ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2014.7.9 妊婦さんにも抗がん剤投与~赤ちゃんって凄い!

2014-07-09 22:11:56 | 日記
 先日、妊娠中に末期の乳がんが見つかり、治療するか赤ちゃんをとるか、悩んだ末に命をかけて出産する、というテレビドラマがあった(とりあえず録画はしたが、まだ視ていない。)。
 実際に、数年間にわたり幾種類もの抗がん剤を経験した身としては、健康な細胞にもあれだけのダメージを与える抗がん剤なのだから、身重の女性に投与などはとても出来ないだろう、と思っていた。
 だが、いや、そうではない、というびっくりする記事を見つけた。以下、転載させて頂く。

※ ※ ※(転載開始)

妊婦に抗がん剤、子どもに影響なし 乳がん患者を調査(2014年7月8日朝日新聞)

 胎児への悪影響を心配して日本では実施することが少ない妊娠中の乳がん患者への抗がん剤治療で、妊娠5カ月以降なら治療をしても赤ちゃんの健康には影響がなかったとする報告を聖路加国際病院(東京)がまとめた。14年間で34人が誕生し、これまで障害や異常などは確認されていないという。11日に大阪市で開かれる日本乳癌学会学術総会で発表される。
 20~40代で乳がんになる女性は年間約2万人と、乳がん全体の27%を占める。妊娠中にがんが見つかる人も増えており、治療優先で中絶が選択されたり、妊娠中は治療せずにがんが進んだりすることも少なくないとみられる。
 海外では一部の抗がん剤なら胎児に影響がないという報告も多く、積極的に治療をしている。日本乳癌学会の指針も、胎児が薬の影響を受けやすい妊娠4カ月以前は行うべきではないとしているが、5カ月以降は「必要と判断される場合には検討してもよい」とある。だが、がん専門病院には産科がないこともあり、聖路加国際病院に全国から妊娠中の患者が訪れるという。
 同病院は、1999年から2013年までに妊娠中に乳がんと診断され、妊娠5カ月以降に抗がん剤治療を受けた34人について調べた。妊娠中に起きた合併症は切迫早産4人、糖尿病2人、羊水過少1人、緊急帝王切開4人で、通常の出産と割合は変わらなかった。現在、子どもへの長期的な影響を調査中という。
 山内英子ブレストセンター長は「妊娠中に乳がんが見つかった場合も、産科や新生児科などの連携があれば出産もできる。赤ちゃんをあきらめず、治療という選択肢があることを知って欲しい」と語る。
 国立病院機構九州がんセンター乳腺科の大野真司部長は「妊娠中に抗がん剤治療を受けても、合併症や流産などが起こるリスクは変わらない。しかし、一般的に『妊娠中の薬はよくない』と思われているため、流産や子どもに障害などが出た場合、治療のせいにされがちだ。そうではないことを医療者だけでなく、患者や家族も理解することが大切」と話す。(岡崎明子)

(転載終了)※  ※  ※

 私は初発当時43歳だった。一人息子は小学校3年生、9歳になったばかりだった。が、もう一人弟か妹を、という希望(というよりも、再び一から子育てをしようという気力、体力と言った方が正しい。)は全くなかった。だからといって、この際、子宮も卵巣も乳房も全部取っちゃってください、とは言えなかったけれど・・・。
 一方、20代、30代であれば、病を得てからも子どもを持つことを望み、そのタイミングに悩む患者さんは沢山おられるだろう。
 更には、妊娠中に病が判り、出産する迄抗がん剤治療が出来ないとなれば、産まれてくる新しい命と自分の命を引換にするのか、と本当に悩ましいことになる。

 けれど、赤ちゃんは、そしてそれを守る母胎とは、なんて凄いのだろう。生まれてきたいという新しい生命力、この世に新しい命を産み出すという敬虔で底知れないチカラを思う。記事によれば、妊娠5か月以降ならば、抗がん剤の影響を受けることなく普通に生まれてくるのだというのだから。
 もちろん、まだ症例はごくごく少ないし、長期的な影響は判らないということだから、そう簡単な話でもないのは重々承知の上だ。だが、少なくとも、治療継続を諦め(て、その結果、自分の命を諦め)る、とか赤ちゃんを諦めるとか、つまりは“命”を諦めることなく、母と子の2人が生き長らえていくことが出来るということは、グッドニュース以外の何物でもないだろう。

 妊娠中や出産後に起きる何か良くないことが、必ずしも治療のせいではないことを、医療者だけでなく、患者、家族が理解することが大切、というのは全てにおいて真理である、と思う。
 知らないからといって諦めることはない。物事をより良く、正しく知ろうと努力し、理解することで、ひいてはより良く生きることが出来るのではないかと思う。

 今日は、明日の早朝会議のため、先月に続き、都心の定宿で宿泊している。奇しくも夫は宴会ということで、食事の心配をすることもなく、一人泊まり慣れた部屋で読書に勤しむラッキーな夜である。


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