何ともクイズのような数字の羅列です。実は、大日本印刷DNP常務の森野鉄治氏が、日本国内の書籍事情を説明するのに使われた数字です。
まず本が書店で年間に売れる冊数が7億冊から8億冊くらい。そして全国の公共図書館の貸し出し冊数が7億冊以上(図書館購入は2000万冊ほど)。古本では、ブックオフだけでも年間2億冊から3億冊の売り上げがある。
これを簡略して、紙本の売り上げあるいは利用冊数は、「7億冊+7億冊+2億冊」、合計のべ16億人の市場であるという見方です。実にわかりよい本市場の分析だと思います。
しかし最新の本の現状をみていますと、新本を扱う書店の書籍売り上げは、7億冊を切ってしまったかもしれません。
図書館は公共図書館のみの統計です。大学などの学校図書館や、公共図書館での館内閲覧などをいくらか加味すれば、8億冊をとっくに超えたであろうと思います。
また古本のブックオフの売り上げは、3億冊に近づいているそうです。また既存の古書店古本屋での売り上げもあるし、インターネットでの古書古本通販もかなり伸びています。
なかでもアマゾン古書・マーケットプレイスの利用者はかなりの数にのぼる。1冊1円の掘り出し物には驚く。わたしの自慢の秘蔵書が1円で出品されているのをみたとき、たいへんなショックを受けてしまいました。
古書は本来、需要と供給で相場の値が決まると、昔からいわれています。かつては相場を覚えるのが新米古書店人の基本であった。ところが現代では値付けは、ウェブ情報の検索比較で決定するようになってしまった。素人でも値付けが可能です。
かつてたくさん売れ、たくさんの読者がいっぱい自宅に持っている過去のベストセラーなどは、アマゾンではほとんどが1円。ただし送料の340円を1冊注文ごとに払うので、実質の購入価は341円になりますが(送料はその後、250円に値下げされました。251円が最低購入価。)
1996年をピークにその後、毎年のように減り続けている新本書店の売り上げですが、十数年にしてついに3分の2ほどの規模になってしまいました。原因はいろいろいわれていますが、図書館利用者の大幅増加、ブックオフ店頭やインターネット利用の古本購入。この図書館と古書依存も、新本書店を苦境に追いやった大きな原因です。
直近1年間のわたしの推計ですが、日本の年間の書籍推定統計は図書館貸し出しが8億冊、新本書店の売り上げが7億冊。そして古書古本売り上げは5億冊ほど。これくらいが直近の妥当な数字ではないかと判断しています。<8億+7億+5億=20億>
成人の日本人は、決して心配するほどには活字離れをしていないようです。財布の紐が固くなったのでしょう。無料と安価に向かったのだと思います。ただ若者や子どもたちには危惧しますが…。
DNPグループの紙書籍小売関連会社をみますと、公共図書館を主要顧客とする「図書館流通センターTRC」、大学図書館や研究教育機関を顧客とする「丸善」(書店部門は8月より分離)。一般客を主に商う「ジュンク堂書店」「文教堂」。そして古本の「ブックオフ」。
公共と大学の図書館、新本書店、古本書店、すべての紙本屋に、DNPは盤石の基盤を築いたようです。8億・7億・5億冊、合計20億冊の紙本の世界に、DNPは着実に布石を打った、そのように思います。
そしていま始まろうとしている電子書籍。紙本とIT世界の本、どのようにシフトし、また読者にとってベターなバランスがとれるのか? 紙と電子のハイブリッドとは? グーテンベルク以来の大革命が、書籍雑誌の世界に始まったことは確かなようです。
<2010年7月28日> [追記: 8月31日からアマゾン古書の送料は、250円に下がりました ]
追記2011年5月8日、アドバイスにより実名記載。南浦邦仁。
まず本が書店で年間に売れる冊数が7億冊から8億冊くらい。そして全国の公共図書館の貸し出し冊数が7億冊以上(図書館購入は2000万冊ほど)。古本では、ブックオフだけでも年間2億冊から3億冊の売り上げがある。
これを簡略して、紙本の売り上げあるいは利用冊数は、「7億冊+7億冊+2億冊」、合計のべ16億人の市場であるという見方です。実にわかりよい本市場の分析だと思います。
しかし最新の本の現状をみていますと、新本を扱う書店の書籍売り上げは、7億冊を切ってしまったかもしれません。
図書館は公共図書館のみの統計です。大学などの学校図書館や、公共図書館での館内閲覧などをいくらか加味すれば、8億冊をとっくに超えたであろうと思います。
また古本のブックオフの売り上げは、3億冊に近づいているそうです。また既存の古書店古本屋での売り上げもあるし、インターネットでの古書古本通販もかなり伸びています。
なかでもアマゾン古書・マーケットプレイスの利用者はかなりの数にのぼる。1冊1円の掘り出し物には驚く。わたしの自慢の秘蔵書が1円で出品されているのをみたとき、たいへんなショックを受けてしまいました。
古書は本来、需要と供給で相場の値が決まると、昔からいわれています。かつては相場を覚えるのが新米古書店人の基本であった。ところが現代では値付けは、ウェブ情報の検索比較で決定するようになってしまった。素人でも値付けが可能です。
かつてたくさん売れ、たくさんの読者がいっぱい自宅に持っている過去のベストセラーなどは、アマゾンではほとんどが1円。ただし送料の340円を1冊注文ごとに払うので、実質の購入価は341円になりますが(送料はその後、250円に値下げされました。251円が最低購入価。)
1996年をピークにその後、毎年のように減り続けている新本書店の売り上げですが、十数年にしてついに3分の2ほどの規模になってしまいました。原因はいろいろいわれていますが、図書館利用者の大幅増加、ブックオフ店頭やインターネット利用の古本購入。この図書館と古書依存も、新本書店を苦境に追いやった大きな原因です。
直近1年間のわたしの推計ですが、日本の年間の書籍推定統計は図書館貸し出しが8億冊、新本書店の売り上げが7億冊。そして古書古本売り上げは5億冊ほど。これくらいが直近の妥当な数字ではないかと判断しています。<8億+7億+5億=20億>
成人の日本人は、決して心配するほどには活字離れをしていないようです。財布の紐が固くなったのでしょう。無料と安価に向かったのだと思います。ただ若者や子どもたちには危惧しますが…。
DNPグループの紙書籍小売関連会社をみますと、公共図書館を主要顧客とする「図書館流通センターTRC」、大学図書館や研究教育機関を顧客とする「丸善」(書店部門は8月より分離)。一般客を主に商う「ジュンク堂書店」「文教堂」。そして古本の「ブックオフ」。
公共と大学の図書館、新本書店、古本書店、すべての紙本屋に、DNPは盤石の基盤を築いたようです。8億・7億・5億冊、合計20億冊の紙本の世界に、DNPは着実に布石を打った、そのように思います。
そしていま始まろうとしている電子書籍。紙本とIT世界の本、どのようにシフトし、また読者にとってベターなバランスがとれるのか? 紙と電子のハイブリッドとは? グーテンベルク以来の大革命が、書籍雑誌の世界に始まったことは確かなようです。
<2010年7月28日> [追記: 8月31日からアマゾン古書の送料は、250円に下がりました ]
追記2011年5月8日、アドバイスにより実名記載。南浦邦仁。