人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024」3日目② ~ 井上道義指揮新日本フィルによるレスピーギ「ローマの祭り」他、伊福部昭「Vnと管弦楽のための協奏狂詩曲」「シンフォニア・タプカーラ」

2024年05月06日 02時35分07秒 | 日記

6日(月・休)その2.昨日は「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024」の3日目(最終日)でした 私は3公演聴きましたが、最初の「中田延亮 ✕ 東京21世管弦楽団によるモーツアルト公演」(ピアノ=アンヌ・ケフェレック、ヴァイオリン=オリヴィエ・シャルリエ、ヴィオラ=川本嘉子)については「その1」に書きましたので、是非ご訪問ください モコタロはそちらに出演しています

ここでは、井上道義指揮新日本フィルによる「レスピーギ他の公演」と、同じく井上道義指揮新日本フィルによる「LFJフィナーレコンサート ~ 伊福部昭」について書きます

 

     

 

午後6時半から東京国際フォーラムホールAで「井上道義指揮新日本フィル」によるコンサートを聴きました プログラムは①クラーク「トランペット・ヴォランタリー」、②アーバン「ヴェニスの謝肉祭による変奏曲」、③レスピーギ:交響詩「ローマの祭り」です ①②のトランぺット独奏は児玉隼人です

児玉隼人は2009年北海道生まれの15歳。数々の音楽コンクールで優勝しています

自席は1階4列37番、センターブロック右通路側です ヴィオラが目の前の位置です

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並び。コンマスは西江王子です

1曲目はクラーク「トランペット・ヴォランタリー」です この曲はイングランドの作曲家クラーク(1674-1707)の鍵盤楽器作品を原曲として20世紀に編作されました

井上と児玉が登場し演奏に入ります トランペットのファンファーレが心地よく5000人収容の大ホールに響き渡ります 児玉はかなりの技巧派です

2曲目はアーバン「ヴェニスの謝肉祭による変奏曲」です 「ヴェニスの謝肉祭」は19世紀前半に大流行したナポリ民謡 これをアーバン(1825-1889)が変奏曲として作曲しました

井上の指揮で演奏に入ります。児玉は超絶技巧を駆使して この難曲を吹き続け、聴衆の度肝を抜きました まだ15歳、天才かもしれません 満場の拍手に児玉は、モリコーネ作曲によるバラード風の「ガブリエルのオーボエ」をしみじみと演奏、聴衆のクールダウンを図りました

 

     

 

最後の曲はレスピーギ:交響詩「ローマの祭り」です この曲はオットリーノ・レスピーギ(1879-1936)が1928年に作曲、1929年にトスカニーニの指揮によりニューヨークで初演されました 第1曲「チルチェンセス」、第2曲「50年祭」、第3曲「10月祭」、第4曲「主顕祭」の5曲から成ります

オケは14型に拡大し、井上の指揮で第1曲の演奏に入ります ステージ下手側にスタンバイしたバンダ(トランペット3本)も加わって、冒頭から大迫力の演奏が展開しました 第2曲では教会の鐘の音が印象的です 第3曲はホルンの鮮やかな演奏で開始されますが、途中からステージの照明が半分くらいの明るさに落とされ、マンドリンによりセレナーデ風の音楽が奏でられます そして第4曲に入ると、パッと照明が灯され、明るく賑やかな舞曲が繰り広げられました トリックスター井上ならではの演出でした そして、オケ総力を挙げてのアグレッシブな演奏により圧倒的なフィナーレを迎えました こういうのを「爆演」と言うのでしょう

満場の拍手とブラボーが飛び交い、カーテンコールが繰り返されました。凄い演奏でした

 

     

 

最後に午後9時からホールAで「LFJファイナルコンサート ~ 井上道義の伊福部昭」を聴きました プログラムは①伊福部昭「ヴァイオリンと管弦楽のための協奏狂詩曲」、②同「シンフォニア・タプカーラ」です 演奏は①のヴァイオリン独奏=山根一仁、管弦楽=新日本フィル、指揮=井上道義です

自席は1階3列37番、センターブロック右から2つ目です

オケは最初から14型です。コンマスは引き続き西江王子です

ソリストの山根一仁は1995年札幌生まれ。中学3年在学中の2010年、第79回日本音楽コンクール第1位 それ以降、内外のオーケストラと共演を重ねています

開演にあたり、井上がマイクを持って登場、トークに入りました 井上は「伊福部昭と言っても、今の若い人は知らない人が多いようだ あの映画『ゴジラ』の音楽を書いた人だ こういう音楽です」と言って、オケにゴジラのメイン・テーマを演奏させました 聴衆はやんややんやの喝さいです ミッキーはサービス精神旺盛ですね 今年限りで指揮を引退するのは惜しいと思います

1曲目は伊福部昭「ヴァイオリンと管弦楽のための協奏狂詩曲」です この曲は伊福部昭(1914-2006)が数度の改訂を経て完成させた作品です 映画「ゴジラ」のテーマ音楽と共通する旋律がメイン・モティーフとして登場します 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ」、第2楽章「ヴィヴァーチェ・スピリトーソ」の2楽章から成ります

井上の指揮で演奏に入ります 冒頭から山根の独奏ヴァイオリンが抒情的で深い音楽を奏でます そしてアレグロに入るとあの「ゴジラ」のテーマが力強く演奏されます 山根の渾身のカデンツァは聴きごたえがありました 独奏ヴァイオリンとオケとの丁々発止のやり取りにより圧倒的なフィナーレを飾りました

 

     

 

プログラム後半は伊福部昭「シンフォニア・タプカーラ」です この曲は伊福部昭の唯一の交響曲で、40歳の時に初稿が完成しました 第1楽章「レント・モルト ~ アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

井上の指揮で第1楽章に入りますが、冒頭から低弦のうねりが凄い   間もなくアレグロに移りますが、オスティナートによる推進力が半端ない    中盤でのチェロ首席の長谷川彰子のソロが素晴らしかった    第2楽章では冒頭、ハープと低弦に乗せて演奏されるフルートが冴えていました    弦楽セクションのアンサンブルが美しく響きました    第3楽章では冒頭から井上がオケを煽り立てます    西江コンマスのヴァイオリン・ソロが素晴らしい 井上はほとんど踊りながら指揮をしています そこでハタと気が付いたのは、彼が指揮台を使用しない理由です 指揮台の上で指揮をすると踊って落ちる恐れがあるからです 何しろ、彼は指揮台から落ちた”前科”がありますから 詳細については2011年5月6日のtoraブログをご覧ください

最後に井上のタクトが上がると同時に、弓や楽器を持ったまま楽員全員が立ち上がりました このパフォーマンスはN響定期でもやりましたが、圧倒的に聴衆受けします 満場の拍手とブラボーが飛び交う中、会場のそこかしこでスタンディング・オベーションが見られました 3列目の私も、思わず立ち上がって拍手をしました 井上は楽員をセクションごとに立たせて労いました カーテンコールが繰り返されましたが、井上はLFJ主宰者ルネ・マルタンと山根一仁を引き連れて登場、一段と熱狂的な拍手を浴びました

終演予定は9時55分となっていましたが、カーテンコールが終わったのは10時5分を回っていました

かくして、今年末をもって指揮を引退する井上道義のラストLFJ公演は幕を閉じました とてもエキサイティングなコンサートでした

 

     

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「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024」3日目① ~ ケフェレックのモーツアルト「ピアノ協奏曲第9番」、シャルリエ ✕ 川本嘉子の同「VnとVaのための協奏交響曲」

2024年05月06日 00時22分23秒 | 日記

6日(月・休)その1.わが家に来てから今日で3401日目を迎え、タス通信は4日、ロシア内務省がウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領を、ロシア刑法に違反したとして指名手配のデータベースに追加したと報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアの刑法がウクライナに適用されると誰が決めたんだ? 覇権主義丸出しじゃね

 

         

 

昨日は「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024」の3日目(最終日)でした この日は①午後3時15分から「中田延亮指揮東京21世紀管弦楽団によるモーツアルト公演」、②午後6時半から「井上道義指揮新日本フィルによるレスピーギ他公演」、③午後9時から「井上道義指揮新日本フィルによる伊福部昭(LFJ ファイナルコンサート)」を聴きました ここでは「中田延亮指揮東京21世紀管弦楽団によるモーツアルト公演」について書きます

 

     

 

プログラムは①モーツアルト「ピアノ協奏曲第9番 変ホ長調 K.271」、②同「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364」です  演奏は①のピアノ独奏=アンヌ・ケフェレック、②のヴァイオリン独奏=オリヴィエ・シャルリエ、ヴィオラ独奏=川本嘉子です

自席は1階4列37番、センターブロック右通路側です。目の前の第1ヴァイオリンが間近に見える席です 開演20分位前に席に着いたのですが、なぜか揺れを感じました さては地震か と思ったのですが、地震にしてはいつまでも続いています どうやら、多くの聴衆が どやどや入ってくると椅子と床が揺れるのがこのホールAの特性のようでした

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、その後ろにコントラバスという並び コンマスは顔は分かるのですが名前が分かりません 複数のオケに客演コンマスとして出演しているロングヘアの女性です この日、第2ヴァイオリンのトップ・篠原秀和さんの顎当てカバーはいつものグリーンでなく黒っぽいのを使用していました

1曲目はモーツアルト「ピアノ協奏曲第9番 変ホ長調 K.271」です    この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1777年に作曲しました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「ロンド:プレスト」の3楽章から成ります

LFJの女王アンヌ・ケフェレックが登場し、中田の指揮で第1楽章に入ります 自席からケフェレックの指使いが良く見えます ケフェレックは確かな技巧で美しい音を紡ぎ出していきますが、カデンツァは素晴らしかった 第2楽章では高音のトリルが美しく、寂寥感に満ちた音楽が会場を支配しました 第3楽章は一転、悦びに満ちた音楽が奏でられますが、カデンツァは初めて聴きました 誰のだろうか? この曲はモーツアルトが21歳の時の作品ですが、ケフェレックの演奏で聴くと、まるで後期の充実した作品群に引けを取らない大曲のように聴こえました

 

     

 

2曲目はモーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364」です この曲は1779年に作曲されました 第1楽章「アレグロ・マエストーソ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります

中田の指揮で第1楽章に入りますが、シャルリエのヴァイオリンも川本のヴィオラも良く歌います 特に2人がアンサンブルを奏でる時には極上の美しさがありました 第2楽章では、2人のソリストにより「人間存在根柢の哀しみ」とでもいうべき寂寥感が醸し出されました 第3楽章に入ると、一転して愉悦感に満ちた演奏が展開し、充実した響きの中でフィナーレを迎えました 個人的には川本のヴィオラの方が良く鳴っていたように思いました

 

     

 

午後5時20分からガラス棟地下のホールEで「アンサンブル・オブシディエンヌ」による中世の吟遊詩人たちがヨーロッパ各地で口ずさんだ「ラブ・ソング」の演奏がありました この公演は、LFJのチケットか半券を持っていれば聴くことが出来る無料コンサートです

 

     

 

この後、井上道義✕新日本フィルのコンサートを2本聴きましたが、「その2」に書きますので、是非ご訪問ください

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