夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ローマに消えた男』

2015年12月09日 | 映画(ら行)
『ローマに消えた男』(原題:Viva La Libertà)
監督:ロベルト・アンドー
出演:トニ・セルヴィッロ,ヴァレリオ・マスタンドレア,ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ,
   ミケーラ・チェスコン,アンナ・ボナイウート,エリック・グエン他

日曜日の“パギやん”を先にUPしました。
これはさかのぼって前日の土曜日のこと。

先週の土曜の晩は、久しぶりに祇園で食事をする予定だったので、
夕方までサッカーのダンナとはいつもどおりに現地集合。
私は朝から京都に出ることに。

晩までどう過ごすかは選択肢多数。
映画を観るのはほとんど大阪か西宮だから、この機会に行ってみたい劇場がいくつか。
京都シネマ、立誠シネマプロジェクト、MOVIX京都も。
この日は京都大学百周年時計台記念館で宇宙落語会なるものもあり、
映画と落語を天秤にかけて当日朝まで悩んだ末、映画に軍配。

ここのところちょっとお疲れモードなので、ハシゴ3本すると倒れそう。
「映画を観られる時間はすべて観る」をポリシーにしていましたが、
倒れたくはないのでハシゴ2本に留めました。
お初の京都シネマ。烏丸駅下りてスグ。めっちゃいい劇場ですねぇ。
そしてその雰囲気にピッタリの本作、快作でした。

イタリア最大の野党の党首エンリコ。
書記長に就任して数年、大事な国政選挙を前に支持率はジリ貧。
党の全国大会でその責任を問われ、政治家人生の危機に直面。
重圧に耐えられなくなったエンリコは、行方をくらましてしまう。

重要な会議の席に党首が現れないものだから、側近のアンドレアは大慌て。
エンリコの妻アンナに連絡を取ると、アンナは出張中で、
昨日の晩にエンリコと電話で話したさいには変わりなかったと言う。
アンドレアがエンリコのローマの自宅へ入ってみると、
そこには「ひとりになる時間がほしい」という一枚の書き置きのみ。
人の口に戸は立てられないから、党首が行方不明だとはアンナ以外の誰にも言えない。

たったひとりでこの非常事態の収拾に臨まなければならなくなったアンドレア。
そして、アンナからエンリコの兄ジョヴァンニの存在を聞く。
さっそく相談すべくジョヴァンニを訪ねたアンドレアはビックリ。
エンリコとジョヴァンニは双子で、瓜二つだったのだ。

ジョヴァンニをエンリコの替え玉に。
ジョヴァンニからもアンナからも了承を得るが、アンナは言う。
「狂人を相手にするのだということを覚悟するように」。

ジョヴァンニは精神を病み、退院したばかり。
政治オタクでかつ映画を愛するジョヴァンニは、嬉々としてエンリコを演じる。
アンドレアが用意したスピーチ原稿をごみ箱へポイッ。
歯に衣着せぬ物言いの彼の即興スピーチは予想外に聴衆の心を掴み、支持率は鰻のぼり。

一方のエンリコは、パリに暮らす元恋人ダニエルのもとに身を寄せていた。
彼女の夫で売れっ子映画監督のムングや幼い娘と過ごすうち、
日頃の重圧から解放され、穏やかな気持ちを取り戻すのだが……。

双子の兄弟の一人二役をトニ・セルヴィッロが快演。
同じ顔なのに性格が異なるふたりを見事に演じ分けています。
サスペンスフルだけどユーモアにも満ちていて、何度もクスッ。
ラストシーンにも思わずニヤリとさせられました。

相通ずるところなく、疎遠だったという兄弟。
けれど結局のところ、ふたりは表と裏。
ふたりでひとりだったのかもしれないと思えます。

元カレが元カノを頼り、元カノの家族が温かく受け入れる状況にも「へ~っ」と驚き。
これって国民性のちがいですか。

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