珠玉の音楽に囲まれて

オーディオのこと、音楽のこと、思いついたまま記していきます。
by 横浜のVienna Acousticsファン

小林亜聖さん、夜がくる

2021-06-27 18:38:05 | その他
小林亜聖さんが5月30日に亡くなられました。私と同世代、あるいは上の世代の方なら、何らか記憶に残るメロディーをお持ちではないでしょうか?歌謡曲では都はるみさんの「北の宿から」が思い出されますが、私の中ではCMやアニメに提供された楽曲に懐かしさを感じます。80年年代よりは70年代の方が、印象が強いです。小学生だった私にとって主たる情報源がTVだっからでしょうね。CMでは日立グループ(この木なんの木)、サントリーウイスキー、チェルシー(お菓子)、さくらや、アニメではガッチャマン、ひみつのアッコちゃん、あたりです。

中でもサントリーオールドで流れていた「夜が来る」は、曲もCMも好きでした。最初の放送は68年だそうですが、流石にこれは記憶にありません。男性のスキャットのバージョンが子供心に刻まれまれたのは70年代に入ってからです。お酒のCMだったこともあり、何やら子供目線で大人の世界を覗いているような感覚がありました。ギターのイントロにも、大人の世界を感じていました。手元にサントリーのCMで使われた曲を集めた『琥珀色の時間』があります。「ウイスキーがお好きでしょ」もいいけど、やっぱり「夜がくる」です。


サントリーオールドのCMでは、90年代半ばに放送されていた「恋は遠い日の花火ではない」シリーズが好きでした。バックで流れているのは、勿論「夜がくる」です。口笛、ハーモニカ、管楽器と様々なバージョンがあります。主役は長塚京三さん、田中裕子さん。いずれも味わいのあるCMでした。日常のさりげない喜びに、思わず小躍りするシーンが微笑ましかったです。曲もお酒も夜のイメージが合いますが、このCMには明日への希望のようなものが感じられました。当時から間もなく30年・・・ですか。矢の如しです。


田中裕子さんの壊れた自転車を直すのは、若かりし頃の大森南朋 さん。演技とは言え、映像から伝わる空気感に引き込まれます。最近、こういったCMは、見かけなくなったような気がします。厳密には平成時代のCMですが、示されているのは昭和の世界です。



「夜がくる」以外では、日立グループのCMで流れた(現在も流れている)「日立の樹」でしょうか。詳細は日立のサイトで見れます。何の番組のCMだったかは忘れましたが、随分と刷り込まれました。あと明治製菓のチェルシーも忘れ難いです。小学生時分は外国の情報が不足していましたから、CMを通じて英国のイメージが形成されていきました。歴代の「チェルシーの唄」のCDも出ているようです。歌い手はよく知っている方々ばかり。同じ曲が長きに亘って使われるというのは、楽曲の力を示していると思います。

小林さんの命日の前日には「雨に濡れても」のB・J・トーマスさんが亡くなられました。映画『明日に向かって撃て』におけるポール・ニューマンとキャサリン・ロスの自転車のシーンで使われていました。こちらはギターではなくウクレレのイントロですが、小林さんの楽曲同様に、何か前向きな力を感じます。作曲者の手を離れて人々の中で生き続けるのが音楽の良い所です。懐古的にではなく、日常や明日のために音楽を聴いたいものです。お二人の逝去を介して再確認しました。ありがとうございました。


早くも2021年の折り返しです。来月には職場でワクチン接種も始まります。トンネルの明かりが、ボヤっとながら見えてきたように思います。その前に、まずは暑い真夏を乗り切らねばなりませんね。
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バードランドの子守唄

2021-06-13 20:43:18 | ジャズ
横浜方面は依然梅雨入りしていませんが、本日は、少しだけ雨が降りました。明日からの天気もパっとしなさそうなので、そろそろ梅雨入りするかも知れません。今回は、ジャズのスタンダード「バードランドの子守唄」を取り上げます。有名な曲ですので、ジャズを聴かれる方ならお気に入りの音源があることと思います。作曲は英国のジャズ・ピアニスト、ジョージ・シアリングで1952年の作品です。元はインストルメンタルでしたが、歌詞がつけられ、多くの女性ヴォーカリストが取り上げてきました。

スペインの女性ヴォーカリスト兼トランぺッター、アンドレア・モティスのライブ盤です。Youtubeで音源を探索する中で彼女の存在を知りました。私の好きなスコット・ハミルトンが応援で参加していたことも、CD購入のきっかけとなりました。メジャーデビュー前の10代の頃のライブで、途上感いっぱいですが、周りの演奏陣が重しになっています。「バードランドの子守唄」でもそんな対比を楽しめます。Amazon Musicでメジャーデビュー前後の他の作品も聴きました。メインシステムでも聴きたくなりましたので、徐々にCDを集めることになりそうです。


大御所女性ヴォーカリストの作品で最も有名なのはサラ・ヴォーンでしょうか。クリフォード・ブラウンを招いたアルバムです。akahanamizukiさんのお宅でレコードを聴かせていただいたのは、ちょうど4年前の今頃になります。雨飾山の無念のリタイヤ、晴天の春日山城址が思い出されます。早、4年も経ちました。チューバホーンさん宅のオフ会でも、ハンコックさんの持ち込み音源にあったと記憶しています。それらの印象からすると、拙宅で聴くデジタル音源は今一つでした。システムのせいではなく、盤のせいであって欲しいと思います(苦笑)。


エラ・フィッツジェラルドの『LULLABIES OF BIRDLAND』はデッカ時代のアルバムです。45年~55年にかけて録音された音源が、スタンダード半分、スキャット半分の構成で収められています。オーディオ的には、この直後の時代の『Ella and Louis』となるのでしょうが、こちらではよりフレッシュなエラの歌声が楽しめます。「バードランドの子守唄」の出だしは、一瞬、エッという感じで始まりますが、歌が始まるとグッと引き込まれます。やはりスタンダードの「エンジェル・アイズ」と共に気に入っています。


クリス・コナーはのアルバムはこの『Sings Lullabys of Birdland』と『THIS IS CHRIS』を所有しています。本日挙げた5枚の中では、このアルバムの「バードランドの子守唄」がベストです。クリスコナーの声は意外に押し出しが強く、どっしりとセンターに定位します(ちなみに大御所の3枚は全てモノラルです)。メインシステムで聴き入り、白人ヴォーカルの中低域の魅力を再確認しました。クリス・コナーにも膨大な音源が残されています。次はガーシュインのソングブック当りを考えています。


最後は方向性を変えて、阿川泰子です。80年発売の『JOURNEY』に「バードランドの子守唄」が収められています。当時、中学生だった私は、洋楽/邦楽こそよく聴いていましたが、ジャズはテリトリー外でした。阿川泰子の存在を知ったのは、80年代後半になってからです。全体的に洗練されたアレンジでフュージョンの色合いを感じます。バックの演奏陣も素晴らしく、「バードランドの子守唄」では向井滋春のトロンボーンが阿川泰子の大人?の声といい対比になっています。この盤なら、中古レコード入手もありです。


前回、ジャズを話題にしたのは、2015年ですから、ずいぶんと間が空きました。
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