夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ジヌよさらば かむろば村へ』

2015年04月11日 | 映画(さ行)
『ジヌよさらば かむろば村へ』
監督:松尾スズキ
出演:松田龍平,阿部サダヲ,松たか子,二階堂ふみ,西田敏行,片桐はいり,
   中村優子,村杉蝉之介,オクイシュージ,松尾スズキ,皆川猿時他

この間の日曜日に109シネマズ箕面にて1本だけ。
ダンナがサッカーに行くついでに車で送ってもらおうと思っていたら、
早朝からかなりの雨が降っていて、ちびっこのサッカーは中止に。
車が空いたのだからと自分で運転して行ったら、
みのおキューズモールに10時着という時間帯はババ混み。
もっと早くに劇場館入りしておくべきでした。かろうじてセーフ。

白衣高血圧と聞いてから、親近感が増した松尾スズキ
ビジュアル的にはキモイと思うことがなきにしもあらずですが(失礼)、
そのキモさが奥田英朗原作の『イン・ザ・プール』(2005)にはハマっていて、
伊良部センセイにこれ以上ピッタリの人は考えられないのではと思いました。

その松尾スズキがメガホンを取り、いがらしみきおの漫画を映画化。
松田龍平が松尾スズキ監督作品に出演するのは『恋の門』(2004)以来だそうです。

銀行に勤務していたタケこと高見武晴(松田龍平)は、突然「お金アレルギー」に。
お金に触れることはもちろん、お金が視界に入っただけで震え出す。
お金をいっさい使わずに生きていくことを決意、
東北の限界集落寸前のかむろば村(架空の村で、メインロケ地は福島県河沼郡柳津町)で
自給自足の生活を送ろうと、空き家を購入して移住する。

駅前まで車で迎えに来てくれたのは天野与三郎(阿部サダヲ)、なんと村長。
ほとんどが高齢者のかむろば村には、スーパーも交番も銀行も郵便局もない。
いつも村長じきじきに、与三郎が村人たちを希望する場所まで送迎しているらしい。

タケがお金アレルギーで、電話も電気もガスも水道も使わずに生活するつもりだと知り、
与三郎はびっくり仰天、東北の寒さをナメるでないと叱るが、
タケはヒートテックを大量に持って来たから大丈夫だと言う。
しかしその夜、案の定タケは寒さに凍りつきそうになり、
心配して様子を見にきた与三郎のおかげでなんとか救われる。

翌朝から与三郎は毎日、妻の亜希子(松たか子)がつくった朝ごはんを差し入れ。
タケは村人たちの送迎バスに同乗させてもらい、畑へと向かう。
畑の持ち主・みょんつぁん(モロ師岡)は、何も機械を買う気のないタケにあきれるが、
前夜の寒さのせいで風邪をひいたタケに代わり、田植えをしてくれる。

村の神様と呼ばれている長老・なかぬっさん(西田敏行)をはじめとし、
村人は一癖も二癖もある人ばかりだが、なんだかんだと面倒見がいい。
タケもだんだんと村での生活になじんでいくのだが……。

最初のシーンが寂れた駅前のバス停で、
ベンチに腰かけているのはエロい女子高生役の二階堂ふみと、
「猫になりてぇ」とつぶやくチンピラ役の荒川良々
もうここから可笑しさ全開で、比較的年齢層の高いお客さん、爆笑。

松田龍平と阿部サダヲの会話は「間(ま)」が絶妙で、
松尾スズキってセンスあるなぁと思わされます。
いちばん面白くなかったのが当の本人、松尾スズキの出演シーンで、
この人、自分の監督作品には出ないほうがいいかもと思ってしまうくらい。(^^;

なかぬっさんの娘で旅館の女将役の中村優子は、
役作りのためにストリップ劇場や銀座のクラブで働いたこともあるという女優さん。
台詞だけ聞いていると上手いんだか下手なんだかわからないのですが、
今回の役はそのモノの言い方が独特の色気を醸し出しています。

『エイプリルフールズ』では、「その気になれば、たいていの現実は変えられる」という台詞がありました。
本作には、「必ずなんとかなる。思ったとおりではないかもしれないけど」という台詞が。
あきらめず、現実に立ち向かえば、それが思ったとおりではなかったとしても、
何らかの解決が待っているのだということ。
ネガティブよりはポジティブ。前向きに生きなくちゃ。

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