ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2024.4.2 旅は8日目 アッシジ観光を終え、32年ぶり永遠の都ローマへ

2024-04-03 03:59:00 | 

 昨夜は夕食を終え、部屋に戻って記事を書き、さてお風呂に入って寝ようとしたが、夫がお湯が全然出ないという。ヨーロッパの古いホテルで皆が一斉にお湯を使うとよくある話である。ああ、出遅れた。せっかくバス付の部屋に当たったというのに・・・。
 添乗員Tさんに確認すると今晩の入浴は諦めて明朝をお勧めするとのこと。
 けれど、やっぱり諦めきれず、生ぬるいお湯、温水プール並みの水に夫がポットで沸かしたお湯を何度も入れて、何とか入れる状態にしてくれた。身体を温められたことで随分さっぱりした。

 今朝のスケジュールは6時半起床、7時朝食、8時30分部屋の外に荷物出し、8時50分集合である。熱いシャワーを浴びるため、30分ほど余裕を持ってスマホアラームをかけて就寝。
 それにしても、4つ星ホテルを名乗りながら、皆がお湯を出したら宿泊客全員がお湯の恩恵に浴せないとはなんとも・・・である。

 日付が変わる前に眠ったようだったが、4時半過ぎにお手洗いで目が覚める。そのまま二度寝は出来ずじまい。夫も5時半過ぎに起き出し、「もう熱いお湯が出るよ」とバスタブにたっぷりとお湯を張ってくれた。せっかくなので朝風呂の贅沢。はぁ、さっぱりした。
 身支度を終え、昨夜夕食を摂った階下のレストランへ向かう。素朴な卵料理を少しずつ、添乗員Tさんお勧めのクリームチーズ、チョコクロワッサン、ヨーグルトとカフェ・ラッテを頂いて朝食終了。朝食をしっかり頂くと、お昼は軽くて大丈夫だ。

 窓の外は綺麗な青空が広がる。今回の旅で初めて傘が要らない良いお天気だ。空気はきーんと冷たく冷え込んでいる。外に出て写真撮影タイム。遠くの山々の稜線が美しい。眼下一面に緑が広がり、時折菜の花の黄色が混じる。赤い屋根の建物が可愛らしい。
 部屋に戻り、ポーターさんが荷物をピックアップしてくれたのを確認し、一休みしてロビーに降りてチェックアウトを済ませる。

 今日は午前中アッシジ観光だ。アッシジは12世紀の清貧の聖者フランチェスコの街である。フランチェスコとはフランス人の子どもという意味だそう。父は裕福な豪商で、母はフランスから嫁いだという。この街に宿泊する旅行客は少ないので、朝のうちは本当に空いている。まさに私達グループだけの貸し切り状態だ。これまで訪れた街はどこも煙草の煙で息苦しかったけれど、さすがに空気の澄み方が違う。

 昨日は土砂降りであたりの風景もろくに見られなかったけれど、40年ほど前に訪れたフランスのモン・サン・ミッシェルとよく似た雰囲気を醸し出している。大理石の色が似ているからだろうか。
 今日のガイドのマリア・ジョバンニさんがホテルまで迎えに来て、観光スタートだ。坂道を上り、まずはサンタ・キアーラ聖堂を目指す。聖堂前の広場にはカルーセルが設置され、イースターの休暇で子供たちが社会科見学に来ているのか、記念写真撮影中で賑やかだ。

 白とピンクの大理石で作られたこじんまりしたゴシックの聖堂は、聖フランチェスコの忠実な弟子であった聖キアーラ(クララ)に捧げられたもの。内部地下室(クリプタ)には彼女の遺体をはじめマント等遺品の数々が収められている。当時としては長命で、60歳で没した彼女は才色兼備で家柄も良く、素敵な女性だったそうだ。
 中央の祭壇には磔刑に処されたキリストの十字架が掲げられている。

 再び坂を下り、お土産屋さんが軒を連ねるメインストリートを歩く。まだ10時前、ようやくお店が営業を始める時間だ。近くにラベンダー畑があるそうで、ポプリのお店から漂う香りが鼻をくすぐる。
 広場で鐘の音を聞き、ローマ時代の、現在より3mほど地面が低かったという状況を確認する。

 続いてアッシジ観光のハイライト、サン・フランチェスコ大聖堂へ向かう。ここではたっぷり1時間以上はかかるということで、まずはお手洗いを済ませて、入場門へ移動する。石畳の坂道はお天気が良くても結構きつい。
 かつては長崎出身の神父様が複数いらしたようだが、現在は日本人神父様はおられないそうだ。今日は2003年から13年間日本に滞在し、その後ここアッシジに8年滞在しているというベトナムの神父様から案内して頂けることになった。

 フレスコ画の傑作で埋め尽くされたサン・フランチェスコ聖堂は、上下二層になっている珍しい造り。上は白い大理石から成り、下は赤い大理石から成り、受難(血の色)を現しているという。1230年に完成した下の教会は、天井が低く荘厳な雰囲気。まずは階段を下り、聖フランチェスコの墓がある地下室でご挨拶を済ませる。平和の祈りが日本語で書かれたカードを頂く。表の絵はジョットの描いた「小鳥に説教する聖フランチェスコ」。

 急な階段の上り下りで早くも青息吐息になってくる。お話自体はとても興味深く有難いのだけれど、立ちん坊で説明を聴いているのはなかなかしんどく、ついつい座りたくなってしまう。つくづく観光は体力だ、と思う。今回のグループの方たちは若くても60代後半、70代以上の方が過半数を占めるが、訊けば皆さんジムに通ったり、毎日泳いだり、マラソンに参加したり、旅行を楽しむために健康維持に余念がないご様子。

 続いて1253年に完成した上の教会へ。明るく淡い色彩のジョットのフレスコ画で天井、壁一面が埋め尽くされている。聖フランチェスコの生涯のエピソードが沢山の場面に描かれ、さながら大きな絵本が敷き詰められているよう。教会前の広場にはいくつものアーチが続く回廊が巡らされ、独特の雰囲気を醸し出している。神父様のお話しが40分ほどで終了し、その後、一旦解散。

 ランチの時間までに小一時間あり、30分ほどの自由散策時間を頂けた。お天気は良いが、風がとても冷たく、身体がどんどん冷える感じ。厚着をしてきた筈なのに、なかなか追いつかない。お店に入って暖を取りながら時間調整。もう決して来ることはないだろうから、とサン・フランチェスコ聖堂のレリーフのタイルを一つ買い求めた。

 ランチは坂を下り、バスの駐車場にほど近いホテルのレストランでウンブリア料理。ペンネとサルシッチャのクリームソース、七面鳥のソテーにミックスサラダ、デザートはティラミス。相変わらずボリューミーで、全部半分程度でギブアップ。夫は今日も昼から赤い顔をして白ワインを愉しんでいる。食事中大きな窓から外の美しい風景を堪能し、とても幸せな気持ちになった。

 バスに荷物が搬入されるのを見届けてから乗り込み、いざ、ローマへ向かって出発だ。ローマまでは180㎞、約3時間の旅。
 昨日までの雨粒でろくに見えなかった車窓とは打って変わって、青い空、白い雲。緑の大地には糸杉、オリーブの木が広がる。白、黄、ピンクの花も見える。高速に入ったら、いきなり首が折れるのではないかと思うほど爆睡してしまった。夫もワインが効いたのか、気持ちよさそうに眠っていた。

 2時間弱して、ドライブインでお手洗い休憩。夫は飲みなれたカフェのキャラメルマッキャートを買い求めていた。私はなんとなくお腹が心配でお手洗いを往復したけれど、音沙汰なし。
 出発後小一時間して、無事ローマに到着した。白や淡いピンク、濃いピンクの八重の桜の花が咲いている。日本も開花したようだが、こちらで桜が見られるとは思わなかった。

 ホテルはテルミニ駅近くの便利な場所だ。これまで宿泊した4か所に比べて一番部屋が広く快適そのもの。荷ほどきを含め30分ちょっとの休息時間を経て、添乗員Tさんが界隈の要所・要所のポイントを案内してくださるというのでついていく。
 駅構内のスーパーマーケットや隣接するフードコート等を一周。ラーメン大好きな夫は10日近く脱ラーメン状態。2日前の夜にラーメンとはいえないスープヌードルを頂いたけれど、イマイチ、イマニくらいだったので、もう少しちゃんとしたラーメンが食べられそうと聞いて、すっかりラーメンモード。

 Kさんも同行すると仰るので、皆さんと別れてそのまま少し早めの夕食になった。夫はとんこつ醤油ラーメン、私はチキン白湯ラーメンを頂く。なかなか美味しかったが、日本円相当で2,200円ちょっと。私がペロリと頂けるほどの量なので、男性にはとても足りないだろう。つくづく日本のラーメンは安くて美味しいのだと再認識。

 ひとまずお腹を満たしてから、スーパーに物色に行ったけれど、触手を動かされるものもなく、疲れたので早々にホテルに戻ってきてお茶とお菓子で一服した。

 明日は終日市内観光。長かった旅も明日が最後の観光になる。見学予約時間の関係で出発が早いので、今日は早めに休みたいと思う。
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