夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ヘヴン』

2003年12月05日 | 映画(は行)
『ヘヴン』(原題:Heaven)
監督:トム・ティクヴァ
出演:ケイト・ブランシェット,ジョヴァンニ・リビーシ,レモ・ジローネ他

監督は『ラン・ローラ・ラン』(1998)のドイツ人。
脚本はポーランド人で、音楽はベルリン在住のエストニア人。
そして、『イングリッシュ・ペイシェント』(1996)の大御所で、
イングランド生まれのイタリア人、アンソニー・ミンゲラがプロデュース。
米・英・仏・独の共同制作という、実にワールドワイドな作品であります。

舞台はイタリア、トリノ。
英国人女性教師フィリッパが時限爆弾を作る場面からはじまる。
彼女は爆弾を鞄に詰めこむと、街の中心地にある高層ビルへ。
彼女の目的は最上階にいる有名企業社長を殺すことだった。

その社長は表の顔とは別に、麻薬社会の元締めの顔を持っていた。
フィリッパの夫は薬漬けにされて死亡。
彼女の生徒たちもいまなお薬を売りつけられている。

フィリッパはこうした状況を訴えるべく、
社長に連絡をとろうと何度も試み、警察にも捜査を依頼しつづけてきた。
しかし、それらがことごとく無視されて、
ついに社長を殺すことに決めたのだ。

オフィスに忍び込んだ彼女はごみ箱に爆弾をセットするが、
彼女の退室後に清掃員がそれを持ち出してしまう。
何も知らない清掃員は爆弾の入ったごみ箱を抱えたまま
エレベーターへ。そして爆発。
清掃員と、最上階の見学に来ていた親子3人の命が失われた。

犯行前に予告電話を入れていたフィリッパは逮捕される。
無関係の4人を死亡させ、肝心の社長を殺せなかった彼女は泣き崩れる。
取り調べには母国語の英語の使用権利を唱えるフィリッパ。
彼女に一目惚れをした書記役の憲兵フィリッポが通訳をかってでる。

取り調べが続くなか、フィリッポはフィリッパを逃がす計画を立てる。
社長と裏取引があるフィリッポの上官は、
ふたりの計画を事前に知りながら、
わざと逃がしてフィリッパを殺害することにするのだが……。

ただただ美しく、「透明感にあふれた」という言葉がぴったりの作品です。
「フィリッパ」と「フィリッポ」って、
なんでそんなにややこしい名前のつけ方をするねん!と思いましたが、
観ていくうちに納得。
容姿も生き方もちがうこのふたりが、恋人というよりは離れられない姉弟、
いやまるで双子のようですらありました。

デミ・ムーアのスキンヘッドは怖かったけど、
ケイト・ブランシェットの丸刈りは美しい。

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