ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2016.8.29 旅行4日目、終日アグラ観光 とうとう夢にまで見た世界遺産・タージマハールへ!

2016-08-30 00:59:14 | 
 今回の旅行、唯一の連泊ということで、昨日は荷物整理もそこそこに早めに就寝。夫は薬のおかげでだいぶ落ち着いて眠れた模様。ほっとする。私の我儘で気の進まない旅行に随行させられて、体調を崩して泣きっ面に蜂ではあまりに申し訳ないものだ。

 今朝もモーニングコールより小一時間早めの起床。ほぼ一番乗りにホテルの朝食レストランへ向かった。近くに宿泊しているガイドさんが心配して様子を見に来てくれる。大事を取って夫は今朝もお粥とヨーグルト、水分のみ。私もオムレツを焼いてもらった他はごく控えめにしておく。ホテルのパティオでは既にプールで楽しむ人たちが。今日は暑くなりそうである。

 部屋に戻る前に屋上のスカイデッキに行ってみると、ああ、そこには夢にまで見たタージマハールが。日本人のお伊勢参りや善光寺参りと同様、インドの人たちも死ぬまでに一度はタージマハールへ、というこの地に、まさか来ることが出来るとは思わなかった。本当に目の前にあることに感動する。

 バスは定刻通り発車。今回は6人ツアーで年代もほぼ同じ、皆さんとても穏やかで時間も正確。ガイドさんは悪乗り親父だけれど、ストレスフリーの心地よいツアーである。
 ホテルからほど近いお店で女性はサリー、男性はクルタパジャマに着替えて観光というのがこのツアーのセールスポイントである。ちょうど京都で着物を着て観光する、というのと同じ乗りだ。

 私はラベンダーカラーのサリーを選び、階下の着付け室に向かう。女性が上手に安全ピンで止めてくれてあっという間に着付けが終了。それにしても暑い。涼し気に見えるけれど、とんでもない。おでこにビジュー入りのビンディシールを貼ってもらい1階に戻ると、それぞれのご主人たちの着替えも完了している。夫は紺のクルタパジャマ姿。白いズボンが短くて腰パン状態だという。

 そんな出で立ち、テンションアップのノリノリでバスに戻り、タージマハールを目指す。入場のセキュリティチェックが厳しく、事前にカバンを2人で一つにし、持っていてはいけないものをリストアップされて用意万端。さすがにインド一の観光地、世界中からの観光客で早朝からごった返している。
 近くのバス駐車場から電動自動車に乗り込んで入口まで移動する。風が気持ち良い。物売りの人たちをかき分けながら、セキュリティチェックを無事通過。まずはガイドさん含めてツアーの集合写真。続いてカップルでポーズを決めて数ポーズ撮って頂く。ガイドさんの説明を聞いたら、小一時間の自由散策時間。雲が晴れていつのまにか青空。ものすごい日差し、汗が滲み出てくる。40度近くあるのではないだろうか。

 白亜のタージマハールはあまりに眩しくてサングラスがなければ目を開けていられないほど。

 この世界遺産・タージマハールはムガール帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンが、1631年に死去した愛妃ムムターズ・マハルのため建設した総大理石の墓廟で、言わずと知れたインド・イスラーム文化の代表的建築である。
 妃は戦場にまで同行し、毎年のように子宝に恵まれ、14人もの子供(!)を出産したが、それがもとで病を発し、39歳の若さで帰らぬ人になったという。皇帝は1週間も泣き暮らしたというが、その偏愛が造り出したのがこのタージマハールである。

 そこかしこに写真スポットを教えてくれる大人や子供が。うーん、これはチップの世界である。水と緑で飾られた庭園を見ながら墓所へと進む。気持ちが高揚していて暑さも疲れも気にならないが、昨日からお粥生活の夫は結構バテバテ。ポカリスウェットを飲みながら汗だくである。無事に1周して、皇帝が後に息子に幽閉されたというアグラ城の囚われの塔を、ヤムナー河を挟んで遠くに見ながら集合場所へ戻る。

 再び電動自動車で戻って、物売りたちを振り払いつつバスに乗り込み、サリー店へ戻る。脱いだ時の爽快感と言ったら例えようもないほど。汗でサリーの色が変わってしまって申し訳ないですね、と皆で言い合う。冷たいレモネードを出して頂き、生き返る。ここで息子が欲しがっていたシヴァ神とガネーシャの置物を物色。ちょうどシヴァの妃にしてガネーシャの母であるパールヴァティの3人一緒の大理石の置物があったので、こちらを頑張って値切って購入した。
 
 次なる目的地は、同じく世界遺産のアグラ城。歴代の王様たちが建てたモニュメントの博物館といったところ。ここは赤砂岩で築かれた城壁の色から「赤い城」の名がある周囲2.5㎞に及ぶ広大な赤い城塞だ。16世紀から300年余に渡ってインドで繁栄を誇った、イスラム勢力のムガール帝国歴代皇帝の城で、帝国の強大な力と栄華を今に伝えている・・・のだが、暑いし色々な説明を聞きながらだんだん頭が飽和状態になってくるのがわかる。

 川向こうのタージマハールを望むと、その脇から煙が出ているのが見える。そこが火葬場だと聞いて、まさしくインドは生と死が隣り合わせで共存しているのだと思った。こちらの見学でたっぷり一時間を過ごし、再びバスに乗り込んで昼食レストランへと向かった。

 紫外線の強さに皆、ぐったり。クラクションの嵐にもめげずに、1時間近く首をガクガクさせながら眠った。お昼のメニューは北インドのターリー料理。大きな丸いお皿に小さい小皿に入ったカレーやナン、デザートが。夫はここでも大事をとってお粥さん。お薦めのグアバジュースがとても美味しかった。一組のご夫婦の奥様が同じくお粥を注文されている。お腹を壊されたのですか、と訊くと食事の刺激が強かったのか胃が痛むのだという。ちょうど胃薬を沢山持っていた夫(すべての薬を持っていたのに下痢止めだけは持ってこなかった、というなんとも皮肉なことである。)が手持ちの薬をお分けする。本当にお互いさま、助け合いのツアーになってしまった。

 レストランを後にして、本日最後の観光地、世界遺産ファテープル・シクリ「勝利の都」に向かった。ここにはバスでは外入口までしか入れず、エアコンのない乗り合いバスに乗り換えてチケット売り場まで移動する。それにしても暑い。ムガール帝国第3代皇帝アクバルによって建設された都市だが、水不足のためたった14年で役目を終えた幻の都といわれる。

 既にゴーストタウンになって久しいから、建物の中に入ると、何やら鼻を衝くアンモニア臭。ガイドさんに尋ねると、ヤモリの糞尿が原因だとのこと。そんな建物の数々には贅をつくした皇帝のこだわりがそこかしこに見える。キリスト教の王妃、イスラム教の王妃 そしてヒンズー教の王妃の好みに合わせたダイヤや絵画やイヤリングの彫刻が施された、それぞれの住居にはため息が出る。王が愛した象のための供養塔まであって、これまたビックリである。

 ということで、本日の観光はこれにて無事終了。ホテルへの帰途、大理石工房に寄って象嵌細工のテーブルやお皿などで目の保養をして、結局何も買わずに整えられた部屋に戻ってきた。

 明日の出発までは初めての自由時間。夕暮れのタージマハールを望むティータイムとか、タージマハールに因んだショー鑑賞などのオプショナルツアーがあるが、夫は部屋で休養、私はホテル送迎付きアーユルヴェーダトリートメント初体験。ホテルにほど近いサロンで、アビヤンガのオイルマッサージとハーブボールのトリートメントにシロダーラ。最初はちょっと緊張したが、終わる頃にはすっかりリラックス。帰りにセラピストの方がビンディを額に貼ってくれた。1時間くらいはオイルを流さないでおくようにとのこと。
 ホテルの夕食では夫が昨日の昼以来続いていたお粥でなく、普通の食事に戻れた。良かった。

 明日は再び5時間かけてデリーに戻り、観光と買い物をしたら、深夜の便で帰国の途に着く。不思議なくらいお腹も快調で、腰痛も空咳も出なかったこの数日間。代わりに夫が体調を崩したのが申し訳なかったけれど、今日はこれから入浴を終えて久しぶりに早く眠り、明日に備えることが出来そうだ。
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