注文してあった丸谷才一著「あいさつは一仕事」(朝日新聞出版・2010年9月第一刷)が今日届く。挨拶シリーズの3冊目。2冊で終わりかなと自分では思ってしまっていたのですが、丸谷さんがおられる限り、そういえば挨拶はしておられるわけです(笑)。
私が興味をもったのは、毎日新聞の書評欄についての挨拶が載っていることでした。
ちょっと、その箇所を引用してみます。「わが晩年の事業の一つ」というのは「毎日新聞『今週の本棚』書評総会での挨拶」でした。それが2002年4月とあります。現在からのコメントが、まずはありました。
「2002年で十周年だから、2012年で『今週の本棚』は二十周年を迎へることになる。・・・あの書評欄はわたしの晩年の事業の重大な一項目だから、なるべくならそれまで生きたいと思つてゐる。」
ということで、2002年のその挨拶から一箇所。
「この十年のあひだに、われわれの文化における毎日新聞書評欄の位置は確乎たるものになりました。・・・・わたしの身近な所で言ふと、大岡信さんは毎日新聞を取りはじめました。大野晋さんは近所の販売店に言ひつけて日曜日だけ配達させることにしたさうです。講談社の常務だつた徳島高義さんは日曜の朝、駅まで散歩して、毎日新聞を買ふきまりださうです。こんな調子で、どうやらうまく行つたらしい。」(p198)
そうなんですね。2002年ごろの毎日新聞書評欄は、一読者として読んでいてもすごかった。それにしては、近頃その使命を半ば終えたのじゃないかなあと、思う時があります。というのは、もう毎日新聞の日曜日を取らなくてもいいかなあ。と私は不遜にも思ったことがある(笑)。
本文にもどって、このすこしあとの2010年4月23日「毎日新聞『今週の本棚』書評総会での挨拶」というのが載っております。題は『顧問をやめる』。最初にあるコメントはこうでした。
「2010年の二月はじめに胆管癌がみつかつて入院し、月末に手術、三月末に退院したが、病後を養ふ身には、毎日新聞『今週の本棚』関係の雑務がいかにも面倒くさい。普段はさう大したことがないのだが、この一時期はいろいろ大変だつた。そこで身を引くことにした。・・・・」
ここでは、挨拶のはじまりだけを引用。
「単に毎日の『今週の本棚』の面目を一新しただけではなく、朝日の書評欄も読売の書評欄も、ずつと充実した。日本の書評文化全体が緊張した。これが十八年がかりの成果でありました。・・・・・」(p205)
つねに「日本の書評文化全体」を念頭に置いていた丸谷氏の言葉ならではであります。
それじゃ、あとの本文は、また、おいおいめくって楽しみたいと思います。
私が興味をもったのは、毎日新聞の書評欄についての挨拶が載っていることでした。
ちょっと、その箇所を引用してみます。「わが晩年の事業の一つ」というのは「毎日新聞『今週の本棚』書評総会での挨拶」でした。それが2002年4月とあります。現在からのコメントが、まずはありました。
「2002年で十周年だから、2012年で『今週の本棚』は二十周年を迎へることになる。・・・あの書評欄はわたしの晩年の事業の重大な一項目だから、なるべくならそれまで生きたいと思つてゐる。」
ということで、2002年のその挨拶から一箇所。
「この十年のあひだに、われわれの文化における毎日新聞書評欄の位置は確乎たるものになりました。・・・・わたしの身近な所で言ふと、大岡信さんは毎日新聞を取りはじめました。大野晋さんは近所の販売店に言ひつけて日曜日だけ配達させることにしたさうです。講談社の常務だつた徳島高義さんは日曜の朝、駅まで散歩して、毎日新聞を買ふきまりださうです。こんな調子で、どうやらうまく行つたらしい。」(p198)
そうなんですね。2002年ごろの毎日新聞書評欄は、一読者として読んでいてもすごかった。それにしては、近頃その使命を半ば終えたのじゃないかなあと、思う時があります。というのは、もう毎日新聞の日曜日を取らなくてもいいかなあ。と私は不遜にも思ったことがある(笑)。
本文にもどって、このすこしあとの2010年4月23日「毎日新聞『今週の本棚』書評総会での挨拶」というのが載っております。題は『顧問をやめる』。最初にあるコメントはこうでした。
「2010年の二月はじめに胆管癌がみつかつて入院し、月末に手術、三月末に退院したが、病後を養ふ身には、毎日新聞『今週の本棚』関係の雑務がいかにも面倒くさい。普段はさう大したことがないのだが、この一時期はいろいろ大変だつた。そこで身を引くことにした。・・・・」
ここでは、挨拶のはじまりだけを引用。
「単に毎日の『今週の本棚』の面目を一新しただけではなく、朝日の書評欄も読売の書評欄も、ずつと充実した。日本の書評文化全体が緊張した。これが十八年がかりの成果でありました。・・・・・」(p205)
つねに「日本の書評文化全体」を念頭に置いていた丸谷氏の言葉ならではであります。
それじゃ、あとの本文は、また、おいおいめくって楽しみたいと思います。