人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2024 開幕:「ルネ・マルタンのル・ク・ド・クール」、斎藤友香理 ✕ 萩原麻未 ✕ 神奈川フィルでラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」「ボレロ」他を聴く

2024年05月04日 00時10分55秒 | 日記

4日(土・休)その2.昨日行われた東響「モーツアルト・マチネ」については「その1」で書きました モコタロはそちらに出演しています。是非ご訪問ください

         

今年も5月の連休に有楽町の東京国際フォーラムを中心に開かれる「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024」が開幕しました 私は第1回「ベートーヴェン特集」とコロナ禍で中止となった年を除いて毎年LFJに通い続けてきましたが、「ORIGINES(オリジン)~すべてはここから始まった」をテーマとする今年は3日間で計6公演を聴きます

 

     

     

昨日は、最初に午後4時10分から東京国際フォーラム・ホールCで開かれる「ルネ・マルタンのル・ク・ド・クール ~ ハート直撃コンサート」を聴きました この公演はLFJ音楽祭の主宰者ルネ・マルタンが主催する「若手で初来日のアーティストによる公演」のエッセンスを紹介するコンサートです 「プログラムは当日のお楽しみ」ということで、事前には公開されていませんでした 従って、聴衆は内容を全く知らないまま公演を聴くことになります 後で知ったのですが、ホール外側の案内ボードに本公演のプログラムが掲載されていました

自席は2階14列34番、センターブロック右通路側です。会場はほぼ満席です

プログラムの最初は、ヴァイオリン=イリス・シャロム(女性)、チェロ=クシシュトフ・ミシャルスキ、ピアノ=アントナン・ポネによるラヴェル「ピアノ三重奏曲  イ短調」から第1、第2楽章です 3人ともパリ国立音楽院の出身者です

3人は、ラヴェル特有の浮遊感のあるニュアンスに満ちた演奏を繰り広げました

2番手はサクソフォン=ヴァレンティ―ヌ・ミショー、パーカッション=ガブリエル・ミショーによる演奏で、①ピアソラ「失われた小鳥たち」、②ヒルポルイ「ザ・ピーコック・モーメント」、③ザ・ビートルズ(マ二エ編)「ブラックバード」です ヴァレンティーヌがローザンヌ音楽大学、ガブリエルがパリ国立音楽院の出身者です

ヴァレンティ―ヌがソプラノ・サックスで演奏する間、ガブリエルは両手に2本ずつマレットを持ち、ステージの左右に設置されたシロフォンとビブラフォンの間を行き来しながら鮮やかに演奏しました ①「失われた小鳥たち」は映画音楽のような聴きやすい曲で、②「ザ・ピーコック・モーメント」はメシアン風だな、と思いました

3番手は「レ・イティネラント」(ア・カペラトリオ)とパーカッションによる演奏です 「レ・イティネラント」とは「巡歴者たち」を意味します 歌はマノン・クザン、ポーリーヌ・ラングロワ・ド・スワルテ、エロディ・ポンの女性3人、パーカッションはティエリー・ゴマールです 歌うのは①伝統曲(スワルテ編)「ウォーキング・ソング」、②伝統曲(クザン編)「アデス・キリイ」、③ポン「水の月」、④ドビュッシー(スワルテ編)「亜麻色の髪の乙女」です このうち、③「水の月」は明らかに滝廉太郎「荒城の月」をアレンジした曲です いずれも透明感のある素晴らしい歌唱で、パーカッションもそれぞれの曲に応じた控えめな演奏で好感が持てました

最後を飾るのはエリプソス四重奏団(サックス四重奏)による演奏です 曲目はディ・バッコ「パリの4本のサックス」です 4人はパリ国立音楽院でメイエ、ル・サージュから指導を受けました 演奏を聴くと、明らかにガーシュイン「パリのアメリカ人」のパクリであることが分かります 4人はサックスを演奏する傍ら、歌も披露しましたが、なかなかのものでした

さて、この公演は予定では16:10から16:55までとなっていましたが、終演したのは17:15でした。予定時間を20分オーバーです 45分の公演で20分の超過は、ちょっとサービスし過ぎのような気がします 演奏途中に退席する人がちらほら見られましたが、次の公演に間に合わなくなってしまうのでしょう 私も何回か経験がありますから気持ちは良く分かります

 

     

 

次に、午後6時15分からホールAで開かれる斎藤友香理指揮神奈川フィルによる「オール・ラヴェル・プログラム」を聴きました プログラムは①ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」、②同「ピアノ協奏曲 ト長調」、③同「ボレロ」です

指揮をとる齊藤友香理は桐朋学園大学卒。小澤征爾から指揮研修生に選ばれてサイトウ・キネンフェスティバル松本での「ヘンゼルとグレーテル」でデビュー、2013年からドレスデンで研鑽を積みました

自席は1階17列51番、センター右ブロック左通路側です ホールAは5000人収容できますが、結構埋まっていて驚きます

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並び 舞台下手にはハープが控えます。自席からステージが遠いのでコンマスが誰か確認できません その代わり、ヴィオラのトップは、その仕草から読響ソロ・ヴィオラの鈴木康治であると確信します

1曲目はラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」です この曲はモーリス・ラヴェル(1875-1937)が1899年にピアノ独奏曲として作曲したものを1910年にオーケストラ用に編曲した作品です

齊藤の指揮で演奏に入りますが、極めて遅いテンポで演奏が進みます。それでもオケは何とかペースを維持して演奏します オーボエ、フルート、ホルン、そしてハープの演奏が冴えています どっしり落ち着いたよい演奏でした

2曲目はラヴェル「ピアノ協奏曲 ト長調」です この曲は1929年から31年にかけて作曲、1932年にパリで初演されました 第1楽章「アレグラメンテ」、第2楽章「アダージョ・アッサイ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の萩原麻未は広島県出身。2010年の第65回ジュネーヴ国際コンクールで日本人として初めて優勝 パリ国立音楽院、モーツアルテウム音楽院を卒業。国内外のオーケストラと共演を重ねています

萩原麻未がグリーンを基調とし白の帯模様を配したステージ衣装で登場、さっそく第1楽章の演奏に入ります

軽快に疾走する萩原のピアノが素晴らしい 白眉は第2楽章でした。弱音によるキラキラと輝く高音は萩原ならではの特質です 独奏ピアノとコーラングレ(イングリッシュホルン)との対話は抒情に満ち、ロマンティシズムの極致を感じます 第3楽章は一転、スピード感あふれる演奏が展開し、切れ味鋭い萩原のピアノとオケとの丁々発止のやり取りにより、輝かしいフィナーレに突入しました

今、この曲で一番素晴らしい演奏をするのは誰か?と問われれば、私は躊躇なく萩原麻未の名前を挙げます

最後の曲はラヴェル「ボレロ」です この曲は1928年にダンサーのイダ・ルビンシテインの委嘱により作曲、同年パリ・オペラ座で初演されました

小太鼓がスペイン舞曲のボレロのリズムを刻む中、主題を演奏する楽器がフルートからクラリネットへ、そしてファゴットへと受け継がれていきます 各ソロ楽器の演奏の巧いこと 神奈川フィルっていつの間にか名手揃いになったようです 斎藤の鮮やかな指揮によって、最後のどんでん返しで終結しました

満場の拍手にカーテンコールが繰り返され、ソロを担当した楽員が一人ひとり立たされて賞賛を浴びました ホールAはステージ左右の壁に大きなモニター・スクリーンが設置されていて、彼らの顔や姿がそこに映し出され、一躍脚光を浴びることになりました

この公演も、18:15から19:00の予定でしたが、終演は19:10分頃でした。10分の超過です LFJは原則として1公演45分を目途にしているようですが、実際には枠に収まり切れていないのが現状のようです コンサートをハシゴする場合は、余裕をもってスケジュールを立てないと、演奏途中で抜け出すことになります。気を付けましょう

 

     

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沼尻竜典 ✕ 大西宇宙 ✕ 東京交響楽団による「第57回モーツアルト・マチネ」を聴く ~ 「交響曲第36番”リンツ”」、「魔笛」「フィガロの結婚」「ドン・ジョバンニ」他からアリア

2024年05月04日 00時01分06秒 | 日記

4日(土・休)その1.わが家に来てから今日で3399日目を迎え、ブルームバーグ通信によると、トランプ前米大統領は11月の大統領選に向けて副大統領候補選びを本格化させており、今週末に行われる富豪の献金者とのイベントでその座を競わせる方針である  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     4つの訴訟費用を賄うためには 副大統領候補にも頼らざるを得ないということか?

 

  昨日は、午後から夜にかけてコンサートずくめだったので、夕食作りは息子に頼んで、私は外食しました  

 

         

 

昨日、午前11時からミューザ川崎で東響「第57回 モーツアルト・マチネ」を、午後4時10分から東京国際フォーラムで「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO」2公演を聴きました   ここでは「モーツアルト・マチネ」について書きます

新シーズン第1回目のマチネはオール・モーツアルト・プログラムで①歌劇「魔笛」から「おいらは鳥刺し」、②歌劇「フィガロの結婚」から「もう訴訟に勝っただと?」、③歌劇「ドン・ジョバンニ」から「シャンパンの歌」「さあ、窓辺においでよ」、④歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」から「彼に向けてください、その眼差しを」、⑤交響曲第36番ハ長調K.425”リンツ”です

演奏はバリトン独唱=大西宇宙、指揮=沼尻竜典です

沼尻竜典は1990年ブザンソン国際指揮者コンクール優勝 ドイツのリューベック歌劇場音楽総監督を歴任。現在、神奈川フィル音楽監督、トウキョウ・ミタカ・フィル音楽監督、びわ湖ホール桂冠芸術監督を務める

大西宇宙(おおにし たかおき)は武蔵野音大・大学院修了、ジュリアード音楽院卒業。シカゴ・リリック歌劇場で研鑽を積む 2019年「エフゲニー・オネーギン」で日本オペラデビューして以降、びわ湖ホール、新国立歌劇場、ヒューストン・グランドオペラなどで活躍している 宇宙ではあるが 宇宙人ではない

 

     

 

前シーズンは1階センターブロック左通路側でしたが、新シーズンは同右通路側に移りました

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並び。コンマスは小林壱成です

1曲目は歌劇「魔笛」からパパゲーノのアリア「おいらは鳥刺し」です この歌劇はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が最晩年の1791年に作曲、アウフ・デア・ウィーデン劇場で初演されました

指揮者だけが出てきて演奏に入ったので、「あれっ、大西はどうした?」と思っていると、2階右前方から笛を吹いて歌いながら登場し、階段を下りてきました 何と自席のすぐ右の通路を通ってステージに上がりました これほど間近でプロの歌手の歌を聴いたのは初めてですが、力強く迫力がありました

2曲目は歌劇「フィガロの結婚」からアルマヴィーヴァ伯爵のアリア「もう訴訟に勝っただと?」です この歌劇は1785から86年にかけて作曲、1786年にウィーンのブルク劇場で初演されました

大西は伯爵の「召使いが主人を差し置いて幸せになるのは許さない!」というアリアを芝居っけたっぷりに熱唱しました

3曲目は歌劇「ドン・ジョバンニ」からドン・ジョバン二のアリア「シャンパンの歌」と「さあ、窓辺においでよ」です この歌劇は1787年に作曲、同年プラハのエステート劇場で初演されました

最初にドン・ジョバンニが早口言葉でまくしたてる「シャンパンの歌」を精力的に歌い、次にマンドリン奏者を従えて、階上のバルコニーにいる女性を誘惑する「さあ、窓辺においでよ」を甘い歌声で歌い上げました 大西の歌い分けも素晴らしかったですが、このマンドリン奏者の演奏も役割を踏まえた素晴らしいパフォーマンスでした 彼はカーテンコールに応えました

最後は歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」からグリエルモのアリア「彼に向けてください、その眼差しを」です この歌劇は1789年から90年にかけて作曲、1790年にウィーンのブルク劇場で初演されました

大西は、フィオルディリージとドラベッラに向けて真面目な顔で浮気を誘うアリアを、魅力たっぷりに歌い上げました

今や内外のオペラ劇場で人気絶頂のバリトンですが、その実力の一端を聴くことが出来てラッキーでした

 

     

 

管楽器の入れ替えがあり、後半に入りました

プログラム後半は「交響曲第36番ハ長調K.425”リンツ”」です この曲は1783年に作曲、同年リンツで初演されました 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ・スピリトーソ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット」、第4楽章「フィナーレ:プレスト」の4楽章から成ります

沼尻の指揮で演奏に入ります   この時初めて気が付いたのですが、チェロ6人のうち伊東首席はじめ4人はチェロにエンドピンがなく、楽器を又に挟んで演奏しています これは「バロック・チェロ」のスタイルです。バッハ・コレギウム・ジャパン等の古楽器集団のチェロ奏者はエンドピンなしのピリオド楽器(古楽器)を使用します エンドピンがない状態だとヴィブラートがかけにくくなるので、ノン・ヴィブラートのピリオド奏法になります 他の弦楽器を見ると、全くヴィブラートをかけないわけではなく、ヴァイオリンなどは控えめにかけているようでした 第3楽章「メヌエット」における演奏を中心にオーボエ首席の荒木良太の演奏が冴えていました ファゴット首席の福士マリ子の演奏も素晴らしかった 全体を通して、沼尻による軽快なテンポ感が素晴らしく、ピリオド奏法”風”の小気味のよい演奏が爽快感をもたらしました

休日の昼に相応しい爽やかなコンサートでした

 

     

 

私は、コンサート終了後、川崎市内で昼食を取ってから一旦自宅に戻り、一息ついてから有楽町の東京国際フォーラムに向かいました 「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO」の2公演の模様は「その2」に書きますので、是非ご訪問ください

 

     

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