夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

2017年10月に読んだ本まとめ

2017年11月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
すっかり“読書メーター”にハマり、
いまやそれにUPするために必死のぱっちで読んでいるという状況。(^^;
始めるまでは1カ月に10冊から12冊程度を目標にしていたのに、
読書メーターを始めてからというもの、15冊以上が普通になっとります。
そのうち息切れしそうな気配。(--;

2017年10月の読書メーター
読んだ本の数:18冊
読んだページ数:5965ページ
ナイス数:1858ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■ナラタージュ (角川文庫)
映画の予告編からどろどろ不倫を予想していたら、なんだラスト直前まではプラトニックなのか。映画版のキャストも併記。大学生の泉(有村架純)は、高校時代の演劇部の顧問・葉山(松本潤)への想いを消せないまま、他大学の小野(坂口健太郎)から交際を申し込まれて……。「~してあげる」という言い方が嫌いです。「してあげられるのはこれぐらい」で、最後の最後にやっちゃうてか。ほならもう最初からやっとけよと思ってしまった(^^;。切ないよりも悲しい。「あなたは一番好きだった人を思い出す」と言われたら、観ないわけにはいかんけど。
読了日:10月02日 著者:島本 理生
https://bookmeter.com/books/578813

■こちらあみ子 (ちくま文庫)
小学校時代、クラスに1人とは言わないまでも、学年に何人かはこんな子がいました。落ち着きのない子みたいに済まされていたけれど、今は病名が付与される時代。本人にしてみれば、見えるもの聞こえるものに正直なだけ。好きな子には好きと言い、面白いものを追いかける。いわばKYで、実際に目の前にいたら、たぶん私はうざいと思ってしまう。なのにこうしてそんな子の頭の中を見せられたかのような作品に出会ったら、妙に切ない。読んでいる間は不愉快だったけど、読後感はそうじゃない。生きるのが下手でもいいじゃないかと思えます。凄い作家。
読了日:10月03日 著者:今村 夏子
https://bookmeter.com/books/8072758

■おまめごとの島 (講談社文庫)
無駄にイケメンな主人公は、口下手で人づきあいも苦手、パニック障害も持つ。東京を去った彼が身を寄せるのは小豆島。元妻からしばし預かることになった娘はこれまた超絶美少女。イケメンゆえに降りかかる数々の災難。美男美女に生まれた人の気持ちは残念ながらわからないけれど(笑)、自分のせいちゃうやん、勝手に騒がれても知らんがなと時には思うのかも。「生きるっちゅうんはあんがい単純なもんやで」。何も言わずに抱きしめる、それに救われる人がいる。しかし見た人が固まってしまうほどのイケメンって。映像化されたらこの親娘は誰にしよ。
読了日:10月04日 著者:中澤 日菜子
https://bookmeter.com/books/12126449

■カササギたちの四季 (光文社文庫)
決してファンというわけではないのに読んでしまう道尾秀介キムタク主演の月9ドラマのために書き下ろした『月の恋人』に唖然呆然となった以外は結構好きです。実はなんたらでしたみたいなオチの作品も嫌いじゃない。と思ったら、本作は珍しくポップ。リサイクルショップの店長、従業員、店に入り浸る中学生が関わる、日常の謎よりはちょっぴり犯罪色もある事件。拍子抜けするほど普通にいい話。そんな中、面白い比喩だと笑ったのは、端正な顔を表現するのに「文庫本を伏せたようなくっきりとした鼻筋」。あまりベタッと伏せてはなりませぬ(笑)。
読了日:10月05日 著者:道尾 秀介
https://bookmeter.com/books/7955306

■ナラタージュ (角川文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】キャストを聞いて松潤どうよと思ったのは皆一緒。しかし行定勲監督は巧かった。舞台を富山や京都に移している以外は基本的に原作に忠実ながら、監督の年の功なのか、それぞれの行動について私は原作よりも納得できる。「据え膳食わぬは男の恥」への言い訳に私の嫌いな「〜してあげる」が使われることもありません。主人公たちより上の年齢層が観れば、恋愛そのものよりも自分の居場所に思い至るかも。原作とは異なるラスト、このほうが私は圧倒的に好き。大切に思っていたことを感じられるラストでした。
読了日:10月08日 著者:島本 理生
https://bookmeter.com/books/578813

■あきない世傳 金と銀(四) 貫流篇 (時代小説文庫)
四代目だったゲスの夫を亡くして五代目の嫁となった幸。ここまでは予想したけれども、第三巻で五代目も失踪、この第四巻で六代目と夫婦になるとは。それを聞かされた天満組呉服仲間の第一声と同じく私も「げっ」。三人兄弟のもとへ順繰りに嫁ぐなんて。が、六代目と幸のコンビは絶妙。これまでの巻と比べてイケズされる度合いも低く、幸が次々に繰り出すアイデアが楽しくて、ニヤニヤしながら読むことができました。労を惜しまず商いに精を出せば自ずと財を成す。誰も試したことがないからこそ試す。その姿勢を見習いたい。引き続き頑張ってや、幸。
読了日:10月08日 著者:高田郁
https://bookmeter.com/books/12200673

■人間椅子 江戸川乱歩ベストセレクション(1) (角川ホラー文庫)
本好きの父親の本棚に多く並んでいた江戸川乱歩。子どもには幾分こわかったはずなのに、好奇心を抑えられずに読んだことを思い出します。今になって再び読みたくなり、どこの出版社のどの文庫にしようかと迷って、大槻ケンヂ解説の本書を選択。収載されている8編に登場するのは皆なにかに魅入られた人。椅子の皮を隔てた感触、鏡の向こう、押絵の中の女性。こんなものを思いつく乱歩こそが変態だったろうと思うのですが(笑)、どうにも面白い。人間椅子にはちょっぴり座ってみたいけど、半殺しにされた蚤を顕微鏡で見ることだけはしたくないなぁ。
読了日:10月10日 著者:江戸川 乱歩
https://bookmeter.com/books/571123

■デューク
犬より猫派なのに、ロバート・クレイスの『容疑者』『約束』を読んだり、映画『僕のワンダフル・ライフ』を観たり、めっきり犬づいている今日この頃。愛犬デュークを亡くした主人公。死因は老衰だったから致し方なかったはずだけど、悲しくてたまらない。電車の中でも泣き止まない彼女に席を譲ってくれたイケメン。唐突なキスに、私の苦手な「オバハンの妄想系」かと怯みましたが、ちゃうちゃう、この主人公はオバハンじゃなくて若い娘。ほっとして、そして心の中で叫ぶ、「これはデュークだ」。10分足らずで読めてしまう、ささやかな幸せです。
読了日:10月11日 著者:江國 香織,山本 容子
https://bookmeter.com/books/547647

■終わらない歌 (実業之日本社文庫)
気に入った本は老後にまた読むつもりで保存版として購入するものの、数年以内に再読する性分ではないため、『よろこびの歌』の続編といわれても記憶は薄ぼんやり。ま、「女子高の合唱コンクールでいろいろもめて大団円」ぐらいに覚えていれば大丈夫。同級生5人の3年後、それぞれが選択した進路。「いっしょけんめい」が本来は「一所懸命」だと知りつつも、字面や語呂から「一生懸命」を使いがちでした。本作を読むと、「一つ所を懸命に」という気持ちを大切にしたいと思えます。お侍さんじゃないけれど(笑)。合唱曲“COSMOS”を聴きたい。
読了日:10月13日 著者:宮下 奈都
https://bookmeter.com/books/9868974

■1999年の王
表紙に目を引かれて。孤独なオヤジを釣り上げる保険金殺人。首謀者の男から逃れられずに手を貸すことになった女。現実にもはや珍しくもない事件なので、『消された一家 北九州・連続監禁殺人事件』のようなノンフィクションを読んだ後では弱く、「王」とまでいうのはどうだか。けれど、弱い分、嫌悪感に駆られることもなく、さらさらと読めます。中学生にとっては1年後も10年後もどうでもいい、重要なのは現在という一文は印象に残る。「おれを裏切るな」という言葉は「好きだ」とはちがうのに、男に縋りたい女にはそう聞こえてしまうもの。
読了日:10月15日 著者:加藤 元
https://bookmeter.com/books/12246018

■ダイナー (ポプラ文庫)
グロくて耐えがたいのに、何なのこの面白さ。やばい話に巻き込まれたカナコが殺されかけて咄嗟に叫ぶ、「私、役に立ちます。料理上手です」。人殺しが集う会員制の店に売り飛ばされる。店内には血肉クソまで飛び交います。思考を極力停止して読んでいるのに、想像を巡らせてしまったときの私の顔は、眉間にシワ寄り、酸っぱすぎる梅干しを食べたときのバアちゃんみたいに(泣)。なのに途中でやめられない、途轍もなく面白い。犬まで含めてキャラ濃厚。著者の他作品も読みたい。だけど、そのたびに私の顔はすっぱいおばあちゃんになるのでしょうか。
読了日:10月16日 著者:平山 夢明
https://bookmeter.com/books/5349916

■廃校先生 (講談社文庫)
400頁超ですぐに読める本というのは、凄く面白いか読みやすいかのどちらか。本作は私にとっては後者。次年度の廃校が決まっている小学校。児童7人と先生4人の日々。著者は『22年目の告白 私が殺人犯です』のノベライズ作家。言葉が平易で読みやすい。半面、想像力を掻き立てられる表現はないような。鼻をほじる癖のある先生が「う○こ」を連発しすぎでちょい食傷(笑)。だけどラストはきっちり感動的、さすが放送作家。廃校や閉校の経験者は涙なくしては読めないかも。映像化すれば良さそうです。表紙がチョークアートだということに驚く。
読了日:10月19日 著者:浜口 倫太郎
https://bookmeter.com/books/12124326

■バー・リバーサイド (ハルキ文庫)
大阪に生まれ、京都の大学に通い、サントリーの宣伝部に勤務していたという著者。それがなぜに二子玉川の、しかも沖縄出身のバーテンダーがいる店の小説を書くのだと思ったら、日本全国を巡る酒や食材のノンフィクションも多数お書きになっている様子。多摩川沿いの一軒家のバーはきっと素敵。ふらりと訪れて、店主や常連客の薀蓄に耳を傾け、気持ちよく、しかしかなり酔っぱらう。翌朝起きたら昨晩の話をあまり思い出せない、本作もそんな印象。飲みながら読んだら今日は中身をほとんど忘れています(^^;。所要(=滞在)時間は約2時間かと。
読了日:10月21日 著者:吉村 喜彦
https://bookmeter.com/books/11245069

■くちぬい (集英社文庫)
「口縫い」と聞いて即思い出すのは、私の棺桶に入れてほしいほど好きな小説『猫を抱いて象と泳ぐ』。しかしこの『くちぬい』は絶対に入れないで。過疎村に移住した夫婦が村のタブーに触れてしまう。なぜか全然共感できない夫婦。なんとなく鼻につく。そこでハタと気づく、村八分って、結局こういう「鼻につく」感覚から始まるのだろうかと。こんな自分が嫌だ。著者自身が過疎村でいじめられた経験に基づく。非常に後味悪く、著者が移住した村への恨みも映されているのかも。他界後に文庫化出版されているから、余計に怨念がこもっているようで怖い。
読了日:10月23日 著者:坂東 眞砂子
https://bookmeter.com/books/8070397

■総理の夫 First Gentleman (実業之日本社文庫)
著者の作品はどれも導入部が面白くて、掴みバッチリ。だけど中盤以降、個人的には熱弁に過ぎると感じる部分があって、やや冷め気味で見てしまうことがたまにあります。語り手は鳥類研究者、美人妻は初の女性総理大臣に。総理の夫が綴る日記形式。導入部はやはり面白い。夫婦の出会いの話にもニヤリ。しかしやはりヒートアップ、私の苦手な「がんばってるアピール」に思えて若干冷めましたが、夫から妻へ最大限の敬意が払われていることがわかるのはとても素敵。そして嫁と姑の関係もイイ。この姑を見ていると思います、やっぱり母ちゃんって偉大だ。
読了日:10月25日 著者:原田マハ
https://bookmeter.com/books/11259935

■キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか デラックス (朝日文庫)
「前々からやってみたかったけどできなかったことをやってみた」。見知らぬ人に声をかけてみる。マナー違反に注意する。だいたいそんなとこ。思うに、「文句を言うことありきでひねりだした文句」はよろしくない。マナー違反を待ち構えて注意しても、良い結果は生まれません。『ヒマラヤ下着』のように、自分がやってみたかったことを勝手にやってみるほうが面白いんだなぁ。ちなみに、私の「やってみたいけどできずにいること」は、電車や劇場ロビーで本を読んでいる人に「何をお読みになってるんですか」と尋ねてみることです。隣は何を読む人ぞ。
読了日:10月27日 著者:北尾トロ
https://bookmeter.com/books/1973937

■後悔病棟 (小学館文庫)
空気の読めない女医。拾った聴診器を患者の胸に当ててみればアラ不思議、心の声が聞こえて、患者の気持ちのわかる医者に。当然感動的な話を想定していたら、そうは問屋が卸さない(笑)。各話けっこうブラックな流れで苦笑い。『君の膵臓をたべたい』の「君が今までしてきた選択と、私が今までしてきた選択」のくだりを思い出し、人は後悔はしても、その都度ちゃんと選択してきたということかなぁと思ったりも。こりゃイヤミス認定でもいいかなと思ったら、最後はまさかのきっちりいい話。おみそれしました。そうだ、聴診器なんてなくたって大丈夫。
読了日:10月29日 著者:垣谷 美雨
https://bookmeter.com/books/11615495

■夜の光 (新潮文庫)
徒党を組まない高校生の男女4人が、人間関係に煩わされずに済みそうだと入部したのが天文部。著者お得意、日常の中の謎解きを含む青春ものですが、本作での謎解きはわりにどうでもいいこと。それよりも、謎に直面したときの4人それぞれの受け止め方と言動に心を打たれます。男子2人の喋り口調が独特なので、これを受け付けられないという人にはたぶん厳しい。だけど、この話には乗らなきゃ損。自分も仲間のひとりになった気持ちで臨むべし。時に「くだらなさ」は地球を救う。「当たり前」をスペシャルと思える人間であり続けたいと思うのでした。
読了日:10月31日 著者:坂木 司
https://bookmeter.com/books/4092382

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする