夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ゲット・アウト』

2017年11月03日 | 映画(か行)
『ゲット・アウト』(原題:Get Out)
監督:ジョーダン・ピール
出演:ダニエル・カルーヤ,アリソン・ウィリアムズ,ブラッドリー・ウィットフォード,
   ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ,スティーヴン・ルート,キャサリン・キーナー他

前述の『先生!、、、好きになってもいいですか?』はテキトーに選んだ1本。
これはこの日の本命で、どうしても観たかった1本でした。
同じくTOHOシネマズ西宮にて。

アメリカで人気者のコメディアン、ジョーダン・ピールの監督デビュー作。
劇場で観たM・ナイト・シャマラン監督の『ヴィジット』(2015)や『スプリット』
DVDで観て、不気味で面白かった『ザ・ギフト』(2015)などと同じ製作スタッフ。
予想外の大ヒットを飛ばしたそうで、怖いけど好奇心には勝てません。
例のごと何度か座席から飛び上がりそうになったけど、めっさ面白かった。

ニューヨークに暮らす黒人のカメラマン、クリス・ワシントン。
白人の恋人、ローズ・アーミテージが両親に紹介したいと言う。
ローズの実家へ一緒に行くことにしたものの、不安でいっぱい。
なぜなら彼女は自分の彼氏が黒人であると両親に話していないから。
その気持ちを打ち明けると、ローズは何も心配いらないと笑う。

親友のロッド・ウィリアムズは白人女の実家へなんて行くもんじゃないとからかう。
そんなロッドともローズは気安く話す仲。
クリスはロッドに愛犬を預け、不安ながらもアーミテージ家へ。

郊外に豪邸を構えるアーミテージ家。
ローズの両親であるディーンとミッシー夫妻は、クリスを見ても顔色ひとつ変えずにこやか。
あとからやってきたローズの弟ディーンも含め、
家族の誰しもが温かく招き入れてくれるが、この家は何かがおかしい。

黒人に偏見はないと言いながら、使用人はきっちり黒人。
メイドのジョージーナ、庭師のウォルター、どちらも様子が変。
訝るクリスに、祖父の代からの使用人を解雇するのが気の毒で
使いつづけているだけだと、ディーンは言い訳をする。

翌日、ローズの亡き祖父を讃えるパーティーが開かれる。
白人ばかりの招待客の中に、一人だけ黒人を見つけたクリスは、
ローガンというその男に駆け寄って話しかける。
ところがやはり様子のおかしいローガンをこっそり写真に収めるべく
カメラを向けたところ、フラッシュを焚いてしまい……。

露骨に差別を受ける話なのかと思っていました。
今の時代、そんな話をつくれるものなのかなと訝りながら。
そうしたらそうではありませんでした。
アーミテージ家で会う人ごとに、オバマが好き、黒人はすごい、
あっちのほうも強いのかなんてことまでサラッと言う。
馬鹿にしているふうでもなく、真剣に。
だからって、言葉通りに受け取っていいとも思えない。この気色悪さ。

自分は差別意識のない善人だと思っている人たちの、隠れた本心。
ものすごく不気味で怖い、一級ホラーサスペンス。
同じ人種差別を描いた『ドリーム』とあわせて観ることをお勧めします。
どちらもものすごく面白い。

監督が当初考えていたという絶望的なオチでなくてよかったとホッとしました。

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