夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『セッション』

2015年04月21日 | 映画(さ行)
『セッション』(原題:Whiplash)
監督:デイミアン・チャゼル
出演:マイルズ・テラー,J・K・シモンズ,ポール・ライザー,メリッサ・ブノワ,
   オースティン・ストウェル,ネイト・ラング,クリス・マルケイ他

一昨日の日曜日にTOHOシネマズ西宮にて。
劇場入り口に入場待ちの長い列ができていると思ったら『ドラゴンボール』のお客さん。
いつか時間が合えば観たい気もしますが、私の優先順位は断然こっちが上。

まだ30歳になったばかりのデミアン・チャゼル監督、これが2作目。
第87回アカデミー賞では5部門にノミネートされ、
作品賞と脚色賞は惜しくも逃したものの、助演男優賞、編集賞、録音賞を受賞。
睡眠不足で、レッドブルも飲まないままだったのに、のっけから目がギンギン。
いや~、めちゃめちゃ興奮しました。

全米屈指の名門音楽学校、シェイファー音楽院に入学したアンドリュー。
ジャズドラマーを夢見て練習を重ねる日々。
母親はいないが、父親との関係は良好で、たまに一緒に映画を観に行く。
劇場の売店に勤務する女子大生ニコルのことがちょっと気になっている。

ある日、シェイファー最高峰のスタジオバンドを指揮するフレッチャー教授に呼ばれる。
フレッチャーのバンドにスカウトされ、天にも昇る心地のアンドリュー。
これまで一緒に練習してきた学生たちから羨望のまなざしを向けられ、
少し緊張しながらも、自信を持って気楽にバンドの練習に参加。
ところが、彼を待っていたのはフレッチャーの狂気のレッスンで……。

完全なフィクションかと思いきや、監督本人も高校時代にジャズドラムに没頭。
そのとき、トラウマになるほど厳しい音楽教師の指導を受けたそうな。
自分はミュージシャンになることはできないと悟り、映画監督を目指すも、
あの厳しい指導が頭の中にちらついて、いつまで経ってもうなされる。
で、トラウマを払拭するためにはこれを題材に映画を撮るしかないと思ったそうです。

フレッチャー役のJ・K・シモンズの鬼気迫る演技が凄い。
後世に残るジャズミュージシャンを育てたいという愛情からだと思いたいけれど、
これはどう考えてもシゴキ、単なるイジメのような気も。
ただ、「常軌を逸した指導のせいで未来のチャーリー・パーカーが挫折したのでは」というアンドリューの言葉に対し、
「未来のチャーリー・パーカーは決して挫折しない」という台詞を聞くと、やはり愛のムチなのか。

「ラスト9分19秒の衝撃は圧巻にしてもはや痛快」との触れ込みに偽りなし。
目ギンギンらんらん、コーフンして鼻血が出そうになりました(笑)。
J・K・シモンズとポール・ライザー(アンドリューの父親役)以外に知った顔もなかったのに、
白熱した演技と演奏がこれだけ楽しくも凄まじいとは。

同監督が脚本を担当した『グランドピアノ 狙われた黒鍵』(2013)。
イライジャ・ウッドのキラキラお目目が苦手で観なかったのですが、これは観てみないとあきませんね。

原題の“Whiplash(ウィップラッシュ)”は、狂気のレッスンにも使用される曲名。
もう一度、観たいよ、このセッション。

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