超人日記・俳句

自作俳句を中心に、自作短歌や読書やクラシックの感想も書いています。

<span itemprop="headline">コンドラシンのマーラー選集の生き急ぐ音</span>

2012-07-12 03:12:42 | 無題


コンドラシンのマーラー選集、国内盤は高くて買えない。
ロシア製を持っているので一通り聞いてみた。
聞いた感じでは走っている、生き急いでいる切迫感が感じられた。
まず、ロシア風の録音が印象的だった。
それは荒涼とした広漠とした荒れ野の響きである。
前時代的ではあるがどこか郷愁を誘う響きである。
また標準的なマーラー演奏と音の質感が異なっている点も印象的。
マーラーを聞き慣れた人ならこんな音だったかなと聞き耳を立てるような質感。
また音の間合いを動かして面白く聞かせているのも分かる。
ルバートというほどではないが
音の間の長さを揺らして効果的に盛り上げている。
何よりも音が走っている、生き急いでいる感覚が印象的。
巨人も40分台と疾走している。打楽器が疾走を煽るのも見物。
テンシュテットの代理で北ドイツ放送響を振った
死の直前の「巨人」は命懸けの名演だそうだが私は未聴。
是非聞いてみたい。
その不幸な伝説を先取りするかのように、当選集では前のめりになって全力疾走している。
そこまで生き急ぐ必要はないのではないかという思いに駆られる。
全体としてこのマーラー選集は標準的なマーラー演奏と質感が異なり、意外な発見がある。
六番も65分と速い。五番、七番、九番も比較的速い。
マーラー演奏のスタンダードが確立される前の、
ミトロプーロスやシェルヘンにも通じる独自の音色や間合いの工夫がある。
そう言った意味でふつうのマーラー演奏とは一味もふた味も違った演奏を求める人にお勧めである。

東方の荒涼とした風景に鳴るマーラーは生き急ぐ音



コメント
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