝日だけど
国民的祝日ではないし
もっといえば第一弟子で逆さ磔になった聖ピエトロは
ローマの守護聖人で6月29日はローマのお休みだけど
全国的にお休みなわけじゃない。

聖ステファノは誰よりも先に
自分の命をかけてその信仰を守った人であるという点では
確かに偉大な人だけど。

と長いこと疑問だったこの点について
ようやく重い腰を上げて色々調べていたら結構簡単に解決。

やはりそういった聖ステファノの
功業が評価されているのは当然のこと。
しかし12月26日は実は「宗教祝日」には当たらないのです。
法律(legge 27/5/1949 n. 260 )で決められた「国民の祝日」。
いってみれば
日本のハッピーマンデー法による祝日みたいなもので
クリスマスのお休みを長くするために
クリスマスの翌日を
聖ステファノにちなんでお休みにしましょうってこと。

まぁ、どうでもいいといえばどうでもいいことだけど、
長年の謎が解けてちょっとすっきり。

ちなみに聖ステファノは投石によって殉教しているので
彼のシンボルとして石が描かれることが多く、
このGiottoの作品のように
頭にぽこりと石がくっついているものもよく見かけます。
ちょっと変な感じだなといつも違和感を覚えるのですが。

Santo_stefano_giotto

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Nuove puntate di Ris

2006-12-27 11:25:02 | 日記・エッセイ・コラム

大好きなテレビ・ドラマの新シリーズが始まると聞いて
ここ数日わくわくしている、単純な私。

前シリーズのときからあまりに気に入りすぎて、
私の携帯の着信音は
ずっとRISのオープニングテーマ曲なのです。
(日本だったら吉川晃司ですけどね)

で、テレビも電気もつけっ放しにしたまま
ビリーとチッチーノと寝込んでしまった先日の真夜中。
(メガネもかけっぱなしだったしねぇ)
突然聞き覚えのある音楽が鳴り出して
胸の上のチッチーノを振り落として
足元のビリーを蹴倒して、がばっと飛び起きたのです。

RISのオープニングテーマ曲!
真夜中の再放送が始まったのかと思ったわけですよ。
しかし、これは新シリーズのメイキングだったのねぇ。
爆睡していると思ったんだけど
潜在意識の中でもちゃんとRISを聞き分けた自分に拍手。
真夜中にメイキング見て大興奮&大満足。
安眠妨害されたビリーとチッチーノは大迷惑だったようで。

こちらのサイトでRISのサウンドトラックをチェックできます。
決してMediasetの回し者ではありません(爆)。
ページの下のほうにあるRaccolte Specialiのなかから
RISを選ぶといきなりオープニングテーマ曲が流れ出します。
(大音量です、要注意)

新年が既に待ち遠しいな。
RIS 3

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Onesta' di Sant'Eligio di Jacopo da Empoli

2006-12-26 00:30:25 | アート・文化

毎年この時期、
つまりクリスマスの賑わいの頃から1月いっぱいまで
フィレンツェのウフィツィ美術館付属の「王宮郵便局」で
開催されるI mai vistiという展覧会。
フィレンツェには展示スペースの関係上、
もしくは修復待ちのため
展示されずに保管されている美術品が山ほどあります。
このうちの一部を無料で公開するのがI mai visti。
今年の展示のテーマは
「Poesia d'interni(室内シーンの詩情)」。
非公開の数々の作品の中から
室内やそれに関するテーマを取り扱ったものを
14世紀から20世紀までの広い範囲で
44点集めて展示しています。

その中から一点。
Jacopo da Empoli(ヤコポ・ダ・エンポリ)の
「Onesta' di Sant'Eligio(聖エリージョの誠実さ)」。

J_empoli_01

本名はJacopo Chimenti(ヤコポ・キメンティ)。
父親がフィレンツェ近郊エンポリ出身であったことから
通称ヤコポ・ダ・エンポリと呼ばれた画家(1551年-1640年)。
本人はフィレンツェ生まれで、
画家としての修行もフィレンツェのMaso da San Friano
(マゾ・ダ・サン・フリアーノ)の工房で積んでいます。
1500年代前半の偉大な画家たちの手法を継承し、
トレント公会議(154-1563)や
それに続く反宗教改革の時代を生き
飾り気のない簡潔な表現技法への回帰を実現しつつ
カラヴァッジョやカッラチなどの次代へ続く
写実的な近代性への道を開いた画家。
純粋なトスカーナ画法を継承する画家でありながら
なぜか記憶の片隅に追いやられがちな
マイナーな作家でもあります。

そんな彼は非常にデッサン力が高く、
残している作品も非常にエレガントで
完成度の高い構図のものが多く細部の描きこみも実に繊細。
「Onesta' di Sant'Eligio」でも
金細工工房内の道具の一つ一つまで詳細に描かれています。

フィレンツェは昔から金細工技術の伝統でも有名ですが、
ヴァザーリの回廊が完成し、
それまでヴェッキオ橋の上にあった肉屋が一掃撤去されて
金細工の工房に変わったのを記念するために
作製された作品ともいわれています。

聖エリージョは588年にフランスに生まれた
ローマ起源のイタリア人で
元々は馬の蹄鉄工であり、後に金細工士となったことから
現在でも金細工業の守護聖人として知られています。
素材を最大限有効に使って作品を作る才能に恵まれており、
彼の金細工士としての技術は高く評価されていたといわれます。
フランス王クロタリオはひとつの玉座を作るために渡した金塊で
エリージョが二つの玉座を作製したことに非常に驚き、
その誠実さと技術を高く評価し
その後は王宮つきの金細工士としての仕事を与えたほど。
しかし639年に司祭が亡くなると、自ら司祭になることを決意し
金細工の仕事をやめて、
641年にNoyonの司祭として任命されます。
このため、聖エリージョを描いた絵画の中では
赤い司祭服を纏っているものもあります。
司祭となったエリージョはフランス、ドイツ、フランドル地方などで
熱心な布教活動を続け、660年に生涯を閉じています。

ヤコポ・ダ・エンポリの作品の中で描かれる、
フランス王の前に二つの玉座を捧げる聖エリージョは
金塊を盗んだと告発された彫刻家
ピエトロ・フランカヴィッラ(Pietro Francavilla)の
肖像だといわれています。
工房の奥の壁の高い位置に描かれる聖母子像は
エリージョの司祭としての実績を示唆するとともに
エリージョの信仰の深さに反映した
ヤコポ・ダ・エンポリ自身の信仰の深さをも表現。
壁にかけられる道具類(秤、やっとこ、金槌など)はすべて
金細工士もしくは蹄鉄工の使うものであり
聖エリージョをあらわすシンボルとなっています。
J_empoli_02

こんな傑作なのに展示スペースがないなんて
フィレンツェは贅沢な悩みを持っているものですね。


I MAI VISTI
Sala delle Reali Poste (ウフィツィ美術館脇)
会期:2006年12月16日から2007年1月31日まで(月休)
開館時間:10:00-17:00
入場料:無料

Mai_visti_2006
期間中にフィレンツェを訪問するならお奨めの展覧会です。

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I lavoretti

2006-12-25 14:06:44 | 日記・エッセイ・コラム

イタリアでは2006年の失業率はずいぶん改善されて
1992年以来最低の失業率となりました。
つまり裏を返せば「就業率が最大に成長」ってことですね。

就業率が上がったというのは
移民が増えて、彼らの力によるところもかなり大きい。
もちろんイタリア人も働けるチャンスが増えたんだろうけど。
契約社員なり、正社員なり雇用契約を持って仕事をする人。
自分で事業を始める人。
仕事をする機会が増えているのなら
イタリア経済にとってそれはよい兆し。

脱税対策だったり、闇労働規制だったりで
あまり、アルバイトという形での就業が多くないイタリア。
(その割に仕事のかけもちしている人は多いんだよね)
その点、日本は細かいバイトが山ほどありますよね。

そういう点を活かしつつ、現在の日本の状況を反映した
新しい仕事の形なんだろうなと思ったのが「LOVE JOBS」。

この動画は
「一日にいったいいくつのバイトをかけもちできるか」に挑戦!
という感じで作られていて
その中でもほろりとさせてみたり、
人と人との繋がりの大切さを示唆したり
最後は多大なる達成感!という締めくくり。
世界記録に挑戦なのですから。
日本ならではの「記録樹立」だよなぁと思って見ました。
若い男の子が早朝から深夜までほぼ24時間寝ずに働く姿。
こういうものに感動しやすいのです。(笑)
しかし、こうやってみると色んな仕事があるのですねぇ。
それも仕事になるのだと思ったのはレンタルビデオの返却。
忙しい日本人は自分でビデオ返却もできず、
それを依頼する人と仕事として受ける人がいる。
そういうニッチな部分を網羅して
新しい仕事の形態を提案しているのはすごく面白いなと。

ワンコの散歩や、お買い物、洗車。
なんでも仕事になるんだったら、
イタリアでも同じシステムでやってみたら
事業として当たるかなぁとか思ったんだけど。
わずらわしい道路洗浄の日の路上駐車自家用車の移動とか
中途半端な時間の子供のお迎えとか。
最近では「お手伝いさん」や「介護人」を雇う家庭も
増えているイタリアだけれど
それだけの経済的余裕がない家庭の
ちょっとしたお手伝いをする。いい事業じゃん。
でもきっとFatturaの切れない仕事ばっかりだから
闇労働とみなされたりして大々的にやるのは難しいのだろうなぁ。


イタリアでフリーランスで働いていて、
仕事の少ない時期には、
日本みたいに単発バイトが山ほどあったらいいのになと
真剣に思います(笑)。

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