山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

民衆史を提起した色川史学

2018-10-24 19:14:35 | 読書

 大河ドラマに象徴される勝ち組主体の歴史観が席巻している日本史。そこに無名の民衆の命がけの歴史変革過程を丹念に発掘した色川大吉。彼の講演と小論文を集めた『民衆史・その100年』(講談社、1991.11.)を読み終える。オイラの髪の毛が邪魔でしょうがなかったころ色川大吉の『明治精神史』を読んだときがあり、山村の土蔵の文書からの発見や長老からの聞き取りなど、歴史の掘り起こし過程が斬新だったのを想いだす。      

      

 自由民権運動が活発な1880年代、憲法草案が各地域で作られたものの現存の史料が散逸。それを岩手や五日市で発見していった色川氏の興奮と苦難が伝わってくる。武蔵五日市と言えば、オイラがむかしキャンプを毎年のように行っていた山深い場所だ。そんな山村に自由民権の学習結社や蔵書数千~万冊を保有する土蔵・豪農の存在があったのだ。キャンプ当時にそれがわかっていたらと今思えば悔しい。

      

 その若き民権家・千葉卓三郎の波乱の人生、民権運動に関与した北村透谷の自殺の真相、むかしの暮しに自己完結している従来の民俗学への批判など、色川氏の精力的で汗がにじむ情熱・苦闘が伝わってくる。「西郷どん」で視聴率を上げるのではなく、地域の歴史に貢献していた埋もれたリーダーを登場させる大河ドラマは実行できるかなー、NHKよ。

 

   

コメント
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