大雨にもかかわらず、ヒグラシの合唱が断続的に里山を揺るがしている。そんななか、畑にある竹の支柱に「ニイニイゼミ」を発見。近づいても逃げないところから、土中から出て間もないのかもしれない。30mmほどの小さい体は保護色のように目立たない。
画像ではコントラストを強調してなんどか調整したみたものだ。ときどき、樹の下の方で泥まみれの抜け殻を発見することもある。芭蕉の有名な句の「閑かさや岩にしみいる蝉の声」は、ニイニイゼミであるとの説が有力だ。体が小さいが禅坊主の経文のように響くようだが、今はヒグラシにはかなわない。
空家のミツバチの巣に休んでいた「アブラゼミ」も発見した。横向きなのが意外だ。都会にいたころはアブラゼミ全盛の時代だったが、最近はやや個体数が減少傾向だという。わが山里でもアブラゼミの存在感はあまり感じられない。
最近は地域差が激しくアブラゼミも勢力争いにやや疲れ気味のようだ。乾燥にやや弱いアブラゼミは最近の温暖化やヒートアイランド現象の被害を受けているとも言える。まさか、希少種になってしまうのかと今から心配だ。それほどに、わが里山では存在感がいま一つというのが現状か。
世界の蝉の多くは翅が透明なのが普通だが、このアブラゼミやニイニイゼミは透明ではないところが希少価値があると言えまいか。