珠玉の音楽に囲まれて

オーディオのこと、音楽のこと、思いついたまま記していきます。
by 横浜のVienna Acousticsファン

楽興の時(シューベルト)

2023-09-17 17:45:49 | クラシック
暑さ寒さも彼岸までと言われますが、今年は彼岸を越えても夏日が散発しそうな気配です。流石に蝉の鳴き声がかなり減ってきましたが、残暑が厳しい横浜方面です。久々にクラシックの話題です。8月に「楽興の時」を含むシューベルトのピアノ作品集を購入しました。録音は1989年です、幸い、西ドイツ盤をかなり安価に仕入れることができました。「楽興の時」は6曲から構成されるピアノ曲集ですが、特に有名なのが第3番です。NHKのラジオ番組「音楽の泉」のオープニング、エンディングでも使われています。


「音楽の泉」は実に長い番組で、始まりは1949年だそうです。ラジオそれもFMではなくAMの音楽番組というのが渋いです。私自身は番組のリスナーではありませんでしたが、「楽興の時」がかかっていたことは、広瀬修子アナウンサーの落ち着いた声と共に、よく憶えています。ちなみに番組は今も健在で、オープニング、エンディングの曲も変わっていません。以前は、ギレリス、ブレンデル、シフの演奏が使われていたようですが、2020年4月からはピリスの演奏が採用されています。拙宅には、ブレンデルの盤もありました。


ピリスの盤を購入したばかりですので、専らそちらを聴いています。瑞々しいタッチと共に、低音、背景、気配のようなものも感じれれて、オーディオシステムで聴く楽しさがあります。6曲合わせても30分に満たないので通しでも聴くこともあります。流石に第3曲だけですと短いので、前後の曲を中心に選んでいます。特に第4曲は旋律が美しくて聴くようになりました。盤にはピアノソナタ14番等も入っています。ブレンデルの盤含めて、今年の秋の夜長はシューベルトのピアノ作品となりそうです。
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フォーレのパヴァーヌ

2021-02-14 17:06:15 | クラシック
2月も早くも折り返しとなり、何か今年もどんどん日が過ぎている気がします。神奈川県は引き続き緊急事態宣言、継続中です。会食は勿論、オフ会やグループでの登山も控えています。横浜は連日晴天続きで、この土日は春到来を思わせる暖かさです。さて、大河ドラマの「麒麟が来る」が漸く終了となりました。一時期はどうなるかと心配されましたが、最後の最後まで楽しめた作品でした。途中、ブランクは3ヶ月くらいあったでしょうか?結末(本能寺変)は分かっていても、プロセスの描き方はいろいろですね。

久々に音楽の話題です。フォーレの「パヴァーヌ 」(Pavane Op.50)という6~7分ほどの曲を取り上げます。2019年の秋のオフ会で、BTさんが拙宅に持ち込んだ音源の中にこの曲がありました。フォーレと言うと、クラシックに詳しくない方でもレクイエムやシシリエンヌはご存じかと思います。恥ずかしながら私自身はパヴァーヌを知らなかったのですが、一聴で、気に入ってしまい、以後、繰り返し聴いてきました。その後、別のアーティストの作品も購入、コロナに明け暮れた2020年も、よく聴きました。

BTさんが持ち込まれたのは、ボストン交響楽団/小沢征爾の演奏でした。おそらく「パヴァーヌ」を聴ける盤としては一番有名だと思われます。この曲は旋律の美しさが魅力ですが、オーディオ目線でも楽しめます。短い時間の中にオーディオで管弦楽を楽しむ要素が詰まっているのです。冒頭のピッツィカート からフルート、木管楽器と続く場面では音色に、弦楽器や合唱では音場の広がりや重厚感に惹きつけられてしまいます。MFPC導入前後の、リファレンス曲としても何度再生したことでしょうか。


こちらは、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団 /ジャン・フルネの演奏です。録音は75年です。デジタルリマスタリングされたドイツ盤を購入しました。合唱が無く全体的に速めのテンポで進みます。5分15秒で終わってしまうので、せわしない感じがしないでもありませんが、合唱が無い分、管楽器と弦楽器の対比がより明確になります。この盤には「レクイエム」、「ペレアスとメリザンド」とフォーレ中期の名曲もセットで入っています。ちなみに「レクイエム」の中の「ピエ・イエス」を歌っているのがアメリングです。



昨年の来日を楽しみしていたソル・ガベッタでしたが、結局、コロナで初ライブは叶いませんでした。歌曲を題材にした『cantabile』の中に、パヴァーヌが入っています。本来は管楽器が受け持つパートを、ソル・ガベッタがチェロで奏でます。とても軽快で歌心溢れるチェロと、プラハ・フィルハーモニー管弦楽団との掛け合いに、オリジナルの編成を聴いているような感覚になります。別盤ですがソル・ガベッタには、モーツァルトのフルート協奏曲をチェロ向けに編曲した作品もあり、やはり颯爽としたチェロを聴けます。



最期は番外編です。ビル・エバンスがオーケストラと組んだ『WITH SYMPHONY ORCHESTRA』に「パヴァーヌ」が入っています。録音のせいなのか、全般的に弦楽器が固い感じがするのが残念ですが、あくまでもジャズの盤ということで。バッハやショパンも取り上げられていますが、エバンス自身の曲の方が自然に聴こえました。「パヴァーヌ」は原曲の旋律を弾く部分より、自由に弾くところが断然良かったです。クラシックの曲はクラシックの演奏で、ジャズの曲はジャズで聴いた方がいい、という当たり前の結論となりました。


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ハイドンを聴く

2019-09-08 11:38:42 | クラシック
久々に音楽、クラシックの話題になります。これまで多くのオーディオファンの方と交流してきましたが、音楽の志向はまさに一人一様であることがわります。オーディオ目線で比較用にかける曲というのはありますが、自宅でヘビーローテションになっている曲とは、別であることが多いのではないでしょうか?私自身、音源の数を真面目に数えたことはありませんが、何千、何万と音源を持っていても、聴くのはわずか一部に過ぎません。音楽を聴く時間は無尽蔵にありませんし、一方で充実した鑑賞時間を過ごしたい要求があります。

クラシックへの造詣が深くオールラウンドに聴かれる方も勿論、いらっしゃいますが、それでもお好みの時代、作曲家などに偏りは出てきてしまうようです。現在、音源の購入比率の5割程度はクラシックになりましたが、相変わらずバッハ~モーツァルト~ベートーヴェン~シューベルト辺りで留まっているのが実情です。小学生の音楽室に肖像画が飾られていた面々ですね(笑)。ここから時代が上がることも、下がることもなく10年近く来ていますから、ある意味、クラシックの終着点なのかも知れません。本日紹介するハイドンは時代的に、そのど真ん中です。

先に名前の挙がった作曲家の作品に比べると、ハイドンのそれは地味です。曲の数はやたら多いのですが・・・。従って、曲から入るというより、良かった曲を聴いたらハイドンであったパターンが入口でした。以前、フルニエの記事を書いた際に紹介した、チェロ協奏曲もそうでした。当時は2番から入りましたが、闊達な1番と併せて依然、気に入っています。アンヌ・ガスティネルはfukuさんのお宅で、デュ・プレの3枚組は音の良い盤としてチューバホーンさんに紹介いただきました。ソル・ガベッタはモーツァルトのフルート協奏曲の編曲の方も聴いています。


先のピアノソナタの記事で、ハイドンのピアノソナタについて触れました。きっかけは2年前のpat_mthny7205さんの訪問です。グレン・グールドによるハイドンのピアノソナタは高い評価を受けているようですね。グールドのCDでは、有名なバッハの「ゴルトベルク変奏曲」と、やたら早引きでモーツァルトを小馬鹿にしたような「ピアノソナタ第8番他」を持っていますが、やはりハイドンは手に入れたいところです。昨年購入したブレンデルのCD4枚組もまだ、聴ききった感がないので、ゆっくり参りたいと思います。


先日、NHKの名曲アルバムで、穏やかな弦楽四重奏がかかっていたのですが、こちらも曲が先で作曲家が後のパターンでした。第41番とあったのですが、まだ同じ音源を入手できていません。ハイドンの曲の番号付け、正直分りづらいです(苦笑)。その後、ネット検索してまず購入したのが、アルバン・ベルク四重奏団です(残念ながら2007年に解散)。作品76はエルデーディ四重奏として、ハイドンの弦楽四重奏の中では取り上げられることが多いようです。楽器の分離などオーディオ的愉しみ3割、曲の愉しみ7割くらいで聴き始めました。


ハイドンの曲は、確かに派手さはないのですが、ところどころに胸を掴むような旋律が潜んでいます。知らない曲でも、結果として聴くきっかけを貰うことになります。オーディオでクラシックを聴くようになった当初は、想定していなかったことです。これもまた一様のうちの一つ、かと思います。アップルミュージックやYoutubeで楽曲を事前に確認して購入する、しないを決められる便利な時代になりました。クチコミの平均的な評価ではなく、自身の頭と耳で判断できるのは大変ありがたいです。ハイドンは曲が膨大なだけになおさらです。

昨日、床屋のBGM(FM横浜)で、竹内まりやの曲が流れていました。曲風はいかにも昭和歌謡ですが、初めて聴く曲です。後で調べたら、9月4日に発売された40周年アルバムのセルフカバー曲「ファースト・デイト」でした。提供先は、あの岡田有希子。あらためて年月の経過を感じた次第です。ちなみにその床屋では、昨年、麻倉未稀の「ミスティ・トワイライト」にも遭遇しました。昭和歌謡の香りがプンプンしてましたが、やはりお初です。直ぐに放送でかかった曲目をチェックし、喉に痞えかかった魚の骨を取り除くことができました(笑)。

ふと耳に入る音楽への感度を保つことは、この趣味を長く続けるコツだと思います。
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よく聴くピアノソナタ

2019-03-02 23:02:21 | クラシック
予想通り、2月は駆け足で過ぎてしまい三寒四温の時期となりました。オーディオの方は、もっぱら復活したプリアンプのエージングに勤しんでいます(笑)。久々に音楽の話題です。普段聴きの半分弱がクラシックで、残りをジャズと洋邦のポップスで分け合うスタイルになって、かなり年数が経ちました。勿論、一口にクラシックといっても、ジャンルや皆さんの好みは様々です。幅広く楽しめる境地はまだ見えてきません。そんな中、再生頻度が高いのはピアノソナタです。一時期よく聴いていたピアノ協奏曲を上回るほどになりました。

ピアノソナタだけでも、時代や国を跨ぐと選択肢は随分と広がります。モーツァルトから時代を下るのか、遡るのか、当初は風まかせ気分でしたが、相変わらずバロック~古典の範囲でとどまっています。ピアノソナタに限れば、ベートーヴェンやシューベルトより、ハイドンやスカルラッティを好みますので、時間軸を遡る傾向が出てきたのかも知れません。ポップス同様に、曲が短く、メロディが親しみやすい点が選択の理由になっています。録音も良くオーディオ目線でも使っている3枚を、モーツァルトを起点に紹介します。

拙宅でCDの数が多いピアニストはピリスです。その多くがモーツァルトのピアノソナタ集です。2年前のGRFさん宅訪問時に、紹介いただき、まとめ買いしまた。とりわけ、第5番(K.283)をよく聴いています。明るく軽やかな旋律が印象的です。ピアノ特有のきらびやかさ、透明感、余韻、低音部の沈み込み、をしっかり引き出せているか、チェック用として使っています。第5番以外ですと第8番(K.310)もよく聴きます。数少ない短調のピアノソナタで、特に第1楽章のドラマチックな展開が好きです。震災前のグリモーのコンサートが、聴くきっかけとなりました。



ハイドンはチェロ協奏曲を聴くことが多かったのですが、風向きを変えてくれたのが、1年半前のpat_mthny7205さん宅のオフ会でした。グールドのピアノソナタをご紹介いただきました。同じものをそのまま、でもよかったのですが、できれば腰を据えて様々な曲を聴きたいと思っていました。いろいろ調べているうちにブレンデルの4枚組のCDセットに行きつきました。ハイドンのピアノソナタに派手さはありませんが、時折ハッとする旋律も仕込まれていて嵌りつつあります。影のある作品ですが、第34番の第1、第3楽章をよく聴いています。



最後はバロックのスカルラッティです。スカルラッティには古典派とバロックの狭間に存在するイメージがありましたが、生まれはバッハやヘンデルと同じ1685年なのですね。バロック期、ピアノは発展途上だったと思いますが、スカルラッティの曲自体はピアノとの相性が良いです。私の愛聴盤はポゴレリッチで、全編、ピアノの1音1音が消える様が美しいです。神保町の中古CD屋で偶々手にした外国盤がヘビーローテーションとなりました。冒頭のK.20、ラストのK.380は親しみやすい旋律で、こちらもリファレンスとしても使っています。



ピアノは単独だけでなく、他の楽器や歌の伴奏にも使われます。ある方は、歌曲の伴奏をオーディオチェックに使われていると聞きました。ピアノが冴えると音楽全体が冴えるは、言えるように思います。オーディオ道における尽きない課題なのかも知れません。いい加減、時代を下りなさい、との声も聞こえてきそうです。曲が長くなり複雑化しますが、ベートーヴェン(特に後期)、シューベルト、ショパンあたりは、じっくり向き合って聴きたいと思っています。
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パユ、流麗なフルート

2016-01-17 16:59:41 | クラシック
久しぶりに音楽の話題、クラシック編です。年末のクラシック倶楽部(NHK)で放送された「エマニュエル・パユ 武満徹を奏でる」を録画しました。ご存じの通り、パユはベルリンフィルの首席フルート奏者です。日本にもそれなりに来ているようで、今年の5月にも公演が予定されています。 ちょうど3年ほど前、GRFさんのお宅でベルリンフィルのデジタル・コンサートホールを介して、パユの演奏を見させて(聴かせて)いただきました。ちなみに映像に写っている女性はやはりフルート奏者の高木綾子で、私もアンコールピースを集めた『シシリエンヌ~フルート名曲集』を、時々通しでかけます。


フルートにはアコースティックギターと並んでオーディオ的には組し易い楽器(例えばヴァイオリンやピアノに比べて)というイメージがありますが、いかがでしょうか?勿論、突き詰めれば細かいところは気になるのでしょうが、抜けの良いフルートを聴いて悦に入る・・・オーディオファンであれば誰しもご経験があると思います。ジャンルを問わない幅の広さもフルートの特長ですね。例えば、ジョビンの名盤の『WAVE』の冒頭、ギターの後に続くフルートを聴くと、広大な草原(ジャケットの光景)が重なります。他には、ウィントン・ケリー「Keep It Moving」、カーペンターズ「This Masquerade」、オフコース「群衆の中で」が挙がりますが、皆さんもきっとフルートならこの1曲!をお持ちのことでしょう。

現在、手元にあるパユのCDは4枚、いずれもEMIの音源です。こちらはアバド/ベルリンフィルとのモーツァルト協奏曲集です。モーツァルトのフルート協奏曲は2作品ですが、2番は元来はオーボエ向だったそうです。実際、セルによってチェロ協奏曲に編曲されています。フルートとのマッチングは1番の方が良く、聴く頻度も必然的に多くなってしまいます。本CDで旋律が最も知られているのは、フルートとハープの協奏曲の第2楽章でしょうか。ゆったりした音楽の進行に、あらためてフルートとハープの相性の良さを感じます。EMIデビュー当時のパユの瑞々しいフルートの音色が全編に詰まっています。


そのハープとの相性を活かした、比較的カジュアルな作品集です。アシストするのは安楽真理子です。全般にパユのフルートに余裕、懐の深さ、安定を感じます。サブタイトルに『フランスのうた、日本の歌』とあるように日仏ゆかりの楽曲が並びます。ヴァイオリンやピアノで慣れきった作品も、フルートだと新鮮に聴こえます。「チャールダーシュ」の緊張感や「ジムノペディ第1番」の緩い雰囲気を、フルートを介して味わえました。日本の曲では「夏の思い出」がまさしく夏の尾瀬の風といった印象でした。「春の海」が尺八と琴に聴こえるのはご愛嬌です。相性の良さは古今東西を問わないということですね。


フルートはバロックとの相性がいいイメージがありますが、モーツァルトの時代でもまだ楽器としての完成度は低かったそうです。ヴィヴァルディやテレマンの時代の木製のフルートとは、同じフルートでも非なる楽器と言えるでしょう。ライナーには、古楽器で演奏せずに、敢えて現代のフルートやテクニックで楽曲に迫るパユの意気込みが記されています。ヴィヴァルディの方は、オーストラリア室内管弦楽団との共演です。個人的にはヴィヴァルディではマイナー調の曲が好みです。四季なら冬、他にバスーン協奏曲、4つのヴァイオリンのための協奏曲など。このCDではイ短調RV440となります。


一方、テレマンの方は、ベルリンフィルのソリスト達がバックアップ。フルートの流麗さと弦楽器の柔らかさが、楽曲の素朴さにマッチしていて、大変気に入りました。これを契機にテレマンの他の作品(リコーダー、リュートなど)へも手を伸ばそうと思っています。テレマンは作った曲がクラシックで最大級で、4000曲に及ぶとは驚きです。同時代のバッハ、ヘンデルとも親交があったようですが、知名度が随分違ってしまいました。このCDの録音の前段では楽譜の修復において相当の苦労があったようですが、こうしてでいつもで聴ける恩恵に与ったというわけです。


5月の公演は、ベルリンフィルの弦楽器メンバーがサポートするようです。何とか都合をつけるつもりです。
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