和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

梅棹忠夫の一冊。

2019-03-29 | 書評欄拝見
「もったいない本舗」へ古本を注文。
梅棹忠夫著作集第4巻「中洋の国ぐに」。
アマゾンからの注文でした。
送料共で1457円。
中古品で可の表示でしたが、
函入で月報もあり、しかも、
新刊本屋で購入したような、
きれいな一冊が届きました。


この第4巻に「モゴール族探検記」が
はいっております。
この全集本には巻末にコメントが、
載っているので、ありがたい(笑)。

さてっと、そのコメント2に
板垣雄三氏が
「『モゴール族探検記』の語るもの」
と題して書いているのが魅力です。
もったいないので、引用(笑)。

「・・もし仮に、梅棹のあまたの著作の中から、
どうしてもただ一点だけを選ばなければならぬ
羽目になったら、私はあれこれ思いめぐらした
あげく、結局は、やはり『モゴール族探検記』
が好きだ、と言うだろう。『モゴール族探検記』は、
一度読んだら忘れられぬ、詩情あふれる書物だった。
繰り返し愛読した人は多いと思う。
・・・・」

「・・そればかりでなく、同書は、書斎の人々に
『実地の』学問の目的・方法・技術・効果を
するどく問いかけるものでもあった。著者は
『まえがき』のはじめに、『これは学術報告ではない』
とことわっている。しかし、それは新しいスタイルの、
社会に開いた(ただし啓蒙的であるよりは挑発的な)
学術報告であった。」


「・推理小説を地でゆくようなものだった。・・
とりとめもない点景と断片的事実の積み重なりが、
判断のための精妙な伏線を形づくる。
身近でごくありふれた事実が意外にも
決定的な鍵だったのだということがつかめた瞬間、
全体が一挙に理解されるようになっていく
『氷解』のおもしろさ。これは、こたえられない。」

はい。
まだまだ、引用をしたいのですが、
私などは、このコメントだけでも、
古本を買った価値が十分あります。

これが著作集刊行時では、
6200円だったのですから、
古本は、ありがたいです。

ちなみに、「モゴール族探検記」は
岩波新書にあるので、新刊で864円なり。
でも、このコメントは読めません(笑)。

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閉校式。

2019-03-24 | 地域
今日は、卒業した小学校の閉校式。
子供の、卒業した小学校も閉校式。
二つの小学校で、閉校式でした。


うん。何だか、やっと、
小学校を卒業するのだ。
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峠の上は山桜が真盛りで。

2019-03-23 | 前書・後書。
「・・時は天保の末の春の盛りの頃でありました。
山々は、張り切れんばかりの新緑をつけて、
高山の常として峠の上は山桜が真盛りで、
得も云われぬながめです。
・・・正午過ぎる頃まで人っ子一人通りません。
ようやく日が傾きかける頃になって、

   山が焼けるが
     立たぬか雉子(きじ)ヨ

    これが立たりょか
      子(こ)を置いて

と妙な調子を張り上げて、
鄙びた節おかしく歌う声が、
青葉の中から洩れて来ると見れば、
峠の頂きの十一面観音の社の横道に
姿を現わしたのは二人づれの若い男、
樵夫(きこり)か炭焼でありましょう。
・・・・」

大菩薩峠第一巻の一、
ここから引用しました。
論創社「大菩薩峠『都新聞版』」中里介山。
挿絵井川洗厓。新聞版で、毎回の挿絵が魅力。

はい。そうです。私は挿絵目当て。
西洋絵本の細密画の挿絵を見ている。
そんなような、気分になります(笑)。
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読書術の師範の満足。

2019-03-12 | 前書・後書。
まとまると、送料がタダになる古本屋さんへと
注文してあったのが届く。

蓮如は、いつか読みたいと思ってはいたのですが、
いったい、どの本を読めばよいのか分らなうちに、
過ごしておりました(笑)。
今回購入した古本は読めそうな気がしてきました。

大谷晃一著「大いなる坂 聖と俗の巨人蓮如」(河出書房新社)
神田千里編「日本の名僧13 蓮如」(吉川弘文館)

あとがきと、はじまりをパラリとめくっただけですが、
興味を持てる書きぶりです。

さてっと、あとは
「1969‐78 完本紙つぶて」(文芸春秋版)。
こちらは、函入。函の後ろに
山崎正和氏と丸谷才一氏の評が載っておりました。
ここでは、丸谷才一氏の評をそのまま引用することに

「戦前の日本では本を読むのは悪いことだつた。
たとへば陸軍士官学校、海軍兵学校の生徒たちは、
教科書以外の本を読むことをかたく禁じられてゐた。
このせいでの、軍人の教養の貧しさ、見識の低さは、
敗戦の一因をなしてゐたと言へる。

戦後の日本では、一転して、読書はむやみに奨励される
やうになつた。しかも、はじめは文化国家とやらのせいで
恰好をつけるだけだつたが、近頃は既成の価値観が
みな怪しくなつたため、何につけてもめいめい
本を読んで自分で考へるしかなくなつた。

このとき谷沢永一の本が出ることはまことに
時宜にかなつてゐる。彼こそは、
日本人全体の読書術の師範となるにふさわしい
乱読快読の知識人だからである。」

この誉め方が、すごいなあ(笑)。
1978年に出ておりました。

あらためて、谷沢永一氏ご本人の「あとがき」の
さいごの方を引用しておきたくなります。

「書物の魅力に憑かれることになった十歳前後から、
知らぬ間に数え年で五十歳に達した今日まで、
私は結局、この『完本・紙つぶて』一巻を書くために、
長い年月を経てきたのかも知れない。
そう思いかえしても、私は十分に満足である。
いや、それどころか、ひとりのささやかな読書人の、
うたかたに消えてゆく筈の心情の一面を、
我流の≪紙つぶて≫として書き続ける機縁に恵まれたのは、
私にとって最上の幸福であり、
関係者に対する感謝は尽きない。・・・」


はい。これだけで満腹。
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目次とまえがき・あとがきにまず目を通す

2019-03-09 | 前書・後書。
鎌田浩毅の新刊「読まずにすませる読書術」(SB新書)が届く。

はい。題名が気に入っております、
まず、読まずに目次をひらく(笑)。

ということで、目次を紹介

第一章
ムダな読書で人生を浪費しないための新しい読書術

小見出しがいい(笑)
はじまりは
 
  本は最後まで読まなくていい
  あなたは本に読まれていないか?
  本を読むことを目的としない
  音楽的読書から絵画的読書へ切り替えよう
  多読法や速読法の罠
  ・・・・・

ここらで、第二章
読まずにすますほど読書の効果が飛躍する

  「いかに読むか」から「いかに読まないか」へ
  人から借りる知恵は八割でいい
   ・・・・

うん、次行きましょう第三章
「読まなくていい」を見抜く選書眼の養い方
  
   読書が「活きた時間」になっているか
   読まなくていい本を選ぶ眼
    ・・・・

第四章
「読む必要がない」を見抜いて確実に頭に残す方法

   本の構造から読む・読まないをつかみ取る
   目次とまえがき・あとがきにまず目を通す
    ・・・・・

第五章 
読後のアウトプットにつなげる習慣

   アウトプットで読書はようやく完成する
   本を読む時間と手離す時間のバランスを保つ
    ・・・・


ちなみに、第五章の小見出しの最後は

   想定外に対応する力を読書で養う時代


 はい。いい目次だなあ。
 もう、満腹感で満たされます(笑)。
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地名「塩入(しおいり)」

2019-03-08 | 地域
磯田道史・中西進対談「災害と生きる日本人」(潮出版社・潮新書)
という新刊。

さっそくひらくとこの箇所がある。


中西】 本来であれば宅地開発をやるべきはない地域に
建物を建てたせいで、東日本大震災の被災地で被害が拡大しました。

磯田】 震災が起きた直後、宮城県沿岸部の南三陸町にある
小さな防災庁舎で、遠藤未希さんという若い町職員が
死の間際まで防災無線の放送を続けました。
町長を含め多くの職員が防災庁舎の屋上に避難したわけですが、
逃げ遅れた遠藤さんを含め、43人の職員が殉職しました。
悲しいことです。
そして、その防災庁舎が建っている場所の地名を見たところ、
『塩入(しおいり)』だったことに愕然としました。
そこは海抜1メートルそこそこの場所です。
昔から海水が入ってきた土地を意味する『塩入』という
地名の場所に町の防災庁舎が建てられていた事実は、
やはり、やりきれない。後世の教訓とすべきでしょう。(p35)


うん。もう一箇所引用させてください。

磯田】 2014年8月、広島でひどい土砂災害が起きました。

中西】 大雨によって山の傾斜地が崩落し、
住宅地が丸呑みされて74人が亡くなった痛ましい事件でした。

磯田】 最もひどい被害を受けた広島市安佐南区の八木地区は、
かつて『八木蛇落地悪谷(やぎじゃらくじあしだに)』という
ものすごい地名だったそうです。

中西】 「大地が崩壊する悪路の谷」という字義ですね。
あのような激しい傾斜地をそもそも宅地開発するべきでは
ありませんでした。

磯田】 いま思えば、そうです。(p37)


はい。私はここまで読んでもう満腹、先へ読み進めませんでした。
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もう物足りない。

2019-03-07 | 地域
童門冬二著「評伝 二宮金次郎」(致知出版社)を
昨日読み終わる。

うん。ここも引用しておきます。

「・・・いわゆる、『生きがい』の創出に
重点が置かれる。しかしわたしはもういまは
それだけでは不十分だと思っている。

というのは、日本の社会の高齢化がどんどん
進行しているからだ。二十一世紀になると、
ある時点で高齢者人口が日本の総人口の
三分の一を占めることが予想されるいま、
単に『生きがい』だけでは、もう物足りない。
高齢者たちが、『ここで死んでもいい』と思い、
また思うだけでなく、
『そういう死にがいのある地域づくりに、
自分たち高齢者たちも参加しよう』と、
今まで生きてきた経験や体験から生んだ
チエとアセを拠出する、・・・・・
高齢者たちにもそのくらいの気合と情熱と
力の奮い起こしが大切だろう。
・・・・」(p356~357)

ちなみに、この本は
雑誌掲載が96年2月~97年9月号まで、
単行本は平成9年12月に発売されておりました。
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童門冬二の金次郎。

2019-03-05 | 短文紹介
古本で、
童門冬二著「評伝二宮金次郎」(致知出版社)を
送料共380円で購入。

単行本で初版。きれいです(笑)。
童門冬二を、読むのははじめて。
カバーの著者略歴を読む。
「昭和2年東京都生まれ。
東京都広報室長、企画調整局長などを
務めた後、54年退職、・・作家活動に入る。
・・・」

ふ~ん。東京都に勤めておられたのか。
それで、勤めの視点が新鮮なのだなあ。

「徳川幕府の老中という制度は、
特別な給与を出しておこなわせる仕事ではない。
必要な金は全部自分の領国で調達しなければならない。
そのために家臣団としては、主人が老中などの
幕府の要職につくことは歓迎しなかった。
持ち出しが多くて困る。つまり
幕府の高級役職は金食い虫なのだ。
だから忠真が大阪城代から江戸城に戻り、
やがて老中に任命されるという噂が流れた時、
家臣団はよってたかって反対した。・・」(p56)


おっと、肝心な二宮金次郎を引用しなくちゃ(笑)。

「享保の改革の徳川吉宗、寛政の改革の松平定信、
そして天保の改革の水野忠邦たちが、
『農業を基本として改革を推進する』
という根本方針を立てたことは、
明らかにこの貨幣経済に対する真っ向からの挑戦であった。
そしてこれは、
『はじめから負けるに決まっている戦い』であった。
水野忠邦が二宮金次郎を登用し、
『自分の改革理念を一部でもいいから成功させたい』
と願ったのには・・・」(p73)


こんな箇所も

「戦前・戦中派の方々はよくご存じだろうが、
小学校の庭には必ず二宮金次郎の銅像が立てられていた。
少年金次郎は薪を背負い、本を読んでいる。・・・

この金次郎の銅像は、戦後、過激な考え方をする
教員たちによって引き倒された。
『戦中に二宮金次郎は、
軍国少年のかがみとして利用された。
そういう存在は、学校の庭から追放すべきだ』
という考え方である。

戦前の小学校で学んだ筆者は、しかし戦後
その金次郎の銅像を引き倒した教員そのものが、
戦中は、『二宮金次郎こそきみたちの模範である』
と教えていた姿をはっきり頭の中に刻みつけている。
ある面での筆者の教育者不信は、
この光景から始まったといっていい。」
(p91~92)


金次郎の読書についても、ありました。


「二宮金次郎の教えを受けた人や、
金次郎について研究を続けている方々の意見によれば、

〇金次郎は、本に書いてあることを定説に従って解釈しなかった。
〇自分独自の解釈をした。
〇何度読んでもわからない文章は、そこを引き裂いて、
捨ててしまう。つまり、理解できない文章は無視黙殺してしまう。」
(p109)

〇の3番は、すごいなあ。
晩年のことでしょうか?


こうして、私のような二宮尊徳の初心者には、
格好の入門書となっており、ありがたいなあ。
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慶應義塾幼稚舎除籍本。

2019-03-03 | 本棚並べ
金沢文圃閣という古本屋で、
慶應義塾幼稚舎の除籍本を買いました。

昨年は
「全日本児童詩集1950」とその第二集の2冊。

今年になって、
芦田恵之助著「復刻版 綴方十二ヶ月」と
別冊『綴方十二ヶ月』の意義と価値」の
2冊函入。

どちらも、古本屋さんへのこだわりはなかったのですが、
金沢市の金沢文圃閣という古本屋さんでした。

そして、それが二回とも
慶應義塾幼稚舎の除籍本。

はい。ということで、ブログに書きこみ(笑)。
最初の「全日本児童詩集1950」(尾崎書房)は、
慶應義塾幼稚舎の山田文庫。その除籍本でした。
「全日本児童詩集第二集」(むさし書房)も
幼稚舎山田文庫の除籍本。
それなりに、いたみがありました。

今年になって金沢文圃閣から購入したのが
「復刻版綴方十二ヶ月と別冊」。
こちらは二冊いっしょの函入りで、
本と箱とに図書ラベルが貼ってありました。
本自体はきれいなままです。
こちらは「幼稚舎蔵書」とありました。

うん。金沢文圃閣とは何者?
幼稚舎との出会い本となりました(笑)。


さてっと、昨日は雑誌
ニューズウィーク日本版を購入。
特集が「解剖アマゾン効果」とあります。
そのはじまりに、こうありました。

「25年前に書籍のネット販売を始めた頃から、
アマゾンの望みは大きかった。
南米大陸の密林地帯を流れる全長6500キロの
大河アマゾンの名に負けない壮大だ。
急成長を続ける同社の時価総額は
今や8000臆ドルに近い。・・・」


たまたま、金沢文圃閣の古本は、
どちらも、日本の古本屋で注文。


はい。いつの日か慶應義塾幼稚舎の図書館を、
気ままに、のぞき見る、そんな機会がありますように。
そんなことはないのだけれど、夢想するのでした(笑)。

うん。夢想ついでに、
もしも、気に入った幼稚園図書館をこしらえようとするなら、
慶應義塾幼稚舎は、参考に見学することが欠かせませんよね。
と、夢想に蛇足がくわわって、除籍本からの夢想は続きます。
古本の夢想はつづくよ、どこまでも。といっても、ここまで。
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書評欄から本を選んで。

2019-03-02 | 書評欄拝見
鶴見俊輔の文「めだかの学校」に、
桑原武夫氏との出会いの箇所がありました。


「昭和23年に、私は桑原武夫に初めて会った。
・・のびやかなつき合いの開ける可能性がわかり、
数か月で気が楽になった。

その予感をもったのは、昭和23年の秋のある日
(ことによると夏だったかもしれない)、
日比谷のビルの一室で、人文科学研究所に集めるための
英語の新刊書のリストを作ったときで、かなりの分量の
ある英語の雑誌類を積み上げて、そのうちの書評欄を見ては、
目ぼしい本をいっしょに選んでいた時からである。
4~5時間つづけて、いっしょに仕事をしたことになったが、
私はそのころ26歳になったばかりだったが、
さらに20歳も年上の教授が私と同じように雑誌類を
ひっくりかえし、書評欄から本を選んでいく手早さに感心したし、
目ぼしいものとして選ばれた本が結果としてかなり
一致したのを見て、うれしかった。

それ以前10年近く、京大の人文科学研究所は英語の
新刊書を買っていなかったと思うので、このときに
選んだものが、戦後の再出発のときに
(とくに新設の西洋部にとって)大切な役をになった。

・・・・・・
京大の人文科学研究所の共同研究は、
教授が制度上の権威によって班員に仕事を割り当てる
という方式からはほどとおい、指導者が自分で人一倍働き
他のものも日本人らしい勤勉な習性を刺激されて自発的に
働きはじめるという方式の積み重ねでできたものである。」


うん。このあとも肝心なのですが、
つい、引用が多くなるのでこのくらいで(笑)。


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