不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

V edizione di Bukubuku a Firenze

2010-11-14 18:57:23 | bkbk

また忘れないうちにと思い、
日本出発前に確定しましたよ、第5回ブクブク交換会。

前回はぎりぎりの告知だったのにも関わらず、
新規でのご参加もいただき、ありがとうございました!
参加すると、その楽しさがわかってもらえると思うので
話のネタに皆さんも是非お気軽に遊びに来てください。

<<第5回ブクブク交換会@フィレンツェ>>
●開催日時● 2010年12月7日(火曜日) 19:30-21:30
●会場● Cuculia (Via Dei Serragli 3R e 1R/Firenze)
●参加費● 無料
●テーマ● 「動物」「クリスマス」「自己内省」
●参加人数●10-15名 先着順で締め切ります

今回は2010年締めのブクブクとなります。
テーマはいつものように広く自分勝手に捉えてもらってOKです。
「動物」なら動物が主役の本、動物が鍵を握るストーリー、
極端な話、動物図鑑でも○。
「クリスマス」ならクリスマスの料理本、クリスマスに贈りたい本、
クリスマスにもらったけど読まなかった本などなんでもあり。
「自己内省」は今年を振り返る意味で色々持ち寄ってください。

第1回第2回第3回第4回
それぞれで交換された本はこちらでチェックできます。

「ブクブク交換会とは」
本と名刺を交換することによって
新しい人と人との繋がりを作ったり
新しい世界観への第一歩を踏み出したりする
なんか底知れずわくわくするイベントです。

「参加資格は」
本に対する熱い情熱と新しいことへの好奇心のみ。
活字中毒だったり、
手元の本の処分に困っていたり
いつも同じ系統の本を読んでいるので
新しい分野の本を読んでみたいけど
どこから探していいのかわからないとか
とにかく動機は何でもOK。

Twitter発の口コミサブカルチャーイベント。
誰でも気軽に本を持ち寄って集まって
思うまま語り合いましょうという
ゆるいイベントです。

*アペリティーヴォはワンプレート形式になりますので
交換会の前の懇談会を兼ねて食事の時間を設けます。
会場での飲食代は各自負担となります。
(アペリティーヴォ6,00ユーロ)
*テーマは広く広く解釈してもらってかまいません。
*文庫、新書、ハードはもちろん
雑誌、漫画など活字媒体であればなんでも可。
*上記の好きなテーマに沿った本を選んで
最低1冊、何冊でもお好きなだけご持参ください。
*名刺持っている方は本に名刺挟んできてください。
*名刺のない方も気にせずに参加してください。

●●当日の流れ(希望的観測)●●
19:15 開場
*テーブルを用意しますので持参した本を並べてください。
19:30 簡単なブクブク交換の説明
19:35 雑談&アペリテーヴォ
20:05 本のプレゼンテーション開始
*それぞれ持ち時間MAX2分で持ってきた本について
熱く語ってください。
(とはいっても適当ですのであまり肩肘張らずに)
20:30 本の交換&交流
*気になった本、気になった人と交流を深めて
本の交換を行ってください。
21:30 解散
*自分が持参した本の数だけ本の交換ができるので
是非面白い本を見つけて帰ってください。

ブクブク交換会の楽しさはたくさんあります。
テーマに沿った本を自分の本棚から選ぶ楽しみ。
ほかの人が選んできた本から交換したい本を選ぶ楽しみ。
自分の選んだ本をプレゼンする楽しみ。
ほかの人が選んだ本のプレゼンを聴く楽しみ。
本や活字の面白さやありがたみを語り合う楽しみ。
本を通じて友達ができる楽しみ。
交換した本を後日じっくり読む楽しみ。
感想をツイートしたりブログに書いたりする楽しみ。
交換できなかった本を探す楽しみ。
交換した本をさらに次回交換する楽しみ。
いつもとは違った仲間と時間を共有できる楽しみ。
ほかにも自分らしい楽しみを見つけるために
是非遊びに来てください。

もっと詳しく知りたくなった人はどんどん質問してください。
参加したくなった方は早速予約!!
1.ブログにコメントで参加表明
2.Twitterで参加表明 
3.メールで参加表明
いずれの場合も参加者のお名前(ハンドルネームでも可)と
参加人数は必ずお知らせください。

今回もたくさんの本と素敵な人に出会えるのを楽しみにしています。


Un motivo per rifiutare

2010-11-10 20:52:08 | 日記・エッセイ・コラム

16年もフィレンツェに暮らしていて
それこそ、日常の会話にはまったく苦労することもないし、
ある程度込み入った話でも
なんとかやりくりするくらいの
イタリア語力は身についたと思います。

しかし、私はここにやってきた当初
約1年半まったくイタリア語を喋らなかった、
というか喋れなかった期間もあります。

どちらかといえば語学向きの脳みそなんだろうけど
私の場合、それは
計算力よりも語学能力が上回っているというだけのことで
語学的な天才というわけじゃない。
すごく苦労してクリアした英語だって
今となってはまったく出てこないし、
今毎日使っているイタリア語だって
自由自在に操れるというレベルには程遠いのです。

そんなこともあるし、
向き不向きということもありますが、
私には通訳という仕事は向いていないなぁと常々思います。
人前で話をすることも苦手な上に
アガリ症で内的パニックに陥ることも多いし
即座に機転を利かすことも苦手な私には
公の場での通訳は向いてません。
そのため最近では通訳の仕事は端からお断りしています。

そのときに
「皆さんが思っているほどイタリア語できません」って
はっきり言ってますが、信じてもらえてないようで
変な誤解を招いていたりもするようですが。
本当にお披露目するようなイタリア語力では決してありません。
謙遜でもなんでもなく
私よりイタリア語のできる日本人をよぉく知っているので
正直にお伝えしているだけなんですけどね。

先日フィレンツェで行われた落語の通訳も
依頼を受けたのですが
上記の理由によりお断りしたのです。
協力したい気持ちもあり、
できることなら快く引き受けたかったのですが、
何より私にはそんな大一番の仕事を
引き受ける自信が無いのです。

身近な友人には
もっと自信もってチャレンジすればいいのにとも言われ
自分でも挑戦は大事だと思ったりしますが、
私のせいで素敵なイベントを台無しにすることが
私にはとっても怖いことに思えるのですよ。

当日、仕事をなんとか終えて、ぎりぎりで滑り込んだ落語。
最初のイントロダクションの部分で
申し訳ないけど、
その仕事を断った私が言える身分じゃないけど
明らかに力不足の通訳を目の前にして
こんなことになるなら私がやっておけばよかったと
少しだけ思いました。
それくらい、実は残念な通訳でした。

小物遣いなどのイントロダクションのあとの
最初の演目は「ちりとてちん」だと聞いていましたが
おそらく演者竜楽も通訳に問題があるということを
なんとなく感じ取ったのではないかと思います。
日本語での演目ではなく
イタリア語で準備されていた演目「親子酒」を
先にもってきました。
即座に機転を利かせたのだと思います。

通訳無くても、説明が不十分でも
なんとか会場のイタリア人にわかってもらえる。

実際、竜楽本人のイタリア語力と演技力で
会場は笑いの渦に巻き込まれていきました。

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親子酒が終わって、会場は精気を盛り返して一旦休憩。
この休憩中に
私が次の演目の通訳を引き受けるべきかどうか
本気で悩みましたが、
その時点でも私には決断できなかった。
小心者なんですよ、そう見えないでしょうけど。

しかし、
フィレンツェで育ったであろう
ほぼネイティヴに近い女性が
好意で通訳を引き受けてくれることになり
休憩明けはスムーズな通訳で
他人事ながら安心して聞いていられました。

「ちりとてちん」の説明をイタリア語で聞きながら
へぇぇ、と感心することしきり。
若いのに、しっかりした子だったので
是非紹介してほしいと思ったほど。

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会場も盛り上がって大盛況のうちに終了。
一緒に観劇していた友人のパートナーが
是非一緒に写真を撮りたいということで
控え室にまで押しかけて写真撮影。
すっかり普段着に着替えた竜楽氏の姿は
普通の頭の良さそうなお兄さんでした(笑)。

舞台の上の姿からは想像もできない
控えめでおとなしい方でした。
フィレンツェが好きだと仰ってましたし、
また来年もやりたいということだったので、
また楽しみに待っていようかなと思います。

見終わった後、周りの方々には
「あなた、一番楽しんでたよね」と突っ込まれるほど
昨年に続き今年も思いっきり笑わせてもらいました。
そういう意味でも通訳を引き受けずに
純粋な観客でいられたのは私にとっても幸せだったかも。

後日、
あの夜、途中から通訳してくれた女性は
実は私の知り合いの娘さんであることも発覚。
そりゃぁ、優秀なわけだわねぇと納得。

そんなわけで
私は今後ますます通訳を断ることになりそうです。
それは私の心の問題。
いつか自信がもてるようになったら引き受けますよ(笑)。

やってみたいという好奇心とチャレンジ精神で
新しいことや難しいことに
チャレンジするのはよいことだし
私は他の人の決断に決して口を挟んだりしませんが
自分の決断が及ぼす結果についても
どこまでの責任が取れるのかについても
十分考慮した上で
仕事としてきちんと引き受ける覚悟は必要だと思いますよ。
通訳って、ちょっと会話ができる程度で
安易にできる仕事じゃないのでね。


La tempesta di Giorgione

2010-11-09 20:25:04 | アート・文化

「La Tempesta(テンペスタ:嵐)」という題名がつけられている
Giorgione(ジョルジョーネ)の作品は
1507年から1508年頃に描かれたといわれています。
しかし、他の彼の作品と同じように謎が多く、
様々な解釈のされている作品でもあります。

Tempesta

手前右手には半裸の女性が授乳をしており
左手には木棒に寄りかかるようにした格好で男性が立ち、
見るとはなしに女性のほうを向いています。
その後方には崩れた建物の一部があり、
さらに後方に街が広がり、
その街には稲妻の閃光が走り、
今まさに嵐が訪れようとしています。

この絵画作品の一番最初の所有者は
ヴェネツィアの富裕者Vendramin(ヴェンドラミン)で
1569年頃までは彼が所有していたようですが、
その後1856年にManfrin(マンフリン)コレクションに
含まれていることが確認され、
さらに1875年にはベルリン美術館に所有が移りますが、
イタリア政府によって海外流出禁止要請が出され、
Giovannelli公によって買い戻されています。
1932年にGovannelli公の遺品として残ったものを
ヴェネツィアのアカデミア美術館が購入しています。

1530年の時点では
「嵐と兵士とジプシー」とタイトルがついていた作品ですが、
その後「自然のアレゴリー」とも「モーゼの発見」とも
「トロイア王子パリスの幼少期」とも「幸運のアレゴリー」とも
「慈悲の力」、「楽園追放されたアダムとイヴ」、
「マーキュリーとヴィーナス」とも言われ
未だ解釈に定説ができていませんが
いずれにしてもこの作品の評価が高いのはその「風景」。
豊かな自然の表現が主役であり、
その中に描かれる人物像は自然の一点でしかないのです。
背後で展開される嵐の偉大さに比べると
人類の存在の如何に小さなものか
ということを語っているようでもあります。

最新の説は
Erasmo da Narni(エラスモ・ダ・ナルニ)の肖像画を
カモフラージュするために描かれた作品であるというもの。
エラスモ・ダ・ナルニとは
通常Gattamelata(ガッタメラータ)と呼ばれる
イタリアの傭兵隊長で
フィレンツェ、教皇庁、ヴェネツィア共和国に仕えた人物。
Guerrino Lovato(グエッリーノ・ロヴァート)の唱える
この新説によると
この作品はガッタメラータが
城壁の建設を命じられたトレヴィーゾの街と
ガッタメラータ本人を描いたものだということになります。
しかしながらこの新説には異議を唱える声も多く
今まさに嵐に襲われそうな、背後にある街は
Padova(パドヴァ)だとする人もいます。
城壕、建築物、
城門に見えるCarraresi(カッラレージ家)の紋章などが
パドヴァ説の証だと言われています。

このパドヴァ説も未だ確約されてはいませんが、
パドヴァの市立美術館ではこの作品を招いて
ジョルジョーネや他の芸術家と
パドヴァの街の文化的な繋がりに焦点を当てた展覧会を開催中。

パドヴァにはドナテッロ作のガッタメラータ騎馬像もあるので
この機会に是非見比べながら鑑賞してみたいところです。

Giorgione a Padova
L'emigma del Carro
会期: 2011年1月16日まで
会場: Musei Civici agli Eremitani パドヴァ
入場料: 8,00ユーロ


Il Crocifisso di Giotto torna a casa

2010-11-02 21:07:41 | アート・文化

フィレンツェで活躍し
ルネッサンスの先駆けとも言われる画家Giotto(ジョット)は
精力的に活躍していたこともあり、
十字架磔刑もあちこちに残っています。

今回10年の修復が終わって再び一般公開となるのは
フィレンツェのChiesa di Ognissanti
(オンニサンティ教会)の十字架磔刑。
長くジョット派の作品として認識されていた作品ではありますが、
それは埃にまみれたニスや
ミサの際に灯されるろうそくの煤で汚れていたせいであって
洗浄が完了し鮮やかな色彩が戻ってきた作品を見ると
やはりジョットの傑作であるという事実を実感できます。
ビザンチン風の金色の背景に受難のキリスト
その上に父なる神、向かって左手に皺の目立つ聖母マリア
向かって右手に聖ジョヴァンニ。
そして足元にはゴルゴダの丘。
下から見上げ、信者が跪くことを考慮した構図になっていて
金色とラピスラズリの華やかな背景から
グレーのキリストの体が切り離されて
こちらに迫ってきそうな感じを受けます。

近代絵画の先駆者として知られるジョットは
一方で神学者でもあり、非常に熱心に福音書を読み解き
ひとつの聖なる物語として理解をし
それを作品に反映しています。
彼の作品はどれも非常にシンプルでありながら
時に見る者の心に突き刺さる真実を孕んでいるのは
そうした彼のキリスト教への理解が奥深くにあるからかもしれません。

Croce_giotto

昨今の傾向としては
これだけの芸術価値の高い作品は修復後
美術館に収蔵されることが多いのですが
今回は教会に戻されることになりました。
金色とラピスラズリの青色も鮮やかによみがえった
ジョットの「十字架磔刑像」は
10月29日にオンニサンティ教会に到着、
11月6日から一般公開となります。

修復後のめちゃくちゃきれいな磔刑像は
是非フィレンツェに来たときに
ご自身の目で確認してください。
写真なんかじゃ表せない美しさです。